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MOVIE OF THE YEAR 2017 <<洋画編>>

またちょっと間が空いてしまいましたが、引き続き洋画編をお送りします!

ゲット・アウト



黒人青年カメラマンのクリスは、白人の彼女ローズの実家に招待される。自分が黒人であることを気にかけるクリスだったが、予想に反して温かく迎え入れられる。ところが、使用人のウォルター、家政婦のジョージーナの挙動がおかしく、クリスは徐々に違和感を感じるようになるのだが・・・。
2017年で最大級のインパクトだったのが本作でしょう。入りは人種問題を描いていて、それが真実が明らかになるとともに映画自体の様相も変わってくる。何回見直しても新たな発見がありそうで、設定、ストーリー、展開全てにおいて完成度が高い作品。


モアナと伝説の海

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神秘的な南の島で、海に選ばれし少女モアナが、島を救うために伝説の戦士・マウイとともに大海原へと繰り出す大冒険を描いたディズニー・アニメ。
またしてもディズニーが歴史に残る傑作を送り出してくれました。
好奇心旺盛で芯の強いモアナと尊大だけど勇敢で優しいところもあるマウイのコンビも素晴らしいですが、彼らそれぞれの成長物語としてストーリーがしっかりしている印象でした。それ以外のキャラクターも悪役を含めて全て魅力的だし、波や髪の毛といった細部にまでこだわって映像も素晴らしい。王道的な傑作として楽しめること請合いです。

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KUBO クボ 二本の弦の秘密

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ライカ・エンターテインメントが製作したストップモーション・アニメ。
三味線の音色で折り紙を自在に操ることのできる少年クボ。追手から逃れ母と暮らしていたが、彼らの前に追手がやってきて、母が身を挺してクボを守る。クボは世話焼きのサルと弓使いのクワガタをお供に、両親の仇を討つべく旅に出る・・・。
こちらもアニメーションですが、最先端のCGによって演出された「モアナ~」とは対照的にストップモーションという昔からの技術にこだわって作られた作品です。それでも折り紙が自由自在に動き回るさまは、そのシーンだけでも見応え十分です。ストーリーはオーソドックスな復讐譚ではありますが、キャラの魅力、日本をフィーチャーした世界観もあって見ごたえのある作品となっています。


ドリーム

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NASAでの初期の宇宙計画を支えていた3人の黒人女性数学者たちの知られざる活躍を描いた実話ドラマ。
邦題が決定することで一悶着ありましたが、蓋を開けてみればシンプルすぎるタイトルに落ち着いちゃいましたが、作品自体はとても良いです。
人種差別問題を真正面から描いた作品ではありながら、主演の3人のキャラもあってかユーモアもたっぷりに描かれているので、飽きることなく楽しめます。差別に打ち勝つためには、優秀さで立ち向かう。前例がないのなら自らが前例となれば良い、そんな志の強さを感じられる作品です。


アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

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英国軍のキャサリン・パウエル大佐を中心に、英米合同テロリスト捕獲作戦というドローンを始めとした最新機器を用いた現代の戦争を描いた作品。ドローンの偵察によりケニアのナイロビにあるテロリストたちのアジトで自爆テロの計画を阻止するべくミサイルによる攻撃を決定するも、射程圏内に民間人の少女が入ってしまい・・・。この緊迫あふれる状況を、遠く離れたロンドンで指揮する英国軍、ミサイル発射の準備をする経験の浅いドローン操縦士、そして現地でスパイ活動をしている諜報員、パン売りの少女とその家族など、様々な目線で現代の戦争を捉えている傑作。アンドリュー・ニコル監督の「ドローン・オブ・ウォー」では、イーサン・ホーク扮する戦闘機のパイロットが今はドローンの操縦者として戦争に参加する苦悩を描いていましたが、こちらはさらに視点が増えています。とりわけイギリスとアメリカの対応の違いは興味深いです。

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新感染 ファイナル・エクスプレス

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ソウルからブサンへと向かう高速鉄道KTX内で繰り広げられるゾンビ・パンデミックの中での決死のサバイバルを描いた作品。これまた上記の「ドリーム」とは別の意味で邦題が話題になりましたが、このダジャレ感満載の邦題とはうってかわって、極めてクオリティーの高い作品に仕上がっています。それぞれの登場人物のキャラも良く、ゾンビに感染したかもしれない人間に対する人々の対応の冷たさなんかも丁寧に描かれています。ゾンビも群れをなして襲い掛かってくる姿は最高。確実にゾンビ映画史に名を残す一作になるでしょう。


哭声 コクソン
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「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督が、のどかな村で起こった奇妙な事件を描いたサスペンス・スリラー。のどかな村である日、家族全員を殺害するという凄惨な事件が連続して発生する。いずれも犯人は家族の一人で、放心状態のまま現場におり、体中に謎の湿疹が浮かんでいた。警察官のジョングは、同じ頃に山の中に住みだした日本人があやしいとにらみ独自に捜査を開始するが・・・。一見平和な村で起こる惨劇、というミステリー調の作品ですが、終盤はオカルトスリラーのような展開になっていきます。これは悪魔の仕業か、それとも神の所業か?議論の余地を残す作品で、観終わったあとにいろいろ語り合いたい作品でもあります。衝撃度で言えば間違いなく2017年ナンバーワンかと。

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IT/イット"それ"が見えたら、終わり。

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スティーブン・キングの同名ホラー小説の映画化。子どもが連続して失踪する事件が発生している町で、弟がいなくなってしまったビルは、友人たちとともに弟の行方と事件の真相を突き止めようとするが、彼らもそれぞれが現実ではありえないような恐怖の体験をして・・・。
"ペニー・ワイズ"というピエロがトラウマレベルの怖さとして原作刊行時から話題になっていましたが、本作ではそれがいかんなく発揮されています。ただそれ以上にモディリアーニが・・・。
ホラー映画ながら少年たちの成長モノとしても楽しめるジュヴナイルムービーの金字塔の一つと言えるでしょう。


T2 トレインスポッティング

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作品だけではなく音楽やファッションなどもあわせて話題になった「トレインスポッティング」の実に21年ぶりとなる続編。20年ぶりに故郷に戻ってきたレントンが、シックボーイ、スパッドとともに再び一攫千金を狙ってビジネスを起こそうとするも、服役中だったベグビーが脱獄したと聞いて・・・。
20年という時の隔たりはあれど、あの「トレインスポッティング」の正統な続編だということが随所に感じられる作りになっています。
相変わらずな4人の姿にノスタルジーを感じつつも、しっかりおっさんになっている哀愁も漂うという絶妙なテイストで楽しめます。
自分が映画にドはまりしたきっかけの一作でもあるだけに、続編はどうなのかと思っていましたが、蓋を開けてみれば最高の続編でした!


猫が教えてくれたこと

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トルコ、イスタンブールを舞台に、7匹の野良猫にスポットを当てたドキュメンタリー。子どもたちのためにエサをあちこちで調達してくるサリ、レストランでエサをもらったお礼にネズミ捕りの仕事をしているアスラン、高級なエサしか食べないデュマンなど、実に個性的な猫たち!また猫かよ!と思われるかもしれませんが、猫です!(ΦωΦ)ノ
本作は猫目線で、猫を神の使いと考えているトルコの人々との関わりや、移りゆくイスタンブールの姿を捉えているという点でも優れたドキュメンタリーなのです。公式HPのキャスト欄もオススメ!(ΦωΦ)ノ


とまあ10作に絞ってみましたが、7作ぐらいまではスムーズだったのですが、あとがどれも甲乙つけがたい作品ばかりでした。

以下、ブロックバスター系では、往年の怪獣パニック映画を彷彿とさせる「キングコング 髑髏島の巨神」、「荒野の七人」の大胆すぎるリメイクで派手なアクションとキャラクターの魅力あふれる「マグニフィセント・セブン」、やっぱりやみつきになるバートンワールドが展開される「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」、そしてまさに王道的な映画として魅力十分だった「美女と野獣」あたりがオススメです。

アメコミ系では、悪態をつきながら世界を救うアンチヒーローによるスペース・アクションの第2弾「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」、主演のガル・ガドットの魅力とその仲間たちも憎めない「ワンダーウーマン」、ソーとツンデレ兄のロキ様が巻き込まれるスペース兄弟喧嘩「マイティ・ソー バトルロイヤル」は素直に楽しかった作品たちです。

まさかの続編では、上記の「T2 トレインスポッティング」も含まれますが、主演のヴィン・ディーゼル人気もあってか1作目から15年、大コケした2作目から12年を経てのまさかの復活「トリプルX 再起動」、そして、こちらは実に34年ぶりの新作となる「ブレードランナー 2049」など、リメイクやリブートではなく、正統な続編として作られた作品も目立ちました。

ホラー・サスペンス系では、ネオナチ集団に監禁されてしまったパンクバンドのメンバーたちの運命を描く「グリーンルーム」、絶対に名前を呼んではいけない、という設定で少ない登場人物ながらうまくストーリーを展開していった「バイバイマン」、「エイリアン」を彷彿とさせる設定ながらサバイバルの要素をうまく取り入れた「ライフ」、シャーク・ケージ・ダイビングで事故により海底47mに取り残された姉妹の運命を描いた「海底47m」、そして人気ホラーシリーズ「死霊館」でもひときわ異彩を放っていたアナベル人形の誕生秘話を描いた「アナベル 死霊人形の誕生」あたりは個人的にはお気に入りです。

意外な拾い物系(?)では、賞金と名声を目的に若者たちが危険なゲームに身を投じる姿を描いた「NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」、テロの脅威を防ぐカギとなるCIAエージェントの記憶を移植された死刑囚の運命を描いた「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、そして常にiPodで音楽を聞きながら凄腕のドライビング・テクニックで逃がし屋をしている青年の姿をスタイリッシュに描いた「ベイビー・ドライバー」などもオススメです。

ドキュメンタリー部門では、上記の「猫が教えてくれたこと」以外にも、第2次大戦下で養子縁組によって多くのユダヤ人の子どもを救っていたニコラス・ウィントンを取り上げた「ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち」、世界的なチェリスト、ヨーヨー・マのボーダーレスな活躍を追った「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」、第1作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞しているアル・ゴア元米副大統領の環境問題への取り組みを追った「不都合な真実2 放置された地球」などは印象的でした。

今年は韓国映画になかなか勢いがありましたね。
上記にもすでに2作挙げましたが、ソン・ガンホが最初は金儲けだけが目的だった弁護士が国家の横暴に対抗し正義に目覚めていく様を描いた「弁護人」、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督がサラ・ウォーターズの「荊の城」を大胆にアレンジした官能サスペンス「お嬢さん」なども素晴らしい作品でした。それからキム・ギドク監督が、ボートの故障で韓国領海へと侵入してしまった北朝鮮の漁師の姿を描いた「THE NET 網に囚われた男」もまさにタイムリーなテーマの作品だったと思います。あと自分は見逃してしまったのですが同時期に公開されていた「アシュラ」もとても評判が良かったですね。

ミニシアター系の作品では、大好きなおじいちゃんおばあちゃんを施設に入れられてしまった孫たちのカワイイ大逆襲が話題になった「世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方」、天才グザヴィエ・ドランが死期の迫った若い脚本家が12年ぶりに帰郷し家族と再会を果たすてん末を描いた会話劇「たかが世界の終わり」、ディナーの場でその瞬間にかかってきた電話やメールをお互いに公開し合うというゲームを始めたことから巻き起こる騒動を描いたイタリア製のブラック・コメディ「おとなの事情」、第2次大戦下でプロパガンダ映画の脚本を担当することになった女性脚本家に上層部から次々と無理難題を押し付けられる様を描いた「人生はシネマティック!」などはオススメです。

いぶし銀の名匠系作品では、ケン・ローチ監督が、病気で仕事ができなくなった大工の男とシングルマザーの女性という社会的弱者に焦点を当てた「わたしは、ダニエル・ブレイク」、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュ監督が、バスの運転手の青年の日常を詩的に描いた「パターソン」、「8人の女たち」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン監督が戦争でフィアンセをなくしたドイツ人女性と、彼の友人だったと名乗るフランス人青年の姿を描いた「婚約者の友人」、「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督が、仕事を失い奥さんにも逃げられてうだつの上がらないローガン家の長男ジミーの破天荒な強盗計画を小気味よく描いた「ローガン・ラッキー」などもありました。

アカデミー賞をはじめ世界各国の映画賞で話題となった作品では、外国語映画賞の候補となった、ナチスの残党として捕虜となった少年兵たちが地雷除去という命がけの作業を課せられる「ヒトラーの忘れもの」、妻に先立たれ仕事もクビになった頑固なおじいさんが近所に越してきた移民の家族に振り回されながらも再び生きる希望を見出していくスウェーデン発のヒューマンドラマ「幸せなひとりぼっち」、そして見事受賞もしているのは 「別離」「ある過去の行方」のイランの名匠アスガー・ファルハディ監督が、家で侵入者に襲われた妻と、その犯人を執拗に探し続ける夫の姿を描いた「セールスマン」などが評判に違わぬ作品でした。
作品賞部門では上記の「ドリーム」も候補でしたが、他にも、兄の突然の死で故郷に戻り過去の傷と向き合うこととなった男の姿を描いた「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、メル・ギブソン監督が、戦争で武器を持つことを拒否しながらも衛生兵として75名の兵士の生命を救ったことで勲章を受けたデズモンド・ドスの姿を描いた「ハクソーリッジ」、そしておそらく2018年のアカデミー賞作品賞候補となるであろう、「ダークナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、第2次大戦で戦場に取り残された英仏連合軍の決死の救出作戦を描いた「ダンケルク」もオススメです。

異色作コーナーでは、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じたことでも話題となった「スイス・アーミーマン」、全編をゴッホが描いた絵のタッチで表現し、ゴッホの死の真相に迫るミステリーとしても楽しめる「ゴッホ 最期の手紙」、そして、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が冴えないパンク少年が出会った宇宙人少女との恋と運命を描いた「パーティで女の子に話しかけるには」などのインパクトが強かったです。

最後に、マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の同名小説を圧倒的なボリュームで描ききった「沈黙 サイレンス」も挙げておきます。

とまああまりにも良作が多いので勝手に作ったカテゴリーでまとめてみました。(;・∀・)


すべての色が集まると?

2016年はホワイトオスカーと揶揄されたように、アカデミー賞の俳優部門のノミネートが全員白人だった反動を受けてか、2017年はうってかわって黒人の候補者が増え、マハーシャラ・アリ(「ムーンライト」)が助演男優賞、ヴァイオラ・デイヴィス(「fences」)が助演女優賞を受賞しています。作品賞候補でも、8作品中3作品(「ムーンライト」「ドリーム」「fences」)が黒人やその社会を描いていて、「ムーンライト」が作品賞を受賞しています。

そういう時勢もあっての受賞ということもあるかもしれませんが、そのわりに「ムーンライト」上記に挙げてねーじゃねーか!と突っ込まれそうなので言い訳をしますと、「ムーンライト」は映像の良さやキャストの良さはありますが、作品としては非常に普通だという印象だったんですよね。映画で題材になっているのは、セクシャルマイノリティー、貧困、親のネグレクト、ドラッグといった問題で、人種差別が軸ではないんですよ。ただ逆に言えば、こういう映画が作られるようになったこと自体がまさに時代の変遷とも言えるべきで、かつてアカデミー賞の大本命と言われながらも描いているのがカウボーイの同性愛ということで保守層に嫌われた「ブロークバック・マウンテン」が受賞を逃したのとは実に対照的です。
ただ作品としては普通なので、自分たちの知識や技術、能力で真っ向から差別に立ち向かった「ドリーム」や、黒人に対する差別意識を逆手に取った「ゲットアウト」の方が映画として純粋に魅力的だったかと思います。
今ハリウッドはセクハラ問題に揺れているので、今度はそれを意識したかのような作品が日の目を見るようになるかもしれませんね。


笑いの神様はいずこ・・・?

上記に上げた作品を見返したところ、コメディーと言えそうなものがかなり少ないんですよね。「おとなの事情」は一応コメディーですが、あまり笑えるタイプの作品ではないですし。ジャンル的に難しいところはありますが、ここいらで思いっきり笑えるコメディー作品にも期待したいところです。逆にホラー、スリラー系はアイデアを活かしやすいということもあるのか、単に自分が好きなだけかもしれないけど、良い作品が目立ったという感じでした。

ヒーロー全員集合?

2017年もアメコミ大作がずらりと公開されましたが、「ジャスティス・リーグ」に代表されるように、どんどんヒーローが集まりだしている印象です。ただ集まりすぎると一人一人が目立たないし作品としての魅力としても疑問に思ってしまいます。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も次は合流しそうな雰囲気でそれでどうなるのかは心配です。「マイティ・ソー バトルロイヤル」ではハルクが出ていました(Dr.ストレンジもちょろっといた)が、それぐらいならいいんですがあまりに集めすぎるのはいかがなものかと思ってしまいます。

とまあ、いろいろ書いていたらキリがなさそうなので、このへんで。

2018年も素晴らしい映画と出会えることを願っています。
(すでに10本以上鑑賞しているのに全くレビューできていない・・・(T_T))
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MOVIE OF THE YEAR 2017 <<邦画編>>

またしても更新を盛大にサボっているうちに年が明けてしまいました・・・(;´Д`)

さてさて、2017年の最も印象に残った映画10本をご紹介したいと思います。
なお対象はわたくしが主に札幌(一部東京もあります)で2017年内に劇場で鑑賞した作品に限定しております。
この年に観たのは全部で273本!
いやはや我ながらたくさん見ました~。

というわけで、まずは邦画編から!


人生フルーツ

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厳密に映画ではないかもしれないけれど、極めて優れたドキュメンタリー作品だと思います。
「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」などの東海テレビ製作ドキュメンタリーの劇場版第10弾は、90歳の建築家とその妻に焦点を当てています。2人の生き方はまさにスローライフそのものなのですが、建築に対する考え方、仕事における理想と現実の揺れ動き、そして自分たちの世代だけじゃなく子孫の未来をも見据えた生き方、どれ一つとっても素晴らしいです!
札幌ではシアターキノでまだ回数限定でロングランをしております。
未見の方はぜひ!

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夜は短し歩けよ乙女

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森見登美彦の同名小説のアニメ映画化で、監督は、「MIND GAME マインド・ゲーム」「ピンポン THE ANIMATION」の鬼才・湯浅政明。
原作が大好きすぎるので映画化されるのは正直どうなのか、と最初は思っていましたがフタを開けてみれば、原作のテイストや世界観をしっかりと維持しながらも映画ならではのオリジナル作品として仕上がっていました。
ぜひ原作ともども見ていただきたいです!

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君の膵臓をたべたい

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住野よるの同名小説の映画化。膵臓の病気で余命わずかのヒロイン・桜良と、そのことを偶然知ってしまった僕の姿を描く青春ストーリー。
とにかくタイトルのインパクトがあった原作は未読なのですが、なんともみずみずしい傑作でした。
高校生にして余命わずかということを自覚している桜良の達観したような生き方、たたずまいはほれぼれしてしまいます。演じる浜辺美波がとにかく魅力的!
一時期乱発された難病モノとは一線を画する完成度になっています。今年はアニメ化もされるようでそちらも期待!


夜明け告げるルーのうた

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東京から引っ越してきて1人音楽を作ってはネットにアップするだけの日々を過ごしていた少年・カイが、クラスメイトに無理やり誘われたバンドの練習のために訪れた島で、彼らの音楽に誘われてやってきた人魚の少女ルーと遭遇する・・・。
これまた湯浅政明のアニメーション作品です。
ファンタジー色が濃い本作こそがまさに監督の真骨頂かも。
映像と音楽の調和も素晴らしく、観ている人みんなを幸せにしてくれる映画です。




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「殯の森」「あん」の河瀬直美監督が映画の音声ガイドを作成する仕事をしている女性と、モニター試写に参加していたもうじき目が見えなくなるカメラマンとの心の交流を描いた作品。
「光」は三浦しをん原作の映画化も現在公開中ですが、こちらは河瀬直美監督の方です。河瀬直美監督は「萌の朱雀」以来カンヌをはじめ海外で絶賛されていましたが個人的には受けつけなかったのですが、本作は素晴らしかった。言葉だけで情景を伝えることの難しさ、もうじき光を失う男だからこそ見える風景、その思いが重なった時、それが一筋の光となるのでしょう。


泥棒役者

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「小野寺の弟・小野寺の姉」で長編監督デビューを飾った西田征史監督が、再び自身の舞台を映画化したのが本作です。
ひょんなことから絵本作家の家に強盗に入った主人公が、そこで編集者と勘違いされ、とっさにウソをついている間に話はどんどんこじれていき・・・。
まさに舞台劇のようなテンポの良さ、それぞれの登場人物の思惑や行動がうまいこと展開していくさまは笑って泣ける極上の展開に。
キャストも軒並み素晴らしいですが、中でも主人公の恋人役の高畑充希が絶品!まさに理想的な彼女ですよ。
ラストにも嬉しいサプライズが待っています。


帝一の國

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古屋兎丸の同名コミックの実写映画化。超エリート高校を舞台に、生徒会長になることに命を燃やす主人公・赤場帝一と彼のライバルたちの姿を描く。
これまた原作のイメージを保持しながらも、映画オリジナルの展開やストーリーのまとめ方が良い方に出ています。そして何と言っても出演陣のキャラの濃さ。それを見るだけでも十分に楽しめます。キャストは今をときめく旬のイケメンを取り揃えていながら、ジャニーズ系に頼っていないのもすごいところ。

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虐殺器官

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34歳で夭逝した伊藤計劃の原作をアニメ映画化するProject Itohの最終作は、作者史上最高傑作の映画化。
アメリカの特殊部隊に属するクラヴィス・シェパード大尉に課せられた任務は、世界各地に虐殺の種をばらまく謎のアメリカ人言語学者ジョン・ポールを暗殺せよ、というもので・・・。
原作も大好きだったので楽しみにしていた映画化ですが、どうしてもスリムアップせざるを得ない部分もあったのだろうとは思いますが、原作のイメージそのままの映像化はできているように思います。
ただ原作の方が細かいネタも多いので、ぜひ観終わった後は原作の方もお読みください。改めて若い才能が失われたことが悔やまれますね。

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暗黒女子

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お嬢様ばかりが通っている名門女子高、聖母マリア女子高等学院。その中でも選ばれし者しか入部を許されない文学サークルの会長いつみが謎の死を遂げる。その後を継いだ副会長の小百合は、彼女の死を悼み、メンバーそれぞれが創作した小説の定例朗読会のテーマを「いつみの死」にするのだが、それぞれの物語には、その死の真相を匂わせるような表現があり・・・。
イヤミスとして評判の原作だけあってなかなかの出来。清水富美加が出家前の出演ながら素晴らしい存在感を出しているだけにいろいろもったいない。

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劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き

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動物写真家・岩合光昭が世界中の猫の姿を捉えた人気TV番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版。津軽のリンゴ農家で暮らすコトラとその一家を中心に世界の猫たちの選りすぐりの映像をまとめています。平成のどんぎつね、こと吉岡里帆の語りも優しく、徹底したネコ目線で捉えた作品には誰もが心癒されるはず。やっぱり猫が好き!(ФωФ)ノ


というわけで、2017年の邦画10本を選んでみました。
それ以外でも、ブラック企業で働く主人公が不思議な青年との交流を通して自分の人生を見つめ直す「ちょっと今から仕事やめてくる」、中学生男子のアホで間抜けで情けなくてキラキラしている青春を描ききった「14の夜」、韓国映画のリメイクで入江悠監督による大胆で挑発的なエンターテイメント作品に仕上げた「22年目の告白-私が殺人犯です-」、沼田まほかる原作で共感度0%の謳い文句に恥じない(?)クズ人間のオンパレード「彼女がその名を知らない鳥たち」なども印象に残っています。

王道コメディー系では、土屋太鳳が鳥人間コンテストに挑む姿を描いた「トリガール!」、新垣結衣扮する元天才卓球少女がうだつの上がらない元ボクサーと卓球のダブルスで再起を目指す「ミックス。」あたりは安定して楽しめる作品になっています。

例年賛否両論になるマンガ実写化部門では、今年の邦画実写作品では一番のヒットとなった「銀魂」、羽海野チカの人気コミックで将棋にすべてをかける主人公・零の姿を描いた「3月のライオン 後編」(前編は原作と比較したバランスの悪さが目立ったが後編で見事帰結)あたりは良かったですね。

そしてスウィーツ映画部門では、川口春奈扮するヒロインが一週間たつと記憶がリセットされてしまう「一週間フレンズ。」、福士蒼汰と小松菜奈主演で京都を舞台に贈るファンタジックなラブストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」、見た目からチャラいと思われる山本美月をヒロインに圧倒的な伊野尾無双が堪能できる「ピーチガール」、そして年末に公開されたばかりの、平祐奈扮するお嬢様のポジティブさにグイグイ惹き込まれる「未成年だけどコドモじゃない」なんかがおすすめです。

最後に、2017年の邦画最大のヒット作「名探偵コナン から紅の恋歌」も百人一首をフィーチャーしながらミステリーとしてもそれなりに仕上がっていてよく出来ていた印象です。


人気コミック原作の実写映画化にあたっての注意点

人気コミックの実写映画化問題は毎年触れているので、今年はどのような点に注意すれば高評価につながるのか?を中心にカイていきたいと思います。

1. 力みすぎない

ハリウッドのように映画製作に何十億、何百億と投じることができるわけではないので、極端なSFXやCGが必要となる作品は向かないでしょう。となると超大作系というよりは日常系の作品のほうが良いでしょうね。2017年だと「3月のライオン」や2018年に完結編が公開予定の「ちはやふる」などはそういった意味では適していると言えます。反対に「進撃の巨人」あたりはなかなか厳しかったように思います。

2. 長編をよくばりすぎない

原作が長く続いている=人気ということもあって、実写映画化の運びになるのは頷けますが、エピソードを欲張りすぎるとろくな結果になりません。「無限の住人」「鋼の錬金術師」あたりがまさに該当しています。また人気作となると多くのファンを抱えているので彼らに見てもらうことは重要なのですが、えてしてそうしたファンの評価は厳しいものです。「ジョジョの奇妙な冒険」は個人的には頑張っていた方だとは思いますが、原作ファンからの評判は決してよくありません。

3. 原作の再現性を大事に

「ジョジョ~」の批判としてはやはり原作と実写キャラとの違和感でしょう。これも思い入れがなければそこまで気にならないんですが、「鋼の錬金術師」でもやはりコスプレ感が否めないのは事実でした。その点、「銀魂」がうまくいったのは原作のイメージをしっかり保っていたこともあるでしょう。


スウィーツ系映画の変化

わたしはだいぶ以前からスウィーツ系映画もこよなく愛する雑食系おっさんなのですが、かつてはとにかく壁ドン!みたいな安易なノリで作られていて失笑の作品も多いのですが、最近はいろいろ考えさせられたり、感動したりするものも出てきている印象です。上記に上げた作品なんかもしれに該当します。やはり物語や設定、キャラを大切にしつつ、スウィーツテイストを足していくぐらいのバランスが良いのではないでしょうか?

How to live

2017年の作品群を見てると、生き方がテーマな気がします。
「人生フルーツ」はまさにお二人の生き方そのものですし、「夜は短し~」も奥手ながら一途な主人公の生き様が描かれています。「君の膵臓を食べたい」も余命わずかの女子高生が主人公と、まさに、人は(あるいは、ネコは)いかにして生きるべきか?を問いかけてくるような作品に良策が多かった印象です。

さてさて、心に触れる作品はあったでしょうか?
後日、洋画編もお送りします!(^O^)/

「無限の住人」感想。


(公式HPより引用)

[story]
逸刀流を名乗る剣士たちに両親を殺され、復讐を誓う少女・凛(杉咲花)は、謎の老婆から、不死身の侍、万次(木村拓哉)の存在を知らされる。妹の面影を残す凛の復讐に手を貸すこととなった万次は、彼らの前に現れた逸刀流の剣士たちと戦い続け、ついには逸刀流当主、天津影久(福士蒼汰)のもとへたどり着くのだが・・・。

「月刊アフタヌーン」に長期連載されていた沙村広明の同名コミックを、「十三人の刺客」「テラフォーマーズ」の三池崇史監督により実写映画化されたのが本作です。

三池監督といえば、竹内力や哀川翔主演のVシネマで頭角を現し、「妖怪大戦争」「十三人の刺客」といった話題作も多く、深キョンのドロンジョが話題になった「ヤッターマン」も監督していますが、最近は漫画原作の映画化が多いような印象ですね。
上記の「テラフォーマーズ」もそうですが、「クローズ」や「神さまの言うとおり」、「土竜の唄」なんかも監督しています。
良くも悪くも何でも屋という印象なのですが、最近のフィルモグラフィーはどうも・・・。

その上、SMAP解散騒動に揺れるまさに渦中にいた木村拓哉が主演とあって、公開前から何かと話題になっていた印象です。

自分は映画鑑賞時は原作は未読だったのですが、このたび全巻読破しましたので、未読時の感想、読後の感想をそれぞれ書いていきたいと思います。

映画はオープニングで、万次が不死となるきっかけのエピソードが描かれます。旗本を斬り追われる身となっていた万次が、司戸(金子賢)率いる幕府に雇われた浪人衆によって妹・町(杉咲花[2役])を人質にされてしまいます。敵は全て斬り伏せたものの町は殺され、自分も息も絶え絶えになっていました。そこに謎の老婆・比丘尼が現れ、"血仙蟲"という寄生虫を体内に入れられます。この虫によって斬り落とされた腕が再生し、万次は不死身となります。

と、ここまでがオープニングなのですが、長い!
その上、万次が不死であること、妹の町が殺されたことも観ている人がわかってしまうのはどうかと思います。
万次が50年後に凛と出会った時の驚きが感じられなくなってしまうので、この編集にはいささか疑問でした。

その後、凛は万次とともに逸刀流の剣士たちへの復讐の旅に赴くことになるのですが、逸刀流として登場してくる黒衣鯖人(北村一輝)、凶戴斗(満島真之介)、閑馬永空(市川海老蔵)らとの戦いは、彼らのキャラ(オリジナルも演者も)はかなり個性的なのですが、肝心の戦いとなると、万次は不死を利用して、あえて斬られて、相手が油断したところを斬る、という戦法ばかりなので、非常に単調になってしまっています。
その上、映像も暗く、カメラもあえてなのか手持ちが多くブレブレなのが残念でした。
ラストに万次、凛、そして天津影久と同じく逸刀流の紅一点・乙橘槇絵(戸田恵梨香)が幕府軍300人との斬り合いをするというのがラストのアクションになるのですが、人数規模では大きくなっているものの、オープニングほどのインパクトがないのも残念な印象でした。

それではストーリーの方はというと、残念ながらそちらも十分とは言い難いですね。
万次、凛が逸刀流の剣士を追う、これがメインの流れですが、逸刀流は幕府側からも狙われています。
これは、実は幕府側が逸刀流を指南役にすると偽り、不穏分子として根絶やしにしようという謀略によるものなのですが、逸刀流の背景があまり出てこないので、なぜそこまで仕官にこだわるのかといった部分が曖昧でした。

キャストについては、特にキムタクはSMAP解散騒動でもそうですがいろいろと悪役に祭り上げられている印象があり、本作の公開時も決して褒められた評価ではありませんでしたが、なんだかんだで絵になるのはキムタクならではかと思いました。万次も清廉潔白なキャラではないので、その部分も一致していますしね。

結局、キャラが多く、それぞれの背景や設定が説明不足なために、登場しては戦って退場をポンポン繰り返す作品になってしまっているのが問題点でしょう。ただこれは30巻もの原作を2時間そこそこの1本の映画にまとめようとしている時点でどだい無理な話で、監督が悪い、脚本が悪い、キャストが悪いと何か一つを責められるというものではない気もしますね。

というのが、映画を観終わった時の感想でした。

その後、原作を読んでいろいろと補完できた結果として、やはり映画は残念なできだったなあと思ってしまいました(苦笑)。

とりわけ、万次の再生能力を活かした場面があまりないのが問題点ですね。
映画では全カットになっていますが、原作では川上新夜という逸刀流の剣士との戦いがあります。
彼は今はお面を作る職人として息子と2人ほそぼそと暮らしているのですが、凛の両親の殺害の中心的人物の一人でした。
ところが、その事実を知る前に凛は新夜の息子・練造と仲良くなってしまっているのです。結果的に万次は新夜を斬り伏せますが、今度は万次が練造の仇敵となってしまうわけです。
この復讐の連鎖を止めるために、凛と万次が一芝居うつわけですが、ここで万次の不死の体がうまく使われています。
このシーンは、万次の不死の活用だけでなく、逸刀流が単なる悪党だけではないということ、凛が復讐とは何なのかを自問自答するターニングポイントになっているのですが、映画では全く描かれていないのが残念です。

他にも、罪の赦免として幕府の手先として逸刀流の行く手を追う無骸流として、尸良(市原隼人)、百琳(栗山千明)、偽一といった面々がいるのですが、映画では、尸良はかなり目立っていますが、百琳と偽一はほとんどモブキャラ扱いになっています。原作では琳や万次と行動をともにする時間も多く、ストーリーにもがっつり関わっていて重要キャラのはずなんですが、やはり尺の問題ということでしょうか。

それ以外にも、万次が幕府に捕らえられ人体実験に使われるあたりのエピソードなども省かれており、原作ファンとしてはかなり不満の残るできでしょうね。

キャストは、キムタクと杉咲花が思いっきり現代語なことさえ気にならなければ軒並み良かった印象です。
市原隼人の容赦ない悪党っぷり、北村一輝のぶっ飛んでいるキャラクター、市川海老蔵の得体の知れない不気味さ、それらは存分に味わえます。

そして、戸田恵梨香は独特な着物姿なので、美しいおみ足が見え隠れするんですよね。もうなんか、本当にありがとうございました。

ということで、原作ファンにはあまりおすすめできませんが、キャストの誰かに思い入れがある人なら満足できるのではないかと思います。

三池監督はこの後、撮影前から原作ファンからの怒号が飛んできそうな「ジョジョの奇妙な冒険」の実写化も監督しているので、鋼のメンタルを持っていると言わざるを得ませんね・・・。

「ムーンライト」感想。


(公式HPより引用)

[story]
シャロン(アレックス・ヒバート)は、リトルと呼ばれ、内気な性格もありいじめられっ子だった。ある日、いじめられっ子に追いかけられていたところをフアン(マハーシャラ・アリ)という男に助けられる。シャロンは徐々にフアンに心を開いていき、フアンもシャロンに生きる上で大切なことを教えてくれるようになる。一方、彼が唯一心を許している友だち、ケヴィン(ジャハール・ジェローム)に対して、単なる友情を超えた何かが湧き上がるようになり・・・。

貧困地域に産まれた黒人少年が、いじめや自分のセクシャリティーに悩みつつも成長していく姿を、少年期、青年期、成人期の3つのパートに分けて描いた作品です。
本作は、2016年度米アカデミー賞作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞しています。

主人公のシャロンを3つのパートそれぞれで異なる俳優さんが演じているというのも特徴です。
内気で体も小さいいじめられっ子だった頃のリトルの時代、青年になりフアンがいなくなり、母親の麻薬中毒もひどくなる一方で、心のよりどころを失っていく一方で、自分のセクシャリティーについて目覚めていったシャロンの時代、そして、暴行事件がきっかけで逮捕され、刑務所で体を鍛えて誰の力にも屈しないようにするととともに、刑務所内でできたツテでフアンと同じように麻薬の売人として生きていくことになるブラックの時代と、描き分けられています。

本作は一貫して、矛盾と皮肉に包まれています。

リトルは小さい頃からいじめられていますが、その原因の1つがセクシャリティーにあることはまだ本人ですら自覚していないのに、周りのいじめっ子の方がそれを敏感に感じ取っていじめのネタとしてくる皮肉。

リトルに手を差し伸べ、いわば父親代わりかのように親身に接してくれるフアンは、リトルの母親が麻薬中毒でリトルに対してネグレクト状態であることを知り、リトルのためにもなんとかしたいと思いますが、母親に麻薬を売っていたのは他ならぬフアンだったという皮肉。

刑務所から出所したリトルが生業としたのが、自分と母親との関係をズタズタにしてしまった麻薬の売人であるという皮肉。
しかもそれがかつてフアンに言われた「自分の道は自分で決めろ」という言葉の対極にもなっているという皮肉。

そんな矛盾や皮肉をはらんだ登場人物たちの思惑をよそに、全編がブルーで統一されたかのようなビジュアルは一切変化がありません。
フアンの車、シャロンたちの通う学校の教室、そして月明かりに照らされた海。かくも複雑な人間たちを前にただそこに存在するかのような風景という描き方が印象的でした。

ただ、ストーリー云々のことで言うと、そこまでインパクトのある作品だとは思えませんでした。
物語の重要なキーを握っているフアンは、第1部のリトル時代しか登場せず、第2部のシャロン時代ではすでに死んだことになっています。しかもその詳細は特に触れられていません。第2部でシャロンを気にかけるフアンの恋人テレサも、第3部には登場しません。

小さい頃からいじめられっ子だったり、セクシャリティーで悩んでいたりと様々な問題が描写されているものの、決してドラマ性が高かったり観ているものを唸らせるような展開があったりするわけではなく、淡々と描写されている印象です。

アカデミー賞でこそ脚色賞を受賞していますが、脚本賞(それ自体が映画のオリジナルのもの)と脚色賞(既存の原作を映画用にリライトしたもの)の区別がない賞では、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」や「ラ・ラ・ランド」の方が受賞しているあたりでも、ストーリーそのもののインパクトではないのかもと思っています。

ここ数年、アメリカの人種問題はシビアというかナイーブになってきていて、白人、黒人の差別だけでなく、ヒスパニック系やその他の移民の人々をも含めた有色人種全般を対象に差別の撤廃が叫ばれていて、映画やドラマでもやたらと人種のオールスターかのようになっています。

その一方でアカデミー賞を始めとするアメリカの映画界ではまだまだ潜在的な差別の意識が強く、2015年のアカデミー賞では主演・助演男優女優賞の全てのノミネートが白人だったことも問題視されていました。
この流れを経ての2016年度だったわけですが、本作で助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリをはじめ、各賞に最低1人、助演女優賞に至っては5人中3人が非白人俳優のノミネートとなりました。
この多様性の評価の流れを受けて、本作がアカデミー賞作品賞に輝いたというある種のトレンドの影響はゼロとは言えないでしょうが、今回の受賞の本質は別のところにあると思っています。

本作の描かれていない特徴の一つとして、人種差別的な要素がほとんどなかったということが挙げられます。
これまで有色人種、とりわけ黒人を主人公としたアメリカ映画ではその多くが人種差別を描いているものでした。
2016年度アカデミー賞の作品賞にもノミネートされた「ドリーム」や2013年度のアカデミー賞で作品賞を受賞している「それでも夜は明ける」はまさに人種問題をダイレクトに描いた作品です。

本作は描いている対象がたまたま黒人のコミュニティーだったというだけで、貧困問題やセクシャリティーの問題にスポットを当てているというのがまさにエポックメイキングな作品であると言えるのではないでしょうか。

2005年度のアカデミー賞では、大本命と言われていた「ブロークバック・マウンテン」が作品賞の受賞を逃し、「クラッシュ」が受賞したということで、当時のアカデミー会員がLGBTに対する理解不足もあり、やはり保守的な態度なのではないかと問題視されたこともありました(個人的には「クラッシュ」も素晴らしい作品だったので結果自体は納得していたのです)が、こういう作品が受賞できたということ自体も、多様性理解の第一歩なのかもしれませんね。

「帝一の國」感想。


(公式HPより引用)

[story]
エリート学生たちが通う海帝高校。政財界と強力なコネがあり、生徒会長を務めたものは、将来の官僚が約束されているという。首席入学した赤場帝一(菅田将暉)は、「将来、総理大臣になって自分の思い通りの国を作る」ことを夢見ており、2年後の生徒会長の座を目指してライバルたちとの学園内闘争へと身を投じていくのだが・・・。

古屋兎丸の同名コミックを原作に、菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大らイケメン俳優をずらりと揃えて実写映画化したのが本作です。

自分はこの原作を知らなかったのですが、「ライチ☆光クラブ」の原作者でもあるんですね。こちらも映画化されていて野村周平、間宮祥太朗は、連続で古屋兎丸原作の映画に出演ということになっていたんですね。

時代設定は明確ではないものの全体的には昭和を感じさせる雰囲気の中、学歴社会の権化のような高校が舞台となっています。

主人公の赤場帝一は、まさにエリート街道をひたすらに走り続けてきた典型タイプで、総理大臣になれなかった父のために自分が悲願を果たすべく切磋琢磨しています。
主演の菅田将暉は、今年何本映画出てるんだってぐらいに出まくっていますが、本作でもアクの強いキャラを熱演しております。劇場にあったスタンディーでは将来の生徒会長の座のために、先輩に従いへつらう姿を存分にさらしていましたしね。

帝一の生涯のライバル、東郷菊馬は、父親の代からの因縁もあり、ことあるごとにぶつかってきます。演じる野村周平はこれまでは正統派イケメンなキャラが多かった印象ですが、今回は憎たらしいキャラをこれでもかと演じきっています。フィルモグラフィーを見ると「ちはやふる」の直後で「サクラダリセット」の合間に撮影したようで、振れ幅がスゴイ!

帝一や菊馬よりも生徒会長にふさわしいのではと言われるのが、大鷹弾。家は貧乏だけど頭脳明晰、運動神経抜群、人望にも熱い爽やかなイケメンという非の打ち所がないキャラクターです。演じる竹内涼真はその後のテレビドラマ「ひよっこ」や「過保護のカホコ」で一気に人気者になった気がしますが、本作でもその片鱗がうかがえます。

他にも、帝一たちの1学年先輩で、元不良ながらてっぺんを目指して海帝高校にやってきた氷室ローランドに扮する間宮祥太朗は、怪しい魅力たっぷりのキャラクターで、「ライチ☆光クラブ」のキャラを継承しているかのよう。

この氷室の対抗馬である森園億人は沈着冷静なキャラクターで、王子様系のキャラが続いている千葉雄大が演じています。

そして!
腐女子の皆さま、大変お待たせしました。

帝一の良きパートナー、榊原光明に扮するは志尊淳!
志尊きゅん!
帝一に負けず劣らず優秀な頭脳で、帝一をしっかりサポートし、様々な発明品を駆使したり、機転を利かせたりで大活躍を見せてくれます。
それでいて可愛いもの好き(特にネコ)でニャンニャンしてる姿に持っていかれる人多数!!!
思わずアブナイ橋を越えてしまいそうになりますね。

・・・

は!(゚д゚)!

あぶないあぶない、あやうく自分を見失うところでした。

ここまで読んでいるといろいろきわどい色モノ系に感じられるかもしれませんが、まあ確かに色モノ系ではあるんですが、その部分を差し引いても普通に楽しめる作品だと思います。
ちなみに今原作を追いかけて読み出しているところなんですが、原作のほうがより露骨な気がしないでもないです。

エピソードは必ずしも原作通りではないのですが、うまく原作のテイストを残しながらストーリーを構築していて好印象です。
例えば、帝一が外部生として入学してきた弾が編入のためのテストで優秀な成績だったと聞いて、自分も解いて点数勝負をするシーンがあるんですが、映画ではまさに対決!といった感じで描いていました(父親役の吉田鋼太郎が弾の点数を読み上げている予告でも流れたシーンです)が、これは映画オリジナルです。

原作では夏休みの合宿でバトルロワイヤル的なことをするのがあるんですが、これが全カットになってしまっているのは個人的には残念でしたが映画の尺を考えても仕方ないことなのでしょう。

なお本作のスピンオフ的なドラマとして、「帝一の國~学生街の喫茶店~」というものがあって、こちらは原作のエピソードを拾いつつ、主要キャラの紹介をしているということで非常に優れた作品となっていますので、本編と合わせて2度美味しいです。

記事を書くのがだいぶ遅くなってしまいましたが、ちょうど来月ぐらいにはDVDがリリースですので、ぜひそちらでお楽しみ下さい。
プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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