「マリアンヌ」感想。


(公式HPより引用)

[story]
1942年、イギリスの特殊作戦執行部に所属するマックス(ブラッド・ピット)は、モロッコのカサブランカでの特殊任務を与えられる。彼はそこでフランス人のレジスタンス・マリアンヌ(マリオン・コティヤール)と偽装の夫婦を演じながら、ドイツ大使を暗殺するというミッションに挑む。この作戦がきっかけで恋に落ちた2人はロンドンで幸せな結婚生活を送るのだが・・・。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキス監督による歴史サスペンス。

自分は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズはオールタイム・ベストと言っても言い過ぎではないぐらいに大好きな映画で、続く「フォレスト・ガンプ」も素晴らしく、ロバート・ゼメキスは偉大なる巨匠の一人とも思っています。
ただ、そもそも作品数がそれほど多くないのに加えて、最近のものは「フライト」「ザ・ウォーク」と人物像にスポットを当てたドラマ作品になっていて、ちょっとさみしい感じもしていたところでの本作です。

冒頭、ブラッド・ピット扮するイギリス特殊作戦執行部のマックスは、パラシュートで任地へと降り立ちます。
そこでフランス人レジスタンスのマリアンヌとおちあい、偽装の夫婦としてドイツ大使を暗殺するというミッションに挑むのですが、1940年ごろのレトロな雰囲気を醸し出しながらも派手なアクションを披露してくれます。

このミッションによって急接近した2人はイギリスで結婚することに。子宝にも恵まれるのですが、ときは第二次大戦。
病院もドイツ軍の空襲を受けており、まさに命がけの出産となります。このシーンもなかなかインパクトのある映像となっています。

無事に子どもも生まれ、家族で幸せに暮らしていた矢先、マックスは上司から、マリアンヌが二重スパイで、ナチスドイツに情報を漏らしているという疑いがあることを告げられます。
そこでマックスは架空の伝令を受けそのメモを部屋に残しておき、それがドイツに伝えられるかどうかでマリアンヌが二重スパイなのかどうかを突き止めるように言われます。

果たしてマリアンヌは潔白なのか?

この後のマックスの行動が目を見張るものがあります。
マリアンヌの潔白を証明するために、彼女のことを知っている人物を尋ね回り、最終的にはドイツに占領されているフランス領に危険を省みず潜入したりもします。
その一途さには女性じゃなくとも惚れてしまいますね。

ブラッド・ピットも魅力全開ですが、マリオン・コティヤールも素晴らしいです。
序盤はレジスタンスとして凛とした強さを、中盤以降は一人の男性を愛する女性、そして母親としての優しさをたたえた姿を見せてくれます。

ストーリー自体はシンプルで奇をてらったような展開はありませんが、上記のシーンに加え、ドイツの戦闘機が墜落した手前の原っぱでピクニックするシーンなど、絵的に映えるところも多いので、非常に満足度の高い1本だと思います。
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「虐殺器官」感想。


(公式HPより引用)

[story]
9.11以降、アメリカを始めとする先進諸国は自由と引き換えに徹底した管理システムを導入した一方で、発展途上国では日々紛争が繰り返されていた。クラヴィス・シェパード大尉(中村悠一)は、感情調整や痛覚マスキングといった医療措置を施し紛争の首謀者暗殺をミッションとするチームに属していた。そんな中、アメリカの言語学者ジョン・ポール(櫻井孝宏)という男が紛争の火種をバラ撒いているとの情報があり、クラヴィスは、ジョンが接触したとされる女性ルツィア(小林沙苗)からジョンの行方を探ろうとするが・・・。

34歳の若さで夭逝したSF作家・伊藤計劃の同名小説のアニメ映画化。
Project Itohの完結編は満を持して彼のデビュー作にして最高傑作とも言われる本作になりました。

この原作はすでに読んでいたのですが、当時の衝撃はいまだに覚えています。日本でここまで本格的なSF小説を目の当たりにしたというのもそうなんですが、物語の端々に出てくる会話のやり取りから、伊藤計劃の知識や博覧強記ぶりがうかがい知れます。
さて、その映画版ははたして!

映画版ではその膨大な情報量を処理しつつ当然のことながらストーリーを展開していく必要があるわけで、自分が原作を読んだときに会話のやり取りにでてきた多岐にわたる分野のエピソードはだいぶスリムアップされている印象でした。
まあ2時間程度にまとめるということを考えるとストーリーの本筋に直接的に関係しないエピソードが省略されてしまうのは仕方ないですね。ケヴィン・ベーコン・ゲームの話とか面白いんだけどね・・・。

ストーリーは特殊部隊のクラヴィス・シェパード大尉が、世界各地の紛争の引き金となっている人物ジョン・ポールを追う、というのが基本展開となっていますが、その背景として先進国と発展途上国の違いが対照的に描かれています。

アメリカを始めとする先進諸国は、911のテロ以降、人々のあらゆる行動を政府の監視下に置くという徹底した管理システムを構築し、出入国どころか日用品の購入でさえも本人認証をするという徹底ぶりです。いわば自由を捨てて安全を取るという政策ですね。
これにより確かにテロによる脅威は減ったのかもしれませんが、息の詰まるような感じがしないでもありませんね。

クラヴィスがジョン・ポールと接点のある女性ルティアに接近するべくプラハに行ったとき、彼女の誘いで行くバーでは現金でお酒を購入できるということにすら驚いていることからもうかがえます。

自由と引き換えに安全を手に入れたはずのアメリカがなぜ世界の紛争に対して軍を派兵しているのか、なぜ執拗にジョン・ポールを追うのか。
その1つの答えがタイトルにもなっている虐殺器官です。
言語学者であるジョン・ポールがその研究の過程で虐殺器官の正体に気がついてしまったのです。そしてそれを利用することで紛争や虐殺を引き起こすことが容易であると。

虐殺器官の正体はぜひ映画もしくは原作を見て知ってほしいところですが、人間の本能的な部分に関わるものであるという点では、感情統制や痛覚マスキングというテクノロジーによって極めて合理的にあるいは無感情的に行動できるようになったクラヴィスたちとは実に対照的であるとも言えます。

原作が2007年の発表で、Project Itohとして映画化が決定されるも制作会社の倒産もあり、結果として10年ごとなる2017年の公開となりましたが、この間にアメリカではトランプ政権が誕生し、テロを始めとする国際的な脅威への徹底抗戦の姿勢が打ち出され、さらにはオバマ政権下でも明らかになった国民の監視システムの存在など、まるでこういう状況を予見していたかのような設定にはただただ驚かされます。

本作を見て改めて思い起こされたのが、かつてドキュメンタリー「シチズンフォー スノーデンの暴露 」で取り上げられ、日本で今年公開となった「スノーデン」でも描かれていたエドワード・スノーデンです。
彼は過度の管理システムに疑問を抱き、亡命して告発者となる道を選びましたが、システムを悪用すればジョン・ポールのような存在になりえたのかもしれません。

原作と比べるとラストの展開が異なっており、また省かれたエピソードも多いため、映画の方が解釈の可能性がやや大きくなっているのですが、映画を見た上でいろいろと思案したり議論したりした上で、原作の方を読んでみることをぜひオススメします。

「一週間フレンズ。」感想。


(公式HPより引用)

[story]
高校2年の長谷祐樹(山崎賢人)は、図書館で偶然見かけた藤宮香織(川口春奈)に「友達になって下さい」と声をかけるも、拒否されてしまう。実は彼女には、“友達のことを一週間で忘れてしまう”という記憶障害があった。それでも香織のそばにいたいと願い、毎週月曜日、記憶がリセットされるたびに、香織に会いに行く祐樹。二人は交換日記を始めて、少しずつ距離を縮めていく。そんなある日、香織の過去を知る転入生・九条(上杉柊平)が現れてー。

葉月抹茶の同名人気コミックスを実写映画化した青春ラブストーリー。監督は「電車男」「赤い糸」の村上正典。

原作は全く知らなかったんですが、アニメ化、舞台化もされているということで人気作品だったんですね。

本作のキモとなるのが、香織が「友だちのことを一週間で忘れてしまう」という記憶障害を持っていて、友だちをすぐに忘れてしまい相手を傷つけるぐらいなら最初から友だちを作らない方が良い、という殻に閉じこもっています。

記憶障害や記憶喪失というのは映画的には非常に都合の良い設定で、なんでも記憶がないから、という理由で説明がついてしまうのがズルいというか、何でもあり感が強くなり、個人的には納得いかない部分も多いんですよね。
本作でもそれなりに根拠を示そうとはしているものの、なぜ友だちの記憶だけが失われるのか?なぜ1週間でリセットされてしまうのか、あたりの部分が、そういう設定です、でぼかされている印象です。

記憶障害で言うとまず思い起こされるのは「メメント」でしょうか。
今をときめくクリストファー・ノーラン監督が、10分しか記憶を保持できない主人公がポラロイドカメラで撮った写真と自らに刻んだタトゥーの情報を頼りに妻を殺した犯人を追うという設定も構成も極めて斬新だった作品です。
「メメント」では主人公が記憶障害になった理由として、妻が殺されたショックが原因という説明がついており、まあ、それなりに納得出来ないこともないですね。

また記憶障害+青春ラブストーリーという視点で言うと、「忘れないと誓ったぼくがいた」では、時間が経つとヒロインのことをほかの人が完全に忘れてしまうという思いっきりファンタジーに振り切った作品もありました。

メジャーどころでは「ボーン・アイデンティティー」に始まるボーン・シリーズの主人公ジェイソン・ボーンも最初は自分が誰なのかの記憶すらありません。
それからドリュー・バリモア、アダム・サンドラー主演の「50回目のファーストキス」もヒロインは事故の後遺症によって記憶が1日しか保持できず、寝て朝起きると前日の記憶を失ってしまいます。

本作は全体が現実的な設定の割には、症状がファンタジーというどっちつかずといったところですが、まあコミック原作だし、そこまで細かいこと気にせずに見るしかないですね。

細かいことを置いておくと主人公の2人は魅力的に映ります。
山崎賢人は、女子高生向けスイーツ映画にどれだけ出るんだ???ってぐらいに主演をしていますが、本作はこれまでの作品と比べてちょっとパッとしないところもありながら友だち思いで前向きなところがあって、一番等身大な役どころだったかもしれません。

そして、川口春奈ですね。
屈託のない微笑みを見せたかと思えば憂いのある表情になったりと影のある人物を魅力的に演じています。

物語は、記憶障害が理由で周囲に壁を作っている香織に、祐樹がしつこくアタック!という形になっており、香織は記憶障害の話をして拒絶するのですが、それならばと交換日記を提案する祐樹・・・ととにかくめげない姿勢は一歩間違えばストーカーですが、※ただしイケメンに限る案件に分類されますので、NO訴訟です!(憤慨)

ついには心を開き始める香織でしたが、彼らの前にかつての香織の知り合いだった九条が転校してきて・・・という展開になっていきます。

九条のキャラクターは正直不満でしたね。
祐樹の恋敵となるわけですが、嫌な奴感が強すぎるんですよね。
途中で香織が九条になびいていくのですが、それが罪悪感ぐらいしか感じられないんですよ。
それでいて終盤にはちょっと良いやつ風になるのもご都合主義すぎるところがありますしね。
あ、これもイケメン案件だったか!(不条理)

あれ?見たときはそこそこ良かったと思っていたんですが、文章化しているうちによくわからなくなってきたぞ???

終盤は九条のことが一週間たっても記憶に残っていることが分かり、祐樹はフェードアウトしていき、結局香織と祐樹はどうなるの?
と思わせラストシーンにつながるのですが、このラストシーンがなかなか良いんですよ。
これは原作にもアニメ版にもない映画オリジナルだそうです(いろいろネットで感想見てると、ラストに限らずだいぶ映画オリジナルみたいです・・・)
むしろこのラストシーンが作りたくて映画化したような、そんな印象すらありましたね。
他にも桜満開の通学路とか、映像的な見どころはたくさんあるので、そのあたりは素直に楽しめると思います。

「幸せなひとりぼっち」感想。


(公式HPより引用)

[story]
最愛の妻ソーニャ(イーダ・エングヴォル)を亡くし一人で暮らすオーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)。頑固者の彼は地域の見回りを日課とし、ルールを守らない人に厳しく注意をしていた。ある日、長年務めてきた鉄道会社をクビになってしまう。失意の彼はそのままソーニャの元へ行こうと自殺を図るのだが、向かいに引っ越してきたパルヴァネ(バハール・パルス)とその家族の騒々しさに自殺どころじゃなくなってしまい・・・。

フレドリック・バックマンの同名ベストセラーを映画化したスウェーデン発の人間ドラマ。
今年のアカデミー賞外国語映画賞にもスウェーデン代表としてノミネートされています。
ちなみにメイクアップ&ヘアスタイリング賞にもノミネートされていましたね。

北欧の映画、人間ドラマというと、その地域性もあるのか、どこか寒々しさを感じる哀愁漂う作品が多い印象があります。
これは北欧が日本以上の福祉大国で、それゆえの高齢化社会であることも関連しているようで、実際に、高齢単身者の割合も非常に高いそうです。

本作も「幸せなひとりぼっち」という邦題がつけられているので、そういう悲哀系の映画を想像してしまうかもしれませんが、実際はそんんなことありません。

確かに主人公のオーヴェは、妻に先立たれ、仕事もクビになり、地域のルールや規律にうるさい頑固者です。
妻がいないことに寂しさは感じているでしょうが、他の近所の人とはむしろ自分の方から距離を置いているような印象です。

この設定や全体の雰囲気として最初に思い浮かんだのが、クリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」でした。
こちらの映画もデトロイトで孤独に暮らす老人と隣に越してきた移民家族との交流を描いており、クリント・イーストウッド扮するウォルトもかなりの頑固者で、性別、年齢、人種を問わず怒鳴り散らし悪態を突き、説教しまくる姿はもはや爽快感すらありました。

本作も「グラン・トリノ」も主人公が意図せず周囲に巻き込まれていくという人間模様を描いています。
本作では、思い残すことも未練も何もないオーヴェが自殺をしようとする→隣人たちに邪魔される、を繰り返しています。

オーヴェが自殺をしようとする時、意識が遠のいていく過程で昔の妻との思い出が走馬灯のように・・・という形で回想に入っていきます。
オーヴェが良心を失い、ついには住むところもなくなってしまうというつらい境遇、そんな中での妻との運命的な出会い、幸せな結婚生活、やがて訪れる悲しい事件・・・。

この展開でオーヴェがなぜ今のように無骨で頑固な性格になってしまったのかが明らかになっていきます。

オーヴェの誠実さ

オーヴェは父親から正直でいることの難しさを教わります。
かつて父親の手伝いで電車の中を掃除していた時にサイフが落ちているのを見つけます。
父親からは「好きにして良い」と言われ、最初はオーヴェは自分のものにしようと思うのですが、結局落とし物として届けることにします。
その行為をして、父親に「正直でいるのは一番だが、正直でいるためには後押しが必要だ」と教えられます。

以来、オーヴェはバカがつくほど正直で、ソーニャとデートの時も「15分遅刻だよ。」とか言ってしまうし、結果として曲がったことが大嫌いな人間になるわけです。

オーヴェの優しさ


そんなオーヴェですがなんだかんだ言って優しいのです。
パルヴァネ一家が引っ越してきた時に車を駐車場に停めてあげたり、パルヴァネの夫が怪我をして病院に運ばれたときには病院まで送ってあげたり、その後車の運転を教えてあげたりもしています。
さらには、ソーニャの元教え子の友だちがゲイだといじめられ行く場所がないときには家に泊めてあげたり、寒さに凍えていた野良猫を保護してあげたりします。

オーヴェの厳しさ

オーヴェはとにかく決まりごとにうるさいです。
オーヴェの住む住宅エリアは自動車の乗り入れ禁止となっていて、オーヴェは看板で警告をするだけではなく毎朝パトロールも欠かしていません。
序盤はルール違反をみつけては怒鳴り散らすというのをひたすら見せられるので、辟易してしまうのですが、ここまで厳格になってしまったのは1つの悲しい事件があるのです。
ソーニャとの新婚旅行で乗ったバスが崖下へと転落事故を起こしてしまい、ソーニャは子どもを流産してしまい、自らも下半身不随となってしまったのです。
このバスの事故も規律が守られていないことが原因でした。だからこそ彼は人一倍ルールにこだわる人間になっていたのでした。

オーヴェの行動力

オーヴェはソーニャと初めて会ったときは不器用で連絡先を聞くこともできなかったのですが、彼女に会いたい一心で何度も電車に乗って彼女を探します。
めでたくデートすることになったときは、お金はないけどソーニャに美味しいものを食べてもらいたいからと、自分はお金をかけず先に食事を済ませておいて、彼女に好きなものをオーダーさせたりもしています。
そして、極めつけは学校の先生になりたいと思っているソーニャが学校の設備的な問題(バリアフリーになっておらず車いすではいることができない)で断念せざるをえなかったのに憤慨し、1日にしてスロープを作り上げてしまうところですね。

とまあ最初はオーヴェの頑固さばかりが目につくのですが、気がついたら彼の周りに人が寄り添ってくるのもうなずけるキャラクターでした。

本作ではキャストの魅力も素晴らしいです。

妻ソーニャは、単に美人というだけではなく非常に前向きでポジティブなキャラクターです。
オーヴェの不器用ながらも優しいところをしっかり理解し、オーヴェのプロポーズには大はしゃぎで快諾し、そして事故によって下半身不随となっても教師の夢を諦めない、といったところが描かれています。

おせっかいおばさんパルヴァネもまた魅力的です。
無骨はオーヴェに対して、喜怒哀楽の感情が激しく、声も大きい。
これはオーヴェでなくとも完全にペースに巻き込まれてしまいますね。
それでいて、オーヴェの家のキッチンの作り(ソーニャのために低く作られている)などからオーヴェのソーニャへの思いに気がつくという敏感なところもあわせ持っています。

他にもパルヴァネの子どもたちの可愛さも半端ないし、ネコも可愛いし、彼らを見るだけでもなんだか幸せな気分にさせてくれます。

最後に、本作ではオーヴェが自殺を図ることをはじめ、死にまつわるシーンが多いのですが、どのシーンをとっても悲劇的に描いておらず、むしろ笑えるシーンにしているのが印象的でした。
終盤にオーヴェが倒れた時も、救急車で搬送されようとしているときに、

「ここは自動車は進入禁止だぞ!」

と叫んでいます。

いかにもな演出で感動をさらうのではなく、作品そのものの、そして登場人物たちの魅力で感動を呼び起こしてくれるのが本作の魅力ではないでしょうか?

「本能寺ホテル」感想。


(公式HPより引用)

[story]
倉本繭子(綾瀬はるか)は、婚約した吉岡(平山浩行)の父親に会うために京都にきたが、ホテルの予約の日程を間違えており、途方にくれていた。そんな時、目に入ったレトロなホテル"本能寺ホテル"に泊まることに。吉岡との約束の時間まで京都の街を見て回っていた繭子だったが、ホテルのエレベーターに乗ったところ、見知らぬ場所に運ばれてしまう。そこで出会ったのはちょんまげ姿の森蘭丸(濱田岳)や天下統一を目前に控えた織田信長(堤真一)で、1582年の本能寺へとワープしてしまったのだが・・・。

「プリンセス・トヨトミ」の鈴木雅之監督、綾瀬はるか、堤真一主演で贈る歴史エンタテインメント。

本作について語る前に、脚本の騒動が起こったことにちょっと触れたいと思います。
「本能寺ホテル」の予告編はかなり早い段階から劇場でも流れていて、自分も映画館で何度も目にしていたのですが、キャストや作品の設定、雰囲気からして、原作者はあの人だろうなあ・・・と思っていました。

ところが公開間近になって主要なキャスト、スタッフが発表になっても一切その名前はなく、おかしいと思っていたところにこのトラブルというわけです。

トラブルの詳細については、こちらのブログが詳しいので、興味のある方はどうぞ。


まあ、とかくいろいろトラブルがあった上での製作、公開となったわけですが、脚本の段階で一悶着あった作品は例外なく駄作・珍作になっていると個人的には思っていて、本作も変に期待せずに、いや変な期待をしてといった方が正しいか、そんな悶々とした状態で見に行ったのですが、下げに下げていたはずのハードルを思いっきり下回ってきたので、以下、その問題点について書いていきたいと思います。

ネタバレをふんだんに含みますので、映画鑑賞後に読まれることをオススメします。


「本能寺の変」の謎に挑んでいない。

本作で題材になっているのは、織田信長が明智光秀に暗殺された本能寺の変。歴史的に大きな事件ながら謎が多いということで、公式HPによれば、

1.信長の死体が見つかっていない
2.なぜ忠臣であった光秀が信長を裏切ったのか?
3.なぜ中国地方にいた秀吉がいち早く京都に駆けつけ光秀を討つことができたのか?

の3つだそうですが、映画的にそれなりに説明があるのが3ぐらいです。これは繭子が信長に明智光秀が裏切って本能寺に攻め入ってくることを伝えてしまったために、信長が秀吉に向けて書状を送ることができたのが要因と解釈できます。
ただ、1と2は全く説明されていないし、結果的に本能寺の変が起こってしまうので、「信長は実は生きていた?」という展開にすらなりません。
予告では日本史史上もっとも謎に包まれた事件「本能寺の変」!みたいな煽り文句をつけてまでアピールしているのに、そこに何ら帰結がないのは残念でした。

信長のキャラクターがブレブレ

織田信長といえば、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」などと歌われたように、短気で残酷な一面を持っていたとも言われています。
本作でも繭子が蘭丸に会ったときに、蘭丸は「鬼より怖い冷酷非道なお館様」と信長のことを評しています。
繭子も信長にぶしつけな態度で接したら切られそうになったり、商人が持ってきた高価な茶器、楢柴肩衝を奪い取ったりしています。
それが、後半になると突然良い人物に変わっています。繭子に着物を買ってあげたり、当時の京都の街を案内したりと、一体どうしたんでしょう?

信長と婚約者の父・征次郎の構図

本作は繭子の成長物語というのが基本的な骨子になっていて、自分のできることがわからない、なんとなくOLをしていたけどその会社が倒産してしまい、そのときにプロポーズしてくれた恭一と結婚することに・・・という主体性のない自信もないといった性格の繭子の変化を描いているのですが、それに影響をあたえるのが信長と婚約者の父・征次郎です。
信長が第一に求めているのは世の中の平和であり、自分が天下を取るというのはその実現のための手段にすぎないのです。
誰かがやらなければいけないことだから、自分がやる、というのがスタンスになっています。
対して征次郎は、できることではなくやりたいことをやった方が良い、何歳からでも挑戦できる、というのが信条でそれを繭子にも伝えています。事実、征次郎はこれまでやってきた高級な料亭をやめ、安くても美味しいものを提供できる食堂をやることを宣言します。

信長は、誰かがやらなければいけないことがあると言っているのに対し、征次郎は、やりたいことをやるべきと言っていて、どちらも説得力があるにはあるのですが、どうも別のスタンスと思えてしまって宙ぶらりんになってしまうんですよね。

そして肝心の繭子は、最終的に婚約を解消し、教員を目指そうとするのですが、確かに会社が倒産してハローワークで取り柄を聞かれたときには「教職免許を持っている」とは言っていましたが、それがやりたいことだったみたいな描写が全く無かったんですよね。
百歩譲ってそれがやりたいことだったとすると、征次郎に感化されて夢を目指すのはともかく、信長の影響がないことになっちゃいませんか?


とまあ結構否定的に書いてきましたが、ちょっとすれば良くなったのにという部分もあるんですよ。
信長はかねてより先見の明がある人物で新しいものでも良いものだと思えたら進んで取り入れるところがあったと言われていますが、だからこそ繭子の持っていた街コンイベントのチラシみたいなものから、繭子が未来からやってきたことを察知し、さらにはそのチラシから未来が平和になっていることを知った信長は、自分が天下を取る手前で本能寺で命を落としたとしても、平和な世の中がやってくるということを理解し、あえてその運命に従ったということになるのです。

これもっと強調しようよ!
チラシ見つけるのも序盤すぎるしもっともったいぶってよかったのに。
このあたりが脚本騒動で消えた部分だったとしたら悲しいですね。


本作の一番良かった点は・・・。
うーん・・・。

そうだね!綾瀬はるかのおっp(以下、自主規制)
このあたりについては安定のアサヒ芸能さんにおまかせで!(;・∀・)
プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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