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今年もギリギリ!第90回アカデミー賞全部門予想!



またブログ更新を放置しているうちにアカデミー賞の季節がやってきました。
ということで、今年も全部門予想行っちゃいますよー!(^O^)/

作品賞

「君の名前で僕を呼んで」
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
「ダンケルク」
「ゲット・アウト」
「レディ・バード」
「ファントム・スレッド」
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
○「シェイプ・オブ・ウォーター」
◎「スリー・ビルボード」

昨年、ホワイトオスカーとの揶揄を受けてのアカデミー賞はふたを開けてみれば人種問題、とりわけ黒人を題材にしたり黒人の社会を描いたりした作品が評価され、主演、助演、男女ともノミネーションが増え、結果として、マハーシャラ・アリとヴィオラ・デイヴィスが助演賞を受賞しました。
今年は、大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる長年のセクハラ被害が明るみになり、セクハラ、女性蔑視の問題がショウビズ界で取り沙汰されてのアカデミー賞となります。

 本命は「スリー・ビルボード」。娘を殺された母親が権力や暴力、差別と戦うというのはまさに今年のトレンドを行っていると言ってよいでしょう。作品そのものの評判も素晴らしく、出演者、脚本も軒並み高評価です。唯一の気がかりと言えば監督賞にノミネートされていないこと。ただどんなに評判作でもキャリアの浅い監督がノミネート漏れすることは結構あり、本作と同じ条件でも「アルゴ」が作品賞を受賞してます(監督のベン・アフレックは監督賞にノミネートされず)し、近年は作品賞と監督賞が別の作品というパターンも多い(ここ5年で作品賞、監督賞が同じ作品だったのは「バードマン」のみ)ので、それほど危惧する必要はなさそう。サプライズはないと見る。
 対抗は「シェイプ・オブ・ウォーター」。こちらは「パンズ・ラビリンス」や「パシフィック・リム」で知られるギレルモ・デル・トロ監督が、言葉を話せない女性と未知の生物の人智を超えたラブ・ストーリーということで、まさに究極のダイバーシティ。ただ、ファンタジー系の作品で作品賞を受賞するのは非常に困難(強いて言えば「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」ぐらいか)なので、あくまでも対抗。
 他は、「ダンケルク」「レディ・バード」あたりが大穴になるが可能性は低いでしょう。


監督賞

○クリストファー・ノーラン 「ダンケルク」
ジョーダン・ピール 「ゲット・アウト」
グレタ・ガーウィグ 「レディ・バード」
ポール・トーマス・アンダーソン 「ファントム・スレッド」
◎ギレルモ・デル・トロ 「シェイプ・オブ・ウォーター」

作品賞のところで書いたように、近年は作品賞と分かれるケースも多く、今年は「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナーがノミネートされていません。
 となれば本命は、「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ。過去に「パンズ・ラビリンス」でもアカデミー賞で好評価されており、実績には申し分なし。作品の勢いもあればオスカーは確実でしょう。
 対抗はクリストファー・ノーラン。意欲的かつ挑戦的な作品が多く、批評家からの受けもよく興行的にも成功を収めていながらアカデミー賞ではこれまで監督賞としてはノミネートすらされておらず、今年が初。もはややっかみなんじゃないかとすら揶揄されているのでいつ取ってもおかしくはない。ただここまで敬遠されてここであっさり受賞というのは引っかかるので対抗まで。
 他ではポール・トーマス・アンダーソンも気になるところ。「マグノリア」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」とこれまた良作を撮り続けてきており、「ゼア~」ではコーエン兄弟(「ノーカントリー」で監督賞受賞)がいなければ戴冠していたとも考えられるので、一番近い存在とも言えます。
 以下、グレタ・ガーウィグは今回女性監督で唯一のノミネート。これまで「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグローしか女性監督での受賞はないというのも女性蔑視という考えがあれば受賞の可能性も?「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールはコメディアン出身で本作が初監督、かつ自身で脚本も担当していますが、賞を抜きで考えると人種問題の描き方としては実に斬新で素晴らしいです。とはいえ、ここはノミネートで十分に健闘でしょう。


主演男優賞

ティモシー・シャラメ 「君の名前で僕を呼んで」
○ダニエル・デイ=ルイス 「ファントム・スレッド」
ダニエル・カルーヤ 「ゲット・アウト」
◎ゲイリー・オールドマン 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
デンゼル・ワシントン 「ローマン・J・イスラエル・エスク(原題) / Roman J. Israel, Esq.」

 ここは大本命「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」のゲイリー・オールドマンです。
「レオン」「告発」の悪役キャラがインパクトありますが、最近ではいぶし銀の名脇役といった雰囲気が多くなっています。本作では特殊メイクの力を借りているとはいえ、チャーチルのイメージにこだわった外見、そして実在の人物を演じるというファクターもプラスに働きそうです。過去には「裏切りのサーカス」で主演男優賞にノミネート済み、前哨戦の多くでも受賞しており揺るぎないか。
 対抗として気になるのは、「ファントム・スレッド」のダニエル・デイ=ルイス。過去に6度ノミネートされ3度受賞というレジェンド。今回受賞すれば4度目となりますが、そこまでの評価になるかがカギ。ただ本作で俳優引退を公言しており、ファッション・デザイナー役の本作のために1年間ファッション業界で勉強するなどの役作りなど、評価に値する要素をたくさん持っているのも事実です。
 以下、ティモシー・シャラメは同性愛者という役柄は評価されそうですが、上記の2人と比較するとまだ受賞はなさそう。デンゼル・ワシントンも常連ですが本作の評価がイマイチなだけに受賞まではどうか。ダニエル・カルーヤも「ゲット・アウト」ではインパクトのある演技でしたがノミネートだけでも御の字でしょう。


主演女優賞

サリー・ホーキンス 「シェイプ・オブ・ウォーター」
◎フランシス・マクドーマンド 「スリー・ビルボード」
マーゴット・ロビー 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
○シアーシャ・ローナン 「レディ・バード」
メリル・ストリープ 「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

 ここも作品の勢い、キャラクター、キャリア、前哨戦どれを取っても「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドが一歩抜けている印象です。たとえ作品賞が「シェイプ・オブ・ウォーター」になったとしてもこちらは堅いのではないか。
 サリー・ホーキンスも言葉の話せないキャラクターということで表情や手話で表現というところは評価しやすいかもしれないが、対抗としては「レディ・バード」のシアーシャ・ローナン。先述した女性蔑視問題に向けて女性が主人公の映画を評価するという流れになれば逆転も。弱冠23歳ながら3度目のノミネート。ジェニファー・ローレンス、ブリー・ラーソン、そして昨年のエマ・ストーンと20代の女優が受賞することも増えてきただけに侮れない存在。
 以下、マーゴット・ロビーも華があるがさすがにここはノミネートまでか。メリル・ストリープはさすがの貫禄でのノミネートだけど、受賞まではなさそう。


助演男優賞

○ウィレム・デフォー 「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
ウディ・ハレルソン 「スリー・ビルボード」
リチャード・ジェンキンス 「シェイプ・オブ・ウォーター」
クリストファー・プラマー 「オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)」
◎サム・ロックウェル 「スリー・ビルボード」

 ここも「スリー・ビルボード」からサム・ロックウェルで。作品の力もさることながら、フランシス・マクドーマンド扮する娘を殺された母親と対峙する差別主義者の警官でそれが次第に感化されていくという単なる悪役ではない役どころ。ちょっと変わった映画にひょいっと顔を出す脇役というイメージが強いのですが、もう50歳になるんですね・・・。
 対抗は「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のウィレム・デフォー。「プラトーン」のエリアス軍曹役で強烈なインパクトを残したものの、その後は悪役俳優のイメージが強いですが本作では子どもたちに振り回されながらも行き場のない家族を優しく見つめるモーテルの管理人という、これまでのイメージを払拭するような役柄で、本作の評価を一身に担っていると言っても過言ではないでしょう。ただ悪役イメージ俳優の受賞というのは主演男優賞のゲイリー・オールドマンと被るし、作品賞の候補からも漏れていると考えると勢いでは劣るのかもしれません。


助演女優賞

メアリー・J・ブライジ 「マッドバウンド 哀しき友情」
◎アリソン・ジャネイ 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
レスリー・マンヴィル 「ファントム・スレッド」
○ローリー・メトカーフ 「レディ・バード」
オクタヴィア・スペンサー 「シェイプ・オブ・ウォーター」

 こちらも一騎打ちの様相です。本命は、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のアリソン・ジャネイ。トーニャ・ハーディングと言えばリレハンメル五輪の頃、フィギュアスケートアメリカ代表のライバルだったナンシー・ケリガン襲撃事件で話題でしたが、彼女の自伝的映画でアリソンは娘を金儲けの道具としか考えていない母親役を演じているそうで、前哨戦の成績からも受賞に一番近い存在でしょう。
 対抗は「レディ・バード」のローリー・メトカーフ。こちらも主人公の母親役で、エミー賞も受賞しているテレビ女優という点でもアリソン・ジャネイと共通しています。「アイ,トーニャ~」が作品賞の候補にはなっていないのに対し、「レディ・バード」は作品賞はじめ主要賞でもノミネートされているだけに作品の力を考えれば逆転の目もあるかも。ただ役柄のアクの強さ、映画界でのキャリアを考えるとアリソンの方がリードと考えられます。
 他は、歌手として大成功しているメアリー・J・ブライジが女優としても評価されたのはスゴイと思いますが、さすがにノミネートまででしょう。


長編アニメ映画賞


「ボス・ベイビー」
「ザ・ブレッドウィナー(原題) / The Breadwinner」
◎「リメンバー・ミー」
「ファーディナンド(原題) / Ferdinand」
「ゴッホ 最期の手紙」

 ここは今回のノミネートの中でも一番と言っていいぐらい確実に、大本命の「リメンバー・ミー」は受賞するでしょう。メキシコが舞台で試写の国に迷い込んでしまった少年が、様々な体験を通して家族との絆を再確認していくというストーリーで、文化の多様性、ストーリーといかにも評価しやすい材料が揃っています。
 今年は長編アニメ映画賞のノミネート方法が代わって、これまではアニメクリエイターによる投票だったものが今年からはアカデミー会員全てがノミネート選考に関われるようになったため、良くも悪くも無難な作品が選ばれる傾向が強まったとも言えます。題材的に受賞しづらいとは言え、「この世界の片隅に」は例年ならばノミネートは確実だったと思うのですが・・・。
 ということもありディズニー・ピクサーの牙城が崩れることはほぼありえないでしょう。個人的には全編をゴッホの描画のタッチによるCGアニメで描ききった「ゴッホ 最期の手紙」も好きなのですが、受賞までは難しいでしょう。
 

短編アニメ映画賞

◎「ディア・バスケットボール(原題)/ Dear Basketball」
「ガーデンパーティー(原題) / Garden Party」
○「LOU」
▲「ネガティブ・スペース(原題) / Negative Space」
「へそまがり昔ばなし」

 この部門は事前情報が少ないので評価が難しいのですが、本命は、「ディア・バスケットボール」。元NBAのコービー・ブライアントが書いた詩をベースにディズニー出身のクリエイターが手書き画でコービーの躍動感溢れる姿を描いており、アニメ回のアカデミー賞とも言われるアニー賞を受賞しているのも強み。
 対抗はディズニーの「LOU」。「カーズ/クロスロード」の併映作品だったので鑑賞済みですが、いじめっ子が友だちから取ったものを返してあげる中で大切なものに気がつくというストーリーもしっかりしており、王道的な作品が素直に評価されるとしたらこちらの可能性も。
 以下、「ネガティブ・スペース」は日本人のクリエイターなので応援したいところですね。作品は出張のために荷物をパッキングする中で親子の関係を描いたストップモーションアニメということで、その技術的な面がどこまで受けるか。ただアニー賞ノミネート止まりで、こちらが受賞するならアニー賞を取った本命という気もしますね。


脚本賞

エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ 「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」
○ジョーダン・ピール 「ゲット・アウト」
グレタ・ガーウィグ 「レディ・バード」
ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー 「シェイプ・オブ・ウォーター」
◎マーティン・マクドナー 「スリー・ビルボード」

 ここも「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナーと予想。今年のトレンド、作品の勢い、描かれているテーマなど追い風の要素が多いのもそうですが、それ以上に本作の魅力は脚本にあるという評価も多く、本命は外せません。
 対抗は、「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール。前哨戦では「スリー・ビルボード」と互角で作品賞のところにも書きましたが、人種問題を斬新な視点で描いているということは評価されそうですし、他の有力候補が2017年末に公開されているのに対し、本作は2017年2月とかなり早い時期に公開されているにも関わらずノミネートされているということはそれ自体が高い評価の証拠とも言えます。ただ、やはりジャンルとしてはホラーに分類される作品での受賞は難しいでしょう。脚色賞まで広げて考えると「エクソシスト」が受賞しています。あとは「羊たちの沈黙」はホラーかどうかは難しいですが、それぐらいにレアなケースなので、やはり逆転は厳しいかもしれませんね。
 

脚色賞


◎ジェームズ・アイヴォリー 「君の名前で僕を呼んで」
○スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー 「ザ・ディザスター・アーティスト(原題) / The Disaster Artist」
マイケル・グリーン、スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド 「LOGAN/ローガン」
アーロン・ソーキン 「モリーズ・ゲーム」
ヴァージル・ウィリアムズ、ディー・リース 「マッドバウンド 哀しき友情」

 ここは脚本賞とは対照的に、作品賞ノミネートが1つだけということで、本命は「君の名前で僕を呼んで」のジェームズ・アイヴォリーでしょう。同氏は監督賞に過去3回ノミネートされていながら受賞はのがしており、賞が違うとは言えこのあたりでオスカー獲得というのは大いに考えられます。
 対抗は、「ザ・ディザスター・アーティスト」のスコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー。最低映画と評された「The Room」の撮影までの姿を描いた内情モノとしてよくできたコメディーだそうで。
 以下、アメコミながらストーリー性も話題だった「LOGAN/ローガン」のマイケル・グリーン、スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールドや、「ソーシャル・ネットワーク」で受賞歴のある「モリーズ・ゲーム」のアーロン・ソーキンあたりも有力。


撮影賞

◎ロジャー・ディーキンス 「ブレードランナー 2049」
ブリュノ・デルボネル 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
○ホイテ・ヴァン・ホイテマ 「ダンケルク」
▲ダン・ローストセン 「シェイプ・オブ・ウォーター」
レイチェル・モリソン 「マッドバウンド 哀しき友情」

 ここはついに「ブレードランナー 2049」のロジャー・ディーキンスが戴冠するでしょう。コーエン兄弟の作品をはじめ多くの作品で撮影監督となり、アカデミー賞ノミネートは過去に13回、2007年には「ノーカントリー」と「ジェシー・ジェームズの暗殺」で同時ノミネートされながらも受賞ならずという無冠の帝王でしたが、今年は14度目の正直となるのが濃厚な気がします。対象作の「ブレードランナー 2049」は、当時はカルト的な人気SFと言われていましたが、今からすればすっかりレジェンドの域に達している1982年公開の「ブレードランナー」の続編です。その特有の近未来を映し出す映像は受賞を後押しするはず。
 万が一、この13回ノミネートにも関わらず受賞できないのに政治的な理由でもあるとすれば、浮上してくるのが「ダンケルク」のホイテ・ヴァン・ホイテマ。アカデミー賞ノミネートこそ初だが、「ダンケルク」のクリストファー・ノーラン監督とタッグを組んでいた「インターステラー」でも撮影を担当しており実力は折り紙つき。他では「シェイプ・オウ・ウォーター」のダン・ローストセンか。また、「マッドバウンド 哀しき友情」のレイチェル・モリソンは、同部門で初めての女性撮影監督としてノミネート。この部門はとりわけ男性社会(映画用のカメラ自体が重いのでどうしてもそうなりがちなのかもしれませんが)という状況でノミネートされたのもひとえに今年のトレンドではありますが、さすがに受賞までは難しいか。


美術賞

サラ・グリーンウッド、ケイティ・スペンサー 「美女と野獣」
サラ・グリーンウッド、ケイティ・スペンサー 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
○デニス・ガスナー、アレッサンドラ・クエルゾラ 「ブレードランナー 2049」
◎ポール・デナム・オースタベリー、ジェフリー・A・メリヴィン、シェーン・ヴィア 「シェイプ・オブ・ウォーター」
▲ネイサン・クロウリー、ゲイリー・フェティス 「ダンケルク」

 本命は「シェイプ・オウ・ウォーター」のポール・デナム・オースタベリー、ジェフリー・A・メリヴィン、シェーン・ヴィア。ギレルモ・デル・トロの作品はその世界観が重要でそれを一番に支えているのは美術ということになるので。作品そのものの評価とも比例してここは最もオスカーに近いと考えるべきでしょう。唯一の気がかりはキャリアやノミネート歴で他の候補に劣るところか。
 対抗は、「ブレードランナー 2049」のデニス・ガスナー、アレッサンドラ・クエルゾラ。こちらもまた世界観の構築に大きく貢献しているでしょう。前哨戦でも互角なのであとは作品そのものの魅力を考えると若干分が悪いですが、「シェイプ~」の方は、逆にここを逃すと他の部門でもイエローランプがついてしまいかねないかも。
 「ダンケルク」のネイサン・クロウリー、ゲイリー・フェティスも気になるところ。こちらも作品の評価を考えれば上記の2つに肉薄してもおかしくないかもしれません。
 残り2枠は「美女と野獣」「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で、いずれもサラ・グリーンウッド、ケイティ・スペンサー。2部門ノミネートは立派ですが受賞までは難しいか。


編集賞

◎ポール・マクリス&ジェナサン・エイモス 「ベイビー・ドライバー」
○リー・スミス 「ダンケルク」
タティアナ・S・リーゲル 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
シドニー・ウォリンスキー 「シェイプ・オブ・ウォーター」
ジョン・グレゴリー 「スリー・ビルボード」

 編集は映像完成の最終段階でもあるので、非常に重要な部門になります。というのもここにノミネートされずに作品賞を受賞するというケースはかなり少なく、2014年の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」以前は1980年の「普通の人々」まで遡ります。そういう観点で行くと、作品賞は自ずと「スリー・ビルボード」「シェイプ・オウ・ウォーター」、そして「ダンケルク」に限られているとも言えます。
 ただノミネートこそ条件でありますが受賞結果が作品賞と一致しないパターンは多く、編集賞が作品賞以外の作品に行ったのは、2016年「ハクソーリッジ」、2015年「マッドマックス/怒りのデスロード」、2014年「セッション」(ただしこの歳は作品賞の「バードマン~」が編集賞にノミネートされず)、2013年「ゼロ・グラビティ」、2011年「ドラゴン・タトゥーの女」、2010年「ソーシャル・ネットワーク」と2010年以降、作品賞と編集賞を両方受賞したのは2012年の「アルゴ」のみとなっています。作品賞受賞作を押しのけて受賞した作品は編集そのものが魅せる編集であるということ。
 長くなりましたが、この観点で行くと、本命は「ベイビー・ドライバー」のポール・マクリス&ジェナサン・エイモス。耳鳴りを抑えるためにつねにiPodで音楽を聞いている逃がし屋の凄腕ドライバーを描いた同作では、絶えず音楽が流れており、この音楽に合わせて主人公ベイビーの動作やアクションが展開していくという実に小気味の良い作品ですが、これはまさに編集の力があってこそ。さらには音響関係の賞でもノミネートされているだけに一番オスカーに近いと言えるでしょう。
 対抗は「ダンケルク」のリー・スミス。ここ数年のクリストファー・ノーラン監督作品の編集を担当しており、ノミネートも3回目と実績だけで考えるなら有利です。クリストファー・ノーラン監督作もかなり編集が重要になってくると思うので逆転も大いにありえそう。前哨戦の一つである放送映画批評家協会賞ではこの2作が同時受賞していることもあり、このどちらかが受賞する可能性が高いでしょう。
 

録音賞

◎「ベイビー・ドライバー」
「ブレードランナー 2049」
○「ダンケルク」
「シェイプ・オブ・ウォーター」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

 ここと音響編集賞と素人としてはなかなかわかりづらいのですが、録音=撮影時における録音技術ということで、現場での生音に対する評価が直結しやすく、結果として「レ・ミゼラブル」や「セッション」などミュージカルや音楽系の映画が受賞していることが多いです。ただ今年は候補作にそのジャンルのものはありません。
 とすれば、本命は一応音楽が影響している「ベイビー・ドライバー」に。カーアクションの音などは録音によるものだと思いますし、実際の音もBGMとともに映画にシンクロしているという技術も評価の対象になるかと。
 対抗は「ダンケルク」。戦争モノもこの部門ではなかなか強く、去年の「ハクソー・リッジ」をはじめ、「ハート・ロッカー」「ブラックホーク・ダウン」「プライベート・ライアン」などが受賞しています。ただ「ダンケルク」は戦争映画ではありますが激しい銃撃戦があるタイプのものではないのでこの部門でどれぐらい評価されるかは正直未知数です。


音響編集賞

◎「ベイビー・ドライバー」
▲「ブレードランナー 2049」
○「ダンケルク」
「シェイプ・オブ・ウォーター」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

 こちらは編集の段階であとから音を追加したり新たに作り出したりした音をミックスしたりする音関係の編集全般についての賞となります。戦争モノを始めアクション系の作品が強い印象です。
 となれば「ダンケルク」・・・と言いたいところなんですが、録音賞のところでも書いたように激しい銃撃戦等がなかったのでそれほど音の面でインパクトがあったような気がしないんですよね。強いて言えば潜水艦でのきしみとかそういった音の方が記憶にあります。まあ「Uー571」とか「レッド・オクトーバーを追え!」とか潜水艦映画も受賞してますので素直に受賞もあり得るんですけどね。
 というわけで、ここも本命は「ベイビー・ドライバー」の方。編集賞でもノミネートされているだけにかなり強力なんじゃないでしょうか?録音賞と同時受賞というのも近年では「マッドマックス/怒りのデス・ロード」、「ゼロ・グラビティ」、「ヒューゴの不思議な発明」、「インセプション」と2010年以降で4回ありますし、編集賞も同時受賞は「マッドマックス~」、「ゼロ・グラビティ」の2回あるというのも後押しに。
 対抗は「ダンケルク」ですが、「ブレードランナー2049」の近未来ながら不穏な雰囲気を醸し出す音も忘れがたいのでこちらも候補にしておきます。


視覚効果賞

○「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
◎「ブレードランナー 2049」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
「キングコング:髑髏島の巨神」

 ここは前哨戦では上記2作の一騎打ちという様相ですが、やはり作品の魅力を考慮して「ブレードランナー 2049」で。あの世界観にビジュアル面が果たした影響は大きいと思います。
 対抗は前哨戦で賞を分け合っている「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」。本物のサルとしか見えないモーションキャプチャーは見事としか言いようがないのですが、本作の評価が「ブレードランナー~」よりは低いということと、過去2作もノミネートされていながら受賞していないということを考えるとギリギリオスカーには届かないという気もします。


衣装デザイン賞

◎マーク・ブリッジス 「ファントム・スレッド」
○ジャクリーヌ・デュラン 「美女と野獣」
ジャクリーヌ・デュラン 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
▲ルイス・セケイラ 「シェイプ・オブ・ウォーター」
コンソラータ・ボイル 「ヴィクトリア・アンド・アブドゥル(原題) / Victoria & Abdul」

 本命は「ファントム・スレッド」のマーク・ブリッジス。作品そのものもファッションの世界を描いているし、マーク・ブリッジスは過去2度ノミネート、「アーティスト」で受賞と実績も申し分なし。前哨戦も優位でこの部門では一番オスカーに近いといえるでしょう。
 対抗は、「美女と野獣」のジャクリーヌ・デュラン。今年は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でもノミネートされていますが、この部門は時代物コスチュームが強い傾向もあるので「美女と野獣」の方を上に見ました。ただこの作品は出ずっぱりになっているのはベルと野獣ぐらいで過去の受賞作品とくらべてもそこまできらびやかな印象がないんですよね。原作のアニメの世界観は再現していますがこの部門で受賞となるかはわかりません。とはいえ過去4回ノミネート、今年Wノミネートの上、過去に「アンナ・カレーニナ」で受賞と実績は上位ですね。
 それからファンタジー作品も強い部門なので、「シェイプ・オブ・ウォーター」のルイス・セケイラの可能性もあります。ただ美術部門ほどのインパクトを作品に与えていなさそうですし、実績面でも上記の2人には劣るので、ここはノミネートで良しとすべきか。
 

メイク・ヘアスタイリング賞

◎辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビック 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
ダニエル・フィリップス、ルー・シェパード
「ヴィクトリア・アンド・アブドゥール(原題) / Victoria & Abdul」
アリエン・タウテン 「ワンダー(原題) / Wonder」

 ここは「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」の辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビックで決まりでしょう。主演のゲイリー・オールドマンが似ても似つかないウィンストン・チャーチルに成り切れている重要なファクターがメーキャップとも言えます。ゲイリー本人が今はメーキャップではなく現代美術の分野で創作活動をしている辻さんに直談判してまで依頼したのに見事に応えているのは素晴らしいですね。過去に3度ノミネート、リック・ベイカーとともに「グリンチ」で受賞済と実績も申し分なし。世界で活躍する日本人には尊敬の念しかありません。マリオン・コティヤールが「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」で主演女優賞を受賞した時も、メイクによって別人になりきっていると評されたように、今年もその形に該当しそう(ちなみにこの年に「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」はメイクアップ賞も受賞、ノミネートには辻一弘らの「マッド・ファット・ワイフ」がありました)。


作曲賞

ハンス・ジマー 「ダンケルク」
◎アレクサンドル・デスプラ 「シェイプ・オブ・ウォーター」
カーター・バーウェル 「スリー・ビルボード」
○ジョニー・グリーンウッド 「ファントム・スレッド」
ジョン・ウィリアムズ 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

 ここは前哨戦の成績を考慮して、「シェイプ・オブ・ウォーター」のアレクサンドル・デスプラで。過去8回ノミネートで「 グランド・ブダペスト・ホテル」で受賞もしており実績も申し分なし。
 対抗は「ファントム・スレッド」のジョニー・グリーンウッド。レディオヘッドのギタリストですがポール・トーマス・アンダーソンの映画音楽を手がけることが多く、ついにアカデミー賞でもノミネート。ただ初ということもあってノミネートまでか。


歌曲賞

"Mystery of Love" 「君の名前で僕を呼んで」
"Stand Up for Something" 「マーシャル(原題) / Marshall」
▲"Mighty River" 「マッドバウンド 哀しき友情」
○"Remember Me" 「リメンバー・ミー」
◎"This Is Me" 「グレイテスト・ショーマン」

 本命は「グレイテスト・ショーマン」の"This Is Me"。一念発起してサーカスの支配人になった主人公が変わり者たちを集めて誰も見たことのないショーを創り出すという話で、これまで周りから疎まれ嫌われてきた人たちにもスポットを浴びるチャンスがあるというテーマはまさに多様性が求められる時代ともマッチしているし、この曲そのものがそれを体現しているというのは評価しやすいはず。メインで歌っているキアラ・セトルもミュージカルが中心で本格的な映画は初めてという、まさに役を地で行くような形でスポットライトを浴びているというのも素晴らしい。
 対抗は、「リメンバー・ミー」の"Remember Me"。ディズニー・ピクサー作品の本作は作品自体の評価も高く長編アニメ映画賞はほぼ確実で、前哨戦で言えば"This Is Me"よりも高い評価を受けています。ただこの部門はかつてはディズニーアニメの独壇場という感じでしたが、最近だと「アナと雪の女王」の"Let It Go"と「トイ・ストーリー3」“We Belong Together”ぐらい。絶対的な本命とは言い切れない可能性も。
 以下、気になるのは「マッドバウンド 哀しき友情」の"Mighty River"。助演女優賞こそ厳しいかもしれませんが本職のこちらならばという感じもありますね。


外国語映画賞

◎「ナチュラルウーマン」(チリ)
「ジ・インサルト(原題) / The Insult」(レバノン)
▲「ラブレス」(ロシア)
「心と体と」(ハンガリー)
○「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(スウェーデン)

 受賞歴で言うと「ザ・スクエア 思いやりの聖域」が抜きん出ている印象で、カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞しています。それならばと思いがちですが、アカデミー賞はカンヌ映画祭を始めヨーロッパの3大映画祭との相性がそれほど良くないように思います。過去にパルムドール受賞作でアカデミー作品賞や外国語映画賞に輝いたのは2012年のミヒャエル・ハネケ監督の「愛、アムール」と、それ以前は1988年のビレ・アウグスト監督の「ペレ」まで遡ります。選考の仕方からだいぶ違うので優劣をつける問題ではありませんが、ここでは対抗まで。
 本命はチリの「ナチュラル・ウーマン」。トランスジェンダーの主人公が差別や偏見と戦っていくというのはまさに今年のトレンドに合致するものでもありますし、何より自分らしさを獲得していく姿は感動必至でしょう。
 対抗は上記の「ザ・スクエア~」として、他に強力なのはロシアの「ラブレス」。両親が離婚しそれぞれ新しい生活を始めようと考えている矢先に2人の子どもがいなくなるというドラマ。監督のアンドレイ・ズビャギンツェフは、「父、帰る」でベルリン映画祭金獅子賞を受賞しており、2014年の「裁かれるは善人のみ」でアカデミー賞外国語映画賞にもノミネート済と実績は十分。


短編実写映画賞

「ディカーブ・エレメンタリー(原題) / DeKalb Elementary」
○「ジ・イレブン・オクロック(原題) / The Eleven O’Clock」
「マイ・ネフュー・エメット(原題) / My Nephew Emmett」
「ワツ・ウォテ:オール・オブ・アス(原題) / Watu Wote: All of us」
◎「ザ・サイレント・チャイルド(原題) / The Silent Child」

 この部門はいよいよ情報が少ないので予想が難しいというよりはしようがないというところもあるんですが、本命は「ザ・サイレント・チャイルド」で。耳の聞こえない少女がコミュニケーションの手段を得るまでという題材が良さそう。
 対抗は、精神科に通う思い込みの激しい男が、ついには自分が精神科医だと思い込むコメディーの「ジ・イレブン・オクロック」。


長編ドキュメンタリー賞


「アバカス:スモール・イナフ・トゥ・ジェイル(原題) / Abacus: Small Enough to Jail」
◎「フェイセズ・プレイシーズ(原題) / Faces Places」
「イカロス」
○「アレッポ 最後の男」
「ストロング・アイランド」

 ここは「フェイセズ・プレイシーズ」が本命。ヌーヴェルバーグの祖母と呼ばれる女性映画監督の先駆者アニエス・ヴァルダと一般人の参加型アートプロジェクトなどで知られるフランス人アーティストのJRが、フランスの田舎を旅しながら地元の人々と触れ合うさまを描いたロードムービー風のドキュメンタリーはカンヌをはじめ世界中で絶賛されています。
 対抗は、「アレッポ 最後の男」。シリア北部の戦闘を描いたドキュメンタリーですが、トランプ政権の入国禁止令により同作のプロデューサーが授賞式に参加できない、この構図は昨年「セールスマン」で外国語映画賞を受賞したアスガル・ファルハーディ監督と同じ。そういった政治背景が後押しすれば逆転もあるかも。


短編ドキュメンタリー賞


○「イーディス+エディー(原題) / Edith+Eddie」
◎「ヘヴン・イズ・ア・トラフィック・ジャム・オン・ザ・405(原題) / Heaven Is a Traffic Jam on the 405」
▲「ヘロイン×ヒロイン」
「ナイフ・スキルズ(原題) / Knife Skills」
「トラフィック・ストップ(原題) / Traffic Stop」

 ここは前哨戦では「ヘロイン×ヒロイン」ですが、NETFIX制作というのがどのような評価になるのかは未知数です。ということで本命は「ヘヴン・イズ・ア・トラフィック・ジャム・オン・ザ・405」。精神障害を負っている女性画家についてのドキュメンタリーで創造性豊かな部分が評価されそう。
 対抗は異人種間で結婚をしている90歳過ぎの老夫婦の姿を描いた「イーディス+エディー」。こちらも近年のトレンドであるダイバーシティにつながる作品です。


というわけで全部門予想でした!
元々情報の少ない短編系の映画どころか、この時点で公開中の「スリー・ビルボード」も「シェイプ・オブ・ウォーター」も見ていない状況での予想ということで、まあ当たるも八卦当たらぬも八卦というやつですね。
あいにくリアルタイムで授賞式は見れませんが、結果が楽しみです!
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MOVIE OF THE YEAR 2017 <<洋画編>>

またちょっと間が空いてしまいましたが、引き続き洋画編をお送りします!

ゲット・アウト



黒人青年カメラマンのクリスは、白人の彼女ローズの実家に招待される。自分が黒人であることを気にかけるクリスだったが、予想に反して温かく迎え入れられる。ところが、使用人のウォルター、家政婦のジョージーナの挙動がおかしく、クリスは徐々に違和感を感じるようになるのだが・・・。
2017年で最大級のインパクトだったのが本作でしょう。入りは人種問題を描いていて、それが真実が明らかになるとともに映画自体の様相も変わってくる。何回見直しても新たな発見がありそうで、設定、ストーリー、展開全てにおいて完成度が高い作品。


モアナと伝説の海

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神秘的な南の島で、海に選ばれし少女モアナが、島を救うために伝説の戦士・マウイとともに大海原へと繰り出す大冒険を描いたディズニー・アニメ。
またしてもディズニーが歴史に残る傑作を送り出してくれました。
好奇心旺盛で芯の強いモアナと尊大だけど勇敢で優しいところもあるマウイのコンビも素晴らしいですが、彼らそれぞれの成長物語としてストーリーがしっかりしている印象でした。それ以外のキャラクターも悪役を含めて全て魅力的だし、波や髪の毛といった細部にまでこだわって映像も素晴らしい。王道的な傑作として楽しめること請合いです。

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KUBO クボ 二本の弦の秘密

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ライカ・エンターテインメントが製作したストップモーション・アニメ。
三味線の音色で折り紙を自在に操ることのできる少年クボ。追手から逃れ母と暮らしていたが、彼らの前に追手がやってきて、母が身を挺してクボを守る。クボは世話焼きのサルと弓使いのクワガタをお供に、両親の仇を討つべく旅に出る・・・。
こちらもアニメーションですが、最先端のCGによって演出された「モアナ~」とは対照的にストップモーションという昔からの技術にこだわって作られた作品です。それでも折り紙が自由自在に動き回るさまは、そのシーンだけでも見応え十分です。ストーリーはオーソドックスな復讐譚ではありますが、キャラの魅力、日本をフィーチャーした世界観もあって見ごたえのある作品となっています。


ドリーム

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NASAでの初期の宇宙計画を支えていた3人の黒人女性数学者たちの知られざる活躍を描いた実話ドラマ。
邦題が決定することで一悶着ありましたが、蓋を開けてみればシンプルすぎるタイトルに落ち着いちゃいましたが、作品自体はとても良いです。
人種差別問題を真正面から描いた作品ではありながら、主演の3人のキャラもあってかユーモアもたっぷりに描かれているので、飽きることなく楽しめます。差別に打ち勝つためには、優秀さで立ち向かう。前例がないのなら自らが前例となれば良い、そんな志の強さを感じられる作品です。


アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

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英国軍のキャサリン・パウエル大佐を中心に、英米合同テロリスト捕獲作戦というドローンを始めとした最新機器を用いた現代の戦争を描いた作品。ドローンの偵察によりケニアのナイロビにあるテロリストたちのアジトで自爆テロの計画を阻止するべくミサイルによる攻撃を決定するも、射程圏内に民間人の少女が入ってしまい・・・。この緊迫あふれる状況を、遠く離れたロンドンで指揮する英国軍、ミサイル発射の準備をする経験の浅いドローン操縦士、そして現地でスパイ活動をしている諜報員、パン売りの少女とその家族など、様々な目線で現代の戦争を捉えている傑作。アンドリュー・ニコル監督の「ドローン・オブ・ウォー」では、イーサン・ホーク扮する戦闘機のパイロットが今はドローンの操縦者として戦争に参加する苦悩を描いていましたが、こちらはさらに視点が増えています。とりわけイギリスとアメリカの対応の違いは興味深いです。

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新感染 ファイナル・エクスプレス

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ソウルからブサンへと向かう高速鉄道KTX内で繰り広げられるゾンビ・パンデミックの中での決死のサバイバルを描いた作品。これまた上記の「ドリーム」とは別の意味で邦題が話題になりましたが、このダジャレ感満載の邦題とはうってかわって、極めてクオリティーの高い作品に仕上がっています。それぞれの登場人物のキャラも良く、ゾンビに感染したかもしれない人間に対する人々の対応の冷たさなんかも丁寧に描かれています。ゾンビも群れをなして襲い掛かってくる姿は最高。確実にゾンビ映画史に名を残す一作になるでしょう。


哭声 コクソン
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「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督が、のどかな村で起こった奇妙な事件を描いたサスペンス・スリラー。のどかな村である日、家族全員を殺害するという凄惨な事件が連続して発生する。いずれも犯人は家族の一人で、放心状態のまま現場におり、体中に謎の湿疹が浮かんでいた。警察官のジョングは、同じ頃に山の中に住みだした日本人があやしいとにらみ独自に捜査を開始するが・・・。一見平和な村で起こる惨劇、というミステリー調の作品ですが、終盤はオカルトスリラーのような展開になっていきます。これは悪魔の仕業か、それとも神の所業か?議論の余地を残す作品で、観終わったあとにいろいろ語り合いたい作品でもあります。衝撃度で言えば間違いなく2017年ナンバーワンかと。

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IT/イット"それ"が見えたら、終わり。

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スティーブン・キングの同名ホラー小説の映画化。子どもが連続して失踪する事件が発生している町で、弟がいなくなってしまったビルは、友人たちとともに弟の行方と事件の真相を突き止めようとするが、彼らもそれぞれが現実ではありえないような恐怖の体験をして・・・。
"ペニー・ワイズ"というピエロがトラウマレベルの怖さとして原作刊行時から話題になっていましたが、本作ではそれがいかんなく発揮されています。ただそれ以上にモディリアーニが・・・。
ホラー映画ながら少年たちの成長モノとしても楽しめるジュヴナイルムービーの金字塔の一つと言えるでしょう。


T2 トレインスポッティング

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作品だけではなく音楽やファッションなどもあわせて話題になった「トレインスポッティング」の実に21年ぶりとなる続編。20年ぶりに故郷に戻ってきたレントンが、シックボーイ、スパッドとともに再び一攫千金を狙ってビジネスを起こそうとするも、服役中だったベグビーが脱獄したと聞いて・・・。
20年という時の隔たりはあれど、あの「トレインスポッティング」の正統な続編だということが随所に感じられる作りになっています。
相変わらずな4人の姿にノスタルジーを感じつつも、しっかりおっさんになっている哀愁も漂うという絶妙なテイストで楽しめます。
自分が映画にドはまりしたきっかけの一作でもあるだけに、続編はどうなのかと思っていましたが、蓋を開けてみれば最高の続編でした!


猫が教えてくれたこと

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トルコ、イスタンブールを舞台に、7匹の野良猫にスポットを当てたドキュメンタリー。子どもたちのためにエサをあちこちで調達してくるサリ、レストランでエサをもらったお礼にネズミ捕りの仕事をしているアスラン、高級なエサしか食べないデュマンなど、実に個性的な猫たち!また猫かよ!と思われるかもしれませんが、猫です!(ΦωΦ)ノ
本作は猫目線で、猫を神の使いと考えているトルコの人々との関わりや、移りゆくイスタンブールの姿を捉えているという点でも優れたドキュメンタリーなのです。公式HPのキャスト欄もオススメ!(ΦωΦ)ノ


とまあ10作に絞ってみましたが、7作ぐらいまではスムーズだったのですが、あとがどれも甲乙つけがたい作品ばかりでした。

以下、ブロックバスター系では、往年の怪獣パニック映画を彷彿とさせる「キングコング 髑髏島の巨神」、「荒野の七人」の大胆すぎるリメイクで派手なアクションとキャラクターの魅力あふれる「マグニフィセント・セブン」、やっぱりやみつきになるバートンワールドが展開される「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」、そしてまさに王道的な映画として魅力十分だった「美女と野獣」あたりがオススメです。

アメコミ系では、悪態をつきながら世界を救うアンチヒーローによるスペース・アクションの第2弾「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」、主演のガル・ガドットの魅力とその仲間たちも憎めない「ワンダーウーマン」、ソーとツンデレ兄のロキ様が巻き込まれるスペース兄弟喧嘩「マイティ・ソー バトルロイヤル」は素直に楽しかった作品たちです。

まさかの続編では、上記の「T2 トレインスポッティング」も含まれますが、主演のヴィン・ディーゼル人気もあってか1作目から15年、大コケした2作目から12年を経てのまさかの復活「トリプルX 再起動」、そして、こちらは実に34年ぶりの新作となる「ブレードランナー 2049」など、リメイクやリブートではなく、正統な続編として作られた作品も目立ちました。

ホラー・サスペンス系では、ネオナチ集団に監禁されてしまったパンクバンドのメンバーたちの運命を描く「グリーンルーム」、絶対に名前を呼んではいけない、という設定で少ない登場人物ながらうまくストーリーを展開していった「バイバイマン」、「エイリアン」を彷彿とさせる設定ながらサバイバルの要素をうまく取り入れた「ライフ」、シャーク・ケージ・ダイビングで事故により海底47mに取り残された姉妹の運命を描いた「海底47m」、そして人気ホラーシリーズ「死霊館」でもひときわ異彩を放っていたアナベル人形の誕生秘話を描いた「アナベル 死霊人形の誕生」あたりは個人的にはお気に入りです。

意外な拾い物系(?)では、賞金と名声を目的に若者たちが危険なゲームに身を投じる姿を描いた「NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」、テロの脅威を防ぐカギとなるCIAエージェントの記憶を移植された死刑囚の運命を描いた「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、そして常にiPodで音楽を聞きながら凄腕のドライビング・テクニックで逃がし屋をしている青年の姿をスタイリッシュに描いた「ベイビー・ドライバー」などもオススメです。

ドキュメンタリー部門では、上記の「猫が教えてくれたこと」以外にも、第2次大戦下で養子縁組によって多くのユダヤ人の子どもを救っていたニコラス・ウィントンを取り上げた「ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち」、世界的なチェリスト、ヨーヨー・マのボーダーレスな活躍を追った「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」、第1作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞しているアル・ゴア元米副大統領の環境問題への取り組みを追った「不都合な真実2 放置された地球」などは印象的でした。

今年は韓国映画になかなか勢いがありましたね。
上記にもすでに2作挙げましたが、ソン・ガンホが最初は金儲けだけが目的だった弁護士が国家の横暴に対抗し正義に目覚めていく様を描いた「弁護人」、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督がサラ・ウォーターズの「荊の城」を大胆にアレンジした官能サスペンス「お嬢さん」なども素晴らしい作品でした。それからキム・ギドク監督が、ボートの故障で韓国領海へと侵入してしまった北朝鮮の漁師の姿を描いた「THE NET 網に囚われた男」もまさにタイムリーなテーマの作品だったと思います。あと自分は見逃してしまったのですが同時期に公開されていた「アシュラ」もとても評判が良かったですね。

ミニシアター系の作品では、大好きなおじいちゃんおばあちゃんを施設に入れられてしまった孫たちのカワイイ大逆襲が話題になった「世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方」、天才グザヴィエ・ドランが死期の迫った若い脚本家が12年ぶりに帰郷し家族と再会を果たすてん末を描いた会話劇「たかが世界の終わり」、ディナーの場でその瞬間にかかってきた電話やメールをお互いに公開し合うというゲームを始めたことから巻き起こる騒動を描いたイタリア製のブラック・コメディ「おとなの事情」、第2次大戦下でプロパガンダ映画の脚本を担当することになった女性脚本家に上層部から次々と無理難題を押し付けられる様を描いた「人生はシネマティック!」などはオススメです。

いぶし銀の名匠系作品では、ケン・ローチ監督が、病気で仕事ができなくなった大工の男とシングルマザーの女性という社会的弱者に焦点を当てた「わたしは、ダニエル・ブレイク」、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュ監督が、バスの運転手の青年の日常を詩的に描いた「パターソン」、「8人の女たち」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン監督が戦争でフィアンセをなくしたドイツ人女性と、彼の友人だったと名乗るフランス人青年の姿を描いた「婚約者の友人」、「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督が、仕事を失い奥さんにも逃げられてうだつの上がらないローガン家の長男ジミーの破天荒な強盗計画を小気味よく描いた「ローガン・ラッキー」などもありました。

アカデミー賞をはじめ世界各国の映画賞で話題となった作品では、外国語映画賞の候補となった、ナチスの残党として捕虜となった少年兵たちが地雷除去という命がけの作業を課せられる「ヒトラーの忘れもの」、妻に先立たれ仕事もクビになった頑固なおじいさんが近所に越してきた移民の家族に振り回されながらも再び生きる希望を見出していくスウェーデン発のヒューマンドラマ「幸せなひとりぼっち」、そして見事受賞もしているのは 「別離」「ある過去の行方」のイランの名匠アスガー・ファルハディ監督が、家で侵入者に襲われた妻と、その犯人を執拗に探し続ける夫の姿を描いた「セールスマン」などが評判に違わぬ作品でした。
作品賞部門では上記の「ドリーム」も候補でしたが、他にも、兄の突然の死で故郷に戻り過去の傷と向き合うこととなった男の姿を描いた「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、メル・ギブソン監督が、戦争で武器を持つことを拒否しながらも衛生兵として75名の兵士の生命を救ったことで勲章を受けたデズモンド・ドスの姿を描いた「ハクソーリッジ」、そしておそらく2018年のアカデミー賞作品賞候補となるであろう、「ダークナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、第2次大戦で戦場に取り残された英仏連合軍の決死の救出作戦を描いた「ダンケルク」もオススメです。

異色作コーナーでは、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じたことでも話題となった「スイス・アーミーマン」、全編をゴッホが描いた絵のタッチで表現し、ゴッホの死の真相に迫るミステリーとしても楽しめる「ゴッホ 最期の手紙」、そして、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が冴えないパンク少年が出会った宇宙人少女との恋と運命を描いた「パーティで女の子に話しかけるには」などのインパクトが強かったです。

最後に、マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の同名小説を圧倒的なボリュームで描ききった「沈黙 サイレンス」も挙げておきます。

とまああまりにも良作が多いので勝手に作ったカテゴリーでまとめてみました。(;・∀・)


すべての色が集まると?

2016年はホワイトオスカーと揶揄されたように、アカデミー賞の俳優部門のノミネートが全員白人だった反動を受けてか、2017年はうってかわって黒人の候補者が増え、マハーシャラ・アリ(「ムーンライト」)が助演男優賞、ヴァイオラ・デイヴィス(「fences」)が助演女優賞を受賞しています。作品賞候補でも、8作品中3作品(「ムーンライト」「ドリーム」「fences」)が黒人やその社会を描いていて、「ムーンライト」が作品賞を受賞しています。

そういう時勢もあっての受賞ということもあるかもしれませんが、そのわりに「ムーンライト」上記に挙げてねーじゃねーか!と突っ込まれそうなので言い訳をしますと、「ムーンライト」は映像の良さやキャストの良さはありますが、作品としては非常に普通だという印象だったんですよね。映画で題材になっているのは、セクシャルマイノリティー、貧困、親のネグレクト、ドラッグといった問題で、人種差別が軸ではないんですよ。ただ逆に言えば、こういう映画が作られるようになったこと自体がまさに時代の変遷とも言えるべきで、かつてアカデミー賞の大本命と言われながらも描いているのがカウボーイの同性愛ということで保守層に嫌われた「ブロークバック・マウンテン」が受賞を逃したのとは実に対照的です。
ただ作品としては普通なので、自分たちの知識や技術、能力で真っ向から差別に立ち向かった「ドリーム」や、黒人に対する差別意識を逆手に取った「ゲットアウト」の方が映画として純粋に魅力的だったかと思います。
今ハリウッドはセクハラ問題に揺れているので、今度はそれを意識したかのような作品が日の目を見るようになるかもしれませんね。


笑いの神様はいずこ・・・?

上記に上げた作品を見返したところ、コメディーと言えそうなものがかなり少ないんですよね。「おとなの事情」は一応コメディーですが、あまり笑えるタイプの作品ではないですし。ジャンル的に難しいところはありますが、ここいらで思いっきり笑えるコメディー作品にも期待したいところです。逆にホラー、スリラー系はアイデアを活かしやすいということもあるのか、単に自分が好きなだけかもしれないけど、良い作品が目立ったという感じでした。

ヒーロー全員集合?

2017年もアメコミ大作がずらりと公開されましたが、「ジャスティス・リーグ」に代表されるように、どんどんヒーローが集まりだしている印象です。ただ集まりすぎると一人一人が目立たないし作品としての魅力としても疑問に思ってしまいます。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も次は合流しそうな雰囲気でそれでどうなるのかは心配です。「マイティ・ソー バトルロイヤル」ではハルクが出ていました(Dr.ストレンジもちょろっといた)が、それぐらいならいいんですがあまりに集めすぎるのはいかがなものかと思ってしまいます。

とまあ、いろいろ書いていたらキリがなさそうなので、このへんで。

2018年も素晴らしい映画と出会えることを願っています。
(すでに10本以上鑑賞しているのに全くレビューできていない・・・(T_T))

MOVIE OF THE YEAR 2017 <<邦画編>>

またしても更新を盛大にサボっているうちに年が明けてしまいました・・・(;´Д`)

さてさて、2017年の最も印象に残った映画10本をご紹介したいと思います。
なお対象はわたくしが主に札幌(一部東京もあります)で2017年内に劇場で鑑賞した作品に限定しております。
この年に観たのは全部で273本!
いやはや我ながらたくさん見ました~。

というわけで、まずは邦画編から!


人生フルーツ

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厳密に映画ではないかもしれないけれど、極めて優れたドキュメンタリー作品だと思います。
「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」などの東海テレビ製作ドキュメンタリーの劇場版第10弾は、90歳の建築家とその妻に焦点を当てています。2人の生き方はまさにスローライフそのものなのですが、建築に対する考え方、仕事における理想と現実の揺れ動き、そして自分たちの世代だけじゃなく子孫の未来をも見据えた生き方、どれ一つとっても素晴らしいです!
札幌ではシアターキノでまだ回数限定でロングランをしております。
未見の方はぜひ!

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夜は短し歩けよ乙女

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森見登美彦の同名小説のアニメ映画化で、監督は、「MIND GAME マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」の鬼才・湯浅政明。
原作が大好きすぎるので映画化されるのは正直どうなのか、と最初は思っていましたがフタを開けてみれば、原作のテイストや世界観をしっかりと維持しながらも映画ならではのオリジナル作品として仕上がっていました。
ぜひ原作ともども見ていただきたいです!

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君の膵臓をたべたい

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住野よるの同名小説の映画化。膵臓の病気で余命わずかのヒロイン・桜良と、そのことを偶然知ってしまった僕の姿を描く青春ストーリー。
とにかくタイトルのインパクトがあった原作は未読なのですが、なんともみずみずしい傑作でした。
高校生にして余命わずかということを自覚している桜良の達観したような生き方、たたずまいはほれぼれしてしまいます。演じる浜辺美波がとにかく魅力的!
一時期乱発された難病モノとは一線を画する完成度になっています。今年はアニメ化もされるようでそちらも期待!


夜明け告げるルーのうた

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東京から引っ越してきて1人音楽を作ってはネットにアップするだけの日々を過ごしていた少年・カイが、クラスメイトに無理やり誘われたバンドの練習のために訪れた島で、彼らの音楽に誘われてやってきた人魚の少女ルーと遭遇する・・・。
これまた湯浅政明のアニメーション作品です。
ファンタジー色が濃い本作こそがまさに監督の真骨頂かも。
映像と音楽の調和も素晴らしく、観ている人みんなを幸せにしてくれる映画です。




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「殯の森」「あん」の河瀬直美監督が映画の音声ガイドを作成する仕事をしている女性と、モニター試写に参加していたもうじき目が見えなくなるカメラマンとの心の交流を描いた作品。
「光」は三浦しをん原作の映画化も現在公開中ですが、こちらは河瀬直美監督の方です。河瀬直美監督は「萌の朱雀」以来カンヌをはじめ海外で絶賛されていましたが個人的には受けつけなかったのですが、本作は素晴らしかった。言葉だけで情景を伝えることの難しさ、もうじき光を失う男だからこそ見える風景、その思いが重なった時、それが一筋の光となるのでしょう。


泥棒役者

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「小野寺の弟・小野寺の姉」で長編監督デビューを飾った西田征史監督が、再び自身の舞台を映画化したのが本作です。
ひょんなことから絵本作家の家に強盗に入った主人公が、そこで編集者と勘違いされ、とっさにウソをついている間に話はどんどんこじれていき・・・。
まさに舞台劇のようなテンポの良さ、それぞれの登場人物の思惑や行動がうまいこと展開していくさまは笑って泣ける極上の展開に。
キャストも軒並み素晴らしいですが、中でも主人公の恋人役の高畑充希が絶品!まさに理想的な彼女ですよ。
ラストにも嬉しいサプライズが待っています。


帝一の國

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古屋兎丸の同名コミックの実写映画化。超エリート高校を舞台に、生徒会長になることに命を燃やす主人公・赤場帝一と彼のライバルたちの姿を描く。
これまた原作のイメージを保持しながらも、映画オリジナルの展開やストーリーのまとめ方が良い方に出ています。そして何と言っても出演陣のキャラの濃さ。それを見るだけでも十分に楽しめます。キャストは今をときめく旬のイケメンを取り揃えていながら、ジャニーズ系に頼っていないのもすごいところ。

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虐殺器官

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34歳で夭逝した伊藤計劃の原作をアニメ映画化するProject Itohの最終作は、作者史上最高傑作の映画化。
アメリカの特殊部隊に属するクラヴィス・シェパード大尉に課せられた任務は、世界各地に虐殺の種をばらまく謎のアメリカ人言語学者ジョン・ポールを暗殺せよ、というもので・・・。
原作も大好きだったので楽しみにしていた映画化ですが、どうしてもスリムアップせざるを得ない部分もあったのだろうとは思いますが、原作のイメージそのままの映像化はできているように思います。
ただ原作の方が細かいネタも多いので、ぜひ観終わった後は原作の方もお読みください。改めて若い才能が失われたことが悔やまれますね。

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暗黒女子

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お嬢様ばかりが通っている名門女子高、聖母マリア女子高等学院。その中でも選ばれし者しか入部を許されない文学サークルの会長いつみが謎の死を遂げる。その後を継いだ副会長の小百合は、彼女の死を悼み、メンバーそれぞれが創作した小説の定例朗読会のテーマを「いつみの死」にするのだが、それぞれの物語には、その死の真相を匂わせるような表現があり・・・。
イヤミスとして評判の原作だけあってなかなかの出来。清水富美加が出家前の出演ながら素晴らしい存在感を出しているだけにいろいろもったいない。

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劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き

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動物写真家・岩合光昭が世界中の猫の姿を捉えた人気TV番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版。津軽のリンゴ農家で暮らすコトラとその一家を中心に世界の猫たちの選りすぐりの映像をまとめています。平成のどんぎつね、こと吉岡里帆の語りも優しく、徹底したネコ目線で捉えた作品には誰もが心癒されるはず。やっぱり猫が好き!(ФωФ)ノ


というわけで、2017年の邦画10本を選んでみました。
それ以外でも、ブラック企業で働く主人公が不思議な青年との交流を通して自分の人生を見つめ直す「ちょっと今から仕事やめてくる」、中学生男子のアホで間抜けで情けなくてキラキラしている青春を描ききった「14の夜」、韓国映画のリメイクで入江悠監督による大胆で挑発的なエンターテイメント作品に仕上げた「22年目の告白-私が殺人犯です-」、沼田まほかる原作で共感度0%の謳い文句に恥じない(?)クズ人間のオンパレード「彼女がその名を知らない鳥たち」なども印象に残っています。

王道コメディー系では、土屋太鳳が鳥人間コンテストに挑む姿を描いた「トリガール!」、新垣結衣扮する元天才卓球少女がうだつの上がらない元ボクサーと卓球のダブルスで再起を目指す「ミックス。」あたりは安定して楽しめる作品になっています。

例年賛否両論になるマンガ実写化部門では、今年の邦画実写作品では一番のヒットとなった「銀魂」、羽海野チカの人気コミックで将棋にすべてをかける主人公・零の姿を描いた「3月のライオン 後編」(前編は原作と比較したバランスの悪さが目立ったが後編で見事帰結)あたりは良かったですね。

そしてスウィーツ映画部門では、川口春奈扮するヒロインが一週間たつと記憶がリセットされてしまう「一週間フレンズ。」、福士蒼汰と小松菜奈主演で京都を舞台に贈るファンタジックなラブストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」、見た目からチャラいと思われる山本美月をヒロインに圧倒的な伊野尾無双が堪能できる「ピーチガール」、そして年末に公開されたばかりの、平祐奈扮するお嬢様のポジティブさにグイグイ惹き込まれる「未成年だけどコドモじゃない」なんかがおすすめです。

最後に、2017年の邦画最大のヒット作「名探偵コナン から紅の恋歌」も百人一首をフィーチャーしながらミステリーとしてもそれなりに仕上がっていてよく出来ていた印象です。


人気コミック原作の実写映画化にあたっての注意点

人気コミックの実写映画化問題は毎年触れているので、今年はどのような点に注意すれば高評価につながるのか?を中心にカイていきたいと思います。

1. 力みすぎない

ハリウッドのように映画製作に何十億、何百億と投じることができるわけではないので、極端なSFXやCGが必要となる作品は向かないでしょう。となると超大作系というよりは日常系の作品のほうが良いでしょうね。2017年だと「3月のライオン」や2018年に完結編が公開予定の「ちはやふる」などはそういった意味では適していると言えます。反対に「進撃の巨人」あたりはなかなか厳しかったように思います。

2. 長編をよくばりすぎない

原作が長く続いている=人気ということもあって、実写映画化の運びになるのは頷けますが、エピソードを欲張りすぎるとろくな結果になりません。「無限の住人」「鋼の錬金術師」あたりがまさに該当しています。また人気作となると多くのファンを抱えているので彼らに見てもらうことは重要なのですが、えてしてそうしたファンの評価は厳しいものです。「ジョジョの奇妙な冒険」は個人的には頑張っていた方だとは思いますが、原作ファンからの評判は決してよくありません。

3. 原作の再現性を大事に

「ジョジョ~」の批判としてはやはり原作と実写キャラとの違和感でしょう。これも思い入れがなければそこまで気にならないんですが、「鋼の錬金術師」でもやはりコスプレ感が否めないのは事実でした。その点、「銀魂」がうまくいったのは原作のイメージをしっかり保っていたこともあるでしょう。


スウィーツ系映画の変化

わたしはだいぶ以前からスウィーツ系映画もこよなく愛する雑食系おっさんなのですが、かつてはとにかく壁ドン!みたいな安易なノリで作られていて失笑の作品も多いのですが、最近はいろいろ考えさせられたり、感動したりするものも出てきている印象です。上記に上げた作品なんかもしれに該当します。やはり物語や設定、キャラを大切にしつつ、スウィーツテイストを足していくぐらいのバランスが良いのではないでしょうか?

How to live

2017年の作品群を見てると、生き方がテーマな気がします。
「人生フルーツ」はまさにお二人の生き方そのものですし、「夜は短し~」も奥手ながら一途な主人公の生き様が描かれています。「君の膵臓を食べたい」も余命わずかの女子高生が主人公と、まさに、人は(あるいは、ネコは)いかにして生きるべきか?を問いかけてくるような作品に良策が多かった印象です。

さてさて、心に触れる作品はあったでしょうか?
後日、洋画編もお送りします!(^O^)/

「無限の住人」から考える復讐の心理



「無限の住人」では、逸刀流に家族を殺された少女・凛が、不死身の百人斬り、万次の力を借りて、逸刀流への復讐に身を投じていくさまを描いていました。

復讐劇というのはドラマ性があるためか、映画や舞台の題材にもなりやすく、シェークスピアの「ハムレット」から、赤穂浪士の討ち入りを描いた「忠臣蔵」まで、和洋問わず取り上げられている印象です。

とりわけ日本では、ケンカ両成敗といった考えが浸透していることもあるのか、こうした復讐劇は溜飲が下がるというものなのかもしれません。

日本でも物騒な事件が増えてきて、もし自分の家族や大切な人がその被害者となったら、犯人に復讐したいという気持ちが出てくるのも十分にうなずけます。

それでは、復讐は心理的にどのような影響を与えているのでしょうか?

Eadeh, Peak & Lambert(2017)では、アメリカ人の調査対象者に、通常の文章を読ませた時と、ビン・ラディン殺害の記事を読ませた時とで、その後の感情や気分に変化が見られるかを調査したところ、ポジティブな感情はどちらの文章を読んだ時でも差がなかったのに対し、ネガティブな感情については、ビン・ラディン殺害の記事を読ませた時の方が、かえって増幅されたという結果になりました。

アメリカ人にとっては、同時多発テロの首謀者ということで、自国や自国民に対して危害を加えた相手ですが、それでもその首謀者が殺されたという記事はポジティブな感情にはつながらず、逆にネガティブな気持ちになっているということです。

復讐は後味が良いものではない、というのが本筋と言ったところですが、本作のように、自分の両親を殺されたなど、直接的な関係者だとしたらどうでしょう?

Sjöström & Gollwitzer(2015)では、オンライン調査によって、復讐の相手が本人なのか、それとも同じ仲間なのか、そしてその仲間の関係性によって、その後の感情が異なるか調査したところ、復讐の相手が本人ではなくその仲間が対象で、かつその関係性がそれほど深くない相手になると、復讐をした後の後悔が強くなるということを示しています。

当事者への復讐でもない限り、決して良い気持ちにはならないということですね。

本作の原作でも復讐とは何なのか、と言った部分が描かれています(残念ながら映画では描かれていませんが)。テロへの報復、日韓の問題などなど現実でも終わらない復讐の連鎖が存在しています。復讐よりもよい解決方法を見つけ出したいものですね。

[引用]
Eadeh, F. R., Peak, S. A. & Lambert, A. J.(2017). The bittersweet taste of revenge: On the negative and positive consequences of retaliation. Journal of Experimental Social Psychology, 58, 27-39.

Sjöström, A. & Gollwitzer, M.(2015). Displaced revenge: Can revenge taste “sweet” if it aims at a different target? Journal of Experimental Social Psychology, 56, 191-202.

「無限の住人」感想。


(公式HPより引用)

[story]
逸刀流を名乗る剣士たちに両親を殺され、復讐を誓う少女・凛(杉咲花)は、謎の老婆から、不死身の侍、万次(木村拓哉)の存在を知らされる。妹の面影を残す凛の復讐に手を貸すこととなった万次は、彼らの前に現れた逸刀流の剣士たちと戦い続け、ついには逸刀流当主、天津影久(福士蒼汰)のもとへたどり着くのだが・・・。

「月刊アフタヌーン」に長期連載されていた沙村広明の同名コミックを、「十三人の刺客」「テラフォーマーズ」の三池崇史監督により実写映画化されたのが本作です。

三池監督といえば、竹内力や哀川翔主演のVシネマで頭角を現し、「妖怪大戦争」「十三人の刺客」といった話題作も多く、深キョンのドロンジョが話題になった「ヤッターマン」も監督していますが、最近は漫画原作の映画化が多いような印象ですね。
上記の「テラフォーマーズ」もそうですが、「クローズ」や「神さまの言うとおり」、「土竜の唄」なんかも監督しています。
良くも悪くも何でも屋という印象なのですが、最近のフィルモグラフィーはどうも・・・。

その上、SMAP解散騒動に揺れるまさに渦中にいた木村拓哉が主演とあって、公開前から何かと話題になっていた印象です。

自分は映画鑑賞時は原作は未読だったのですが、このたび全巻読破しましたので、未読時の感想、読後の感想をそれぞれ書いていきたいと思います。

映画はオープニングで、万次が不死となるきっかけのエピソードが描かれます。旗本を斬り追われる身となっていた万次が、司戸(金子賢)率いる幕府に雇われた浪人衆によって妹・町(杉咲花[2役])を人質にされてしまいます。敵は全て斬り伏せたものの町は殺され、自分も息も絶え絶えになっていました。そこに謎の老婆・比丘尼が現れ、"血仙蟲"という寄生虫を体内に入れられます。この虫によって斬り落とされた腕が再生し、万次は不死身となります。

と、ここまでがオープニングなのですが、長い!
その上、万次が不死であること、妹の町が殺されたことも観ている人がわかってしまうのはどうかと思います。
万次が50年後に凛と出会った時の驚きが感じられなくなってしまうので、この編集にはいささか疑問でした。

その後、凛は万次とともに逸刀流の剣士たちへの復讐の旅に赴くことになるのですが、逸刀流として登場してくる黒衣鯖人(北村一輝)、凶戴斗(満島真之介)、閑馬永空(市川海老蔵)らとの戦いは、彼らのキャラ(オリジナルも演者も)はかなり個性的なのですが、肝心の戦いとなると、万次は不死を利用して、あえて斬られて、相手が油断したところを斬る、という戦法ばかりなので、非常に単調になってしまっています。
その上、映像も暗く、カメラもあえてなのか手持ちが多くブレブレなのが残念でした。
ラストに万次、凛、そして天津影久と同じく逸刀流の紅一点・乙橘槇絵(戸田恵梨香)が幕府軍300人との斬り合いをするというのがラストのアクションになるのですが、人数規模では大きくなっているものの、オープニングほどのインパクトがないのも残念な印象でした。

それではストーリーの方はというと、残念ながらそちらも十分とは言い難いですね。
万次、凛が逸刀流の剣士を追う、これがメインの流れですが、逸刀流は幕府側からも狙われています。
これは、実は幕府側が逸刀流を指南役にすると偽り、不穏分子として根絶やしにしようという謀略によるものなのですが、逸刀流の背景があまり出てこないので、なぜそこまで仕官にこだわるのかといった部分が曖昧でした。

キャストについては、特にキムタクはSMAP解散騒動でもそうですがいろいろと悪役に祭り上げられている印象があり、本作の公開時も決して褒められた評価ではありませんでしたが、なんだかんだで絵になるのはキムタクならではかと思いました。万次も清廉潔白なキャラではないので、その部分も一致していますしね。

結局、キャラが多く、それぞれの背景や設定が説明不足なために、登場しては戦って退場をポンポン繰り返す作品になってしまっているのが問題点でしょう。ただこれは30巻もの原作を2時間そこそこの1本の映画にまとめようとしている時点でどだい無理な話で、監督が悪い、脚本が悪い、キャストが悪いと何か一つを責められるというものではない気もしますね。

というのが、映画を観終わった時の感想でした。

その後、原作を読んでいろいろと補完できた結果として、やはり映画は残念なできだったなあと思ってしまいました(苦笑)。

とりわけ、万次の再生能力を活かした場面があまりないのが問題点ですね。
映画では全カットになっていますが、原作では川上新夜という逸刀流の剣士との戦いがあります。
彼は今はお面を作る職人として息子と2人ほそぼそと暮らしているのですが、凛の両親の殺害の中心的人物の一人でした。
ところが、その事実を知る前に凛は新夜の息子・練造と仲良くなってしまっているのです。結果的に万次は新夜を斬り伏せますが、今度は万次が練造の仇敵となってしまうわけです。
この復讐の連鎖を止めるために、凛と万次が一芝居うつわけですが、ここで万次の不死の体がうまく使われています。
このシーンは、万次の不死の活用だけでなく、逸刀流が単なる悪党だけではないということ、凛が復讐とは何なのかを自問自答するターニングポイントになっているのですが、映画では全く描かれていないのが残念です。

他にも、罪の赦免として幕府の手先として逸刀流の行く手を追う無骸流として、尸良(市原隼人)、百琳(栗山千明)、偽一といった面々がいるのですが、映画では、尸良はかなり目立っていますが、百琳と偽一はほとんどモブキャラ扱いになっています。原作では琳や万次と行動をともにする時間も多く、ストーリーにもがっつり関わっていて重要キャラのはずなんですが、やはり尺の問題ということでしょうか。

それ以外にも、万次が幕府に捕らえられ人体実験に使われるあたりのエピソードなども省かれており、原作ファンとしてはかなり不満の残るできでしょうね。

キャストは、キムタクと杉咲花が思いっきり現代語なことさえ気にならなければ軒並み良かった印象です。
市原隼人の容赦ない悪党っぷり、北村一輝のぶっ飛んでいるキャラクター、市川海老蔵の得体の知れない不気味さ、それらは存分に味わえます。

そして、戸田恵梨香は独特な着物姿なので、美しいおみ足が見え隠れするんですよね。もうなんか、本当にありがとうございました。

ということで、原作ファンにはあまりおすすめできませんが、キャストの誰かに思い入れがある人なら満足できるのではないかと思います。

三池監督はこの後、撮影前から原作ファンからの怒号が飛んできそうな「ジョジョの奇妙な冒険」の実写化も監督しているので、鋼のメンタルを持っていると言わざるを得ませんね・・・。
プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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