「PとJK」感想。


(公式HPより引用)

[story]
女子高生"JK"で恋愛初心者のカコ(土屋太鳳)は、人数合わせで呼ばれた合コンで警察官"P"の功太(亀梨和也)と出会う。不良に絡まれたところを功太に救われたカコは恋に落ちるが、功太はカコが女子高生とわかると付き合うことはできないと言う。そこで2人は秘密で結婚し、誰にも内緒で夫婦生活をスタートさせるのだった。そんな中、2人を巻き込む事件が発生して・・・。

三次マキの同名コミックの実写映画化。
監督は「ストロボ・エッジ」「オオカミ少女と黒王子」の廣木隆一。

原作は全く知らなかったのですが、当ブログは名作も傑作も珍作スウィーツ映画も美味しくいただくというのがモットーですので、迷わず見に行きましたよ~。

例によってだいぶネタバレが含まれますので、これから観る予定の方は、ぜひご鑑賞後にご再読いただければと思います。


年の差、それも許されない恋というシチュエーションで、当ブログでも紹介した「ひるなかの流星」でも同級生と先生との間で揺れる乙女心を描いていていましたが、こちらではあまり許されざる感がなかったような気がします。

他にも江國香織原作の「東京タワー」や山崎ナオコーラ原作の「人のセックスを笑うな」も年の差恋愛が題材となっています。
海外の作品では「17歳の肖像」なんかもありましたね。

高校生の頃だと、年上の落ち着いた大人の人というのが憧れの対象となるのでしょうか、本作ではさらに亀梨和也が演じている上に、自分のピンチを助けてくれたということで、恋愛要素がバリバリ全開でしたね。

功太からすれば警察官である自分が女子高生と付き合うことはできない、と最初ははっきり拒絶するのですが、自分のせいでカコを傷つけてしまったこともあり、急に「結婚しよう!」と言ってきます。
唐突すぎる展開ではありますが、まあこのあたりはマンガ原作ということで目を瞑るしかないですかね。

その後、2人の秘密の夫婦生活がスタートし、周りにバレないかヒヤヒヤ・・・みたいな展開になるはずなんですが、全くそうはなりません。

最初にカコが怪我をしてしまうときにそのきっかけとなった不良、大神(高杉真宙)が、実は同級生(出席が足りてないからか留年しているので本来は1年上という設定)で、クラスでも浮いた存在なのですが、カコは放っておけずに積極的に話しかけ、文化祭の準備に強引に借りだしたりもします。
カコの親友ミカド(玉城ティナ)や友人の二郎(西畑大吾)らも大神と自然に話すようになります。ただ、大神は、家庭環境にも問題があり、母親が連れ込んだDV男のせいで、大神もバイトをしてはお金をむしり取られる日々でした。

そんな大神を気にしていたのが功太でした。
功太は自分も元は不良で、警察官だった父親が自分をかばって犯人に刺されて命を落としたことで、自分も警察官になる決意をしたのでした。
似たような境遇の大神を放ってはおけなかったのです。

・・・

主役、大神じゃね???

カコたちと大神のストーリー、大神と功太のストーリーという2つが軸になっていて、合間にカコが慣れない家事に奮闘する姿があるという構成で、何を描きたいのかわからなくなってしまいます。

終盤、不良仲間から足を洗おうとした大神に、仲間たちが焼きを入れにやってきます。

学校の文化祭に!

これ恋愛マンガやドラマでも結構あるんですけど、ゴリゴリの不良が文化祭に乗り込んでくるというのが違和感ありすぎなんですよね。
だけど大神を見つけられなかったので、かわりにカコを拉致します。

このことに気づいた大神と功太はカコを助けに行きます。
そこでの乱闘騒ぎで功太とカコが結婚していることがバレますが、特にストーリーに支障はありません。
しかし、不良たちとの取っ組み合いで功太はナイフで刺されてしまいます。

病院で看病するカコ。
自分のことを助けてくれた功太の愛を改めて確認したんやね・・・

と、思ったら!

「重すぎる・・・」

と言い残し、結婚指輪を置いて去っていきます。

・・・

カコが功太が危険な仕事をしなければならないことで常に不安でいる、というのは分からないでもないんですが、自分を助けに来て、しかもそのために怪我をした相手にこのタイミングで言うのかと!

そんなこんなで離れ離れになってしまう2人ですが、カコの学校で警察代表として功太が防犯の講演会に出た時に、ミカドが「なぜ危険な警察官という仕事を続けるのか?」という質問に、功太は「大事な人から、命を守ることの大切さを学んだ。」と答えます。

感動したカコは再び功太とヨリを戻します。

ハッピーエンド!
この感情の高ぶりを示すには、これしかない!

そう、フラッシュモブ!

ということで登場人物たちが軽やかにダンスをキメて、終了です。

あ、陰の主役の大神くんは母親がDV男と別れ、別の町に引っ越していきましたよ。


というのが大まかな流れなんですが、いくら少女マンガがベースとは言え、看過できないレベルのストーリーや設定の酷さを感じてしまいました。

1. 禁断の恋・・・なのか?

女子高生と警察官の恋愛、そして結婚ということですが、そもそもなぜ結婚することになったのかが突然過ぎます。
カコを守るため、というのは分からないではないですが、今回のきっかけとなった事件はカコが不良の溜まり場みたいなところに行っちゃっただけなので、守る守らないって話に結びつけるのは無理があります。
カコの方はともかく、功太がカコに惹かれるエピソードが何かないとここの展開に納得がいきませんでした。

その後、2人は秘密の結婚生活をスタートするのですが、法的には可能とはいえ周りには知られないようにしないとという状況になるはずですが、これがバレるかも、といった緊張感が皆無です。
そもそも、カコの両親が知っているのはともかく、ミカド、功太の上司の山本(田口トモロヲ)、後半では大神も知ることとなります。
もはや主要登場人物がだいたい知ってる状態ですし、最後の乱闘騒ぎで不良たちにも知られますが、これがストーリーになんら寄与していない!
となるともはやこの設定である必要すらなくなってしまいます。

2. 恋のライバル不在

恋愛モノといえば、恋のライバルがつきものなんですが、本作には不在です。強いて言えば大神で、カコが着ぐるみバイトをしている大神と会い、しゃべっているところに功太がやってきて、「人を見る目がない!」と怒るシーンがあります。ここでは功太の嫉妬心も多少は含まれているでしょうし、大神からしても学校でしつこく話しかけられるうちに心を開いているようなシーンがあります。ただ、ライバルというレベルでもないし、なにしろカコと功太はすでに結婚しているので、そういう発想すら出てこないというのが恋愛モノとしての面白みに欠ける作りになっています。

とまあ致命的にストーリーに問題点があると言わざるを得ないのですが、良い点もいくつかあるんですよ。
まずはキャストですね。
土屋太鳳はさすがに女子高生役はなかなか厳しい気もしますが、それでも文化祭でカッパに扮したりと体当たり演技を見せてくれています。
特筆すべきは大神役の高杉真宙ですね。
本作では不良役で強がっている部分と繊細な部分を巧みに演じ分けていましたし、同じく今年公開の「ReLIFE リライフ」では主人公の友人で頭脳明晰スポーツ万能ながらどこか抜けているキャラを演じています(役名は偶然にも本作と同じ大神です!)。

そして舞台となった函館ですね。
金森赤レンガ倉庫や味のある市電、そしてカコたちの通うレトロな雰囲気のある学校(遺愛女子高校がモデルみたいですね)と、函館の雰囲気をこれでもかと映してくれます。


原作の方はまだ続いているようで、もしかしたら2人の結婚の事実がバレてなにか問題になるといった展開もあるのかもしれませんが、本作に関しては設定を活かすようなストーリーではなかったのが残念でした。

ところで文化祭ってあんなレベルで作られているものなのかね?
自分の高校の時はもっとレベルが低かった気が・・・。
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「T2 トレインスポッティング」感想。


(公式HPより引用)

[story]
スコットランド、エディンバラ。レントン(ユアン・マクレガー)は大金を持ち逃げして以来20年ぶりにアムステルダムから帰郷した。シックボーイことサイモン(ジョニー・リー・ミラー)は表向きはパブを経営しながら裏では売春やゆすりで稼いでいた。レントンはシックボーイと再び点を組んでビジネスを始めることに。そこに相変わらずジャンキーで妻子に見放されたスパッド(ユエン・ブレンナー)も加わることになった。その頃、殺人罪で服役中だったベグビー(ロバート・カーライル)が脱獄して・・・。

英国の労働者層の若者の明日の知れない日々を描いた前作「トレインスポッティング」の実に21年ぶりとなる続編。
監督は前作と同じ「スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」のダニー・ボイル。
主演のユアン・マクレガーはじめ、前作の主要キャストが同役でそのまま出演しています。

前作の日本公開が1996年で、自分はその頃大学に入学する年で、生まれ故郷の札幌に戻ってきた年でした。
札幌ではシアターキノで上映されていて、当時は改装前でまだ1スクリーンしかなかった時代でした。
そんな状況で見た「トレイン・スポッティング」ですが、ドラッグでハイになったレントンたちが見るダークファンタジーのような世界観、それを補うスタイリッシュな音楽たち、そして明日なき若者たちの疾走感が今でも目に焼き付いています。

高校生の頃も映画は好きでしたが、それがより加速したのは大学生になってからで、「トレインスポッティング」がその1つのきっかけとなった映画でもあります。

それから21年、わたしもすっかりおっさんになりましたが、映画愛は相変わらず、いやどんどん増している状況で見に行きました。
札幌では札幌駅直結のシネコン・札幌シネマフロンティアでの上映となりました。ここにも隔世の感がちょっとありますけどね・・・。

久しぶりの続編、といえば、昨年の「ゴーストバスターズ」もありましたが、あちらはリブートというか設定も装いも新たに仕切り直しという印象でした。
他には、「インデペンデンス・デイ」もちょうど20年ぶり(前作の公開は「トレインスポッティング」と同じ1996年)、それから「トリプルX」も1作目からは15年ぶり(日本では未公開だった「トリプルX:ネクストレベル」が間にありますけどね)などもあります。

久しぶりの続編が作られるからには、元々の作品の人気が高いということはあるので、期待もありますが、前作が良かっただけに・・・という不安も入り交じるといったところでしょう。

そんなわけで本作の感想です。

前作のラストでは、4人がせしめた大金をレントンが持ち逃げし新しい未来を切り開く、というところで終わっていたのですが、本作ではそのレントンが20年ぶりに滞在していたアムステルダムからエディンバラに戻ってきます。

レントンは再びシックボーイと組んで新たなビジネスを始めようとし、そこに相変わらずジャンキーで別れた妻子との面会もできず途方にくれていたスパッドが加わり、そこに刑務所を脱獄してレントンに復讐しようとするベグビーが迫る、という流れになっています。

その後は結局あいもかわらず犯罪スレスレ、というかスレスレで犯罪な行為を繰り返していくところなんかは相変わらずです。
強盗やドラッグ横流しをしてた若かりし頃から、カードを盗んでお金を抜き取ったり、補助金を掠め取ろうとしたりと、若干知的(?)な内容にはなっていますけどね。

このように本作の魅力は、かつてのストーリーや設定を彷彿とさせながらもやはり20年の時を随所に感じさせるところにあるのではないでしょうか。


前作へのセルフ・オマージュ


本編では随所に前作の映像が映し出されることもありますが、それ以外でも多くの場面でかつての作品を彷彿とさせるセルフオマージュが溢れています。
前作では強盗をして逃げるレントンやスパッドの姿がオープニングにもなっていましたが、本作ではアムステルダムのスポーツクラブのランニングマシーンでレントンが走っている姿から始まります。若かりし頃は追いかけてくる店の人から逃げ切ったのに、今回は心臓発作で倒れちゃいますけどね。

前作でスコットランドで1番汚いトイレが出てきて、ドラッグを落としたレントンがその中に飛び込むというシーンがありましたが、本作でも匹敵するぐらいに汚いトイレが出てきます。

前作、ドラッグのオーバードーズで亡くなったトミーを見舞うシーンもやはり前作と同様の構図にしています。

そして、前作の冒頭でインパクトのあったレントンの長い独白、choose life(人生を選べ)~、がこれまた別の形で再現されています。


冴え渡る映像、音楽

前作もスタイリッシュな映像と音楽で当時の若者たち(私も含まれます(;・∀・))を熱狂させてくれましたが、本作でもその魅力は健在です。
映像では、プロジェクション・マッピングを取り入れたり、話題のSNOWを使った遊び心のある映像を用いたりもしています。
ダニー・ボイル監督は前作からの20年の間に「スラムドッグ&ミリオネア」でアカデミー賞も受賞していますが、一貫して個性的なビジュアルを見せてくれている印象ですね。
音楽も前作を彷彿とさせる曲の数々が流れますが、レントンが自宅でIggy Popの「Lust for life」をかけようとして一瞬で停めてしまう描写があります。結局のところうだつの上がらない人生を送ってしまっていることを自戒していたのかもしれませんが、観ている側としてはおあずけを食らった感じでしたけどね・・・(;・∀・)


変わるもの、変わらないもの

レントンは20年ぶりにエディンバラに戻ってきたのですが、その街の様子に驚いている仕草を見せます。かつて自分が暮らしていた頃のような物騒な雰囲気はなく、トラムの走る落ち着いた町並みになっています。
かつてレントンと一夜の関係を共にしたダイアン(ケリー・マクドナルド)も立派になって再登場します。
ベグビーは息子がいて、きちんと大学に通っています。それでもベグビーは自分の仕事(犯罪)を手伝わせようとしたりしますが、息子は断ります。息子は自分とは違いまっとうな道を生きることを考えているのでしょう。(何しろ脱獄中だし)父親らしいことは何一つしてやれないベグビーですが、最後は息子が自分の道を行くことを認め、訣別のメッセージを残します。ここも変われるものと変われないものの違いが描かれています。

レントンたちは20歳歳はとったけれど、相変わらずうだつの上がらない生活を続けていて、何も変わっていないのです。なんとかその生活を抜け出そうとした20年前とは違い、ここからやり直すというのは難しい状況です。唯一、スパッドはシックボーイの恋人でもあるヴェロニカに言われて、この一連の出来事を自分の自伝としていますが、レントンとシックボーイの状況は全く変わりありません。
ただ、彼らは、それでも生きているということに価値を見出し始めたのかもしれません。
ラスト、レントンが自室で序盤は途中で止めてしまったIggy Popの「Lust for life」をかけるところがまさに象徴的でした。

とまあ、個人的には、まさに「トレインスポッティング」の正統な続編という印象でした。
実際に映像が挿入されていたこともありますが、前作の記憶が随所に呼び戻されるのは、それだけ当時インパクトがあったということでしょう。
劇場では、自分と同世代ぐらいの人が多かった印象で、おそらくは前作のファンが来ているのでしょう。
ぜひ若い人にもこの2作は見てほしいと思います。背景とか設定とか気にしなくても、確実に映画の歴史の1つに残った作品だと思います。

「3月のライオン」前編・後編 感想。


(公式HPより引用)

[story]
(前編) 桐山零(神木隆之介)は、9歳の時に両親を事故で亡くし、父親の友人でプロ棋士の幸田柾近(豊川悦司)に引き取られる。そこで将棋の才能を開花させた零だったが、同じく将棋の教育を受けていた幸田の実の娘・香子(有村架純)との関係が悪化し、零は一人暮らしを始めることにする。慣れない生活のなかで倒れてしまった零は、通りがかった女性・川本あかり(倉科カナ)に助けられ、川本家の人々との交流が始まるのだが・・・。

(後編) 零が川本家と出会ってから1年、再び獅子王戦トーナメントに向けて準備をしていた。幸田柾近は引きこもりになっている息子とのもみ合いでケガをし入院、香子もプロ棋士・後藤(伊藤英明)との不倫関係が続いていた。一方、川本家では次女のひなた(清原果耶)が学校でいじめのターゲットになってしまう。さらには家を出ていった父親( 伊勢谷友介)が再び家に戻ってきて家族で暮らそうと言ってくるのだが・・・。

羽海野チカの同名コミックを前後編に分けて実写映画化。
監督は「るろうに剣心」「ミュージアム」の大友啓史。

大友監督は今日本でも指折り数えられるヒットメーカーの一人とも言われていますが、その監督作の個人的な評価としては、「プラチナデータ」→微妙、「るろうに剣心 京都大火編 」→面白い!、「るろうに剣心 伝説の最期編」→あれ?、「秘密 THE TOP SECRET 」→うーん・・・、「ミュージアム」→うーん、と来ての本作なので、まあ言っちゃえば、「るろ剣」の一発屋という印象でした。(;・∀・)

本作も大人気の原作だけにどうなっているのか・・・。

そして、本作は前編・後編と2部作で描かれています。
同時期に公開されていた「サクラダリセット」もそうですが、前編・後編の功罪はすでに「64 -ロクヨン- 」感想。の記事で書いておりますので、興味がある方はぜひそちらも読んでいただくとして、果たして本作は1粒で2度美味しいとなるのか、尻切れトンボになってしまうのか・・・。

キャストについて

キャスト面で言えばほぼ文句なしです。
プロ棋士の一人、島田開役の佐々木蔵之介は原作の時点で想定して書かれていたということもあるのでうり二つなのは当然でしょうが、主役の桐山零役の神木隆之介もイメージ通りだし、川本家の面々の温かい雰囲気が出ていて良いと思います。
同監督の「るろうに剣心」もキャストは100点に近いと思われますし、キャスティングだけなら大友監督作はハズレなしかもしれませんね。

原作との相違について

ストーリーの流れは原作のとおりではあるんですが、大きく違うのが、川本家と幸田家の扱い方の比重ですね。
原作ではかつて育ててもらった幸田家とのエピソードはそれほど大きくありません。零が結果的には幸田家の人々を苦しめてしまったことに負い目を感じているということを描く程度で、それが川本家の人々との交流によって癒やされていくというその後の展開の方が多くなっています。
映画版の前編では幸田家の、とりわけ長女の香子とのエピソードが多く、彼女も頻繁に登場しては零にからみ、幸田家は出会いとちょっとした交流という割合になっています。
この変更が意図的なものなのか、それともキャストが有村架純で売れっ子だから登場シーンが伸ばされているのかはともかく、原作ファンからするとアンバランスな印象です。

それから、ひなたの初恋の相手で野球部の高橋くんや、負けたら引退すると宣言したおじいちゃんプロ棋士の松永名人、そして放課後学校に一人でいる零に先生が無理やり友だちにしたような野口と科学部などは全く登場しません。
これらのキャラクターはそれほど本筋と関係がないために尺の都合で外したというのが大筋でしょうが、これらのキャラクターのシーンはややナンセンスとも言えるレベルのコメディーシーンになっているため、ともすれば深刻なドラマになりそうな世界をゆるい空気で包む緩衝材のような役割になっているので、映画版にはそれがない、つまりは心の安らぐ瞬間が少なくなっています。
川本家のネコもこのコメディーシーンを演出する重要なキャラですが映画では一応ネコを飼っているだけで特にフィーチャーされることはありません。
これに加えて上記のバランスの改変により、本作は圧倒的に重たい青春物語になっているわけです。

しかし、この改変が、後編では生きてくるのです。
後編ではそれぞれの登場人物が、それぞれの成長を見せてくれます。
川本家の次女、ひかりは学校でいじめに遭っていたのですが、それに立ち向かうことを決意します。
そして、川本家の前に、出ていったあかりたちの父親が戻ってきて一緒に暮らそうと言ってきます。そこに居合わせた零は、川本家の人々を守ろうと突飛な提案を申し出るわけですが、結局はあかりやひかりたちが自分たちで父親との決別を選択します。

その姿を見た零も、自ら強くなることを誓います。
島田が主宰する勉強会で将棋の研究をすすめるようになり、これまで勝てなかった後藤との再戦に備えます。
そして幸田家との確執から逃げるのではなく、立ち向かう勇気を持ちます。
幸田家の長男・歩もかつては香子や零と一緒にプロ棋士を目指すべく教育されていたのですが、零との実力差を知ってしまい、零とあからさまに衝突している香子とは対照的に、歩は引きこもっていました。
零はそんな歩に対して、獅子王戦の決勝戦へ招待するのです。これはかつて歩が零に言っていたことでした。

後藤もまた、長らく入院していた妻が亡くなり、さらには香子との関係を清算します。これは全てを将棋にかける決意の現れとも取れます。
一方の香子も後藤との不倫関係が終わり、彼女もまた自分の道を歩んでいくような表情をしていました。

他にもいろいろありますが、それぞれの人物の成長物語としての完成度は高く、前編で蒔いた種が見事に結実した作品だとは思いました。
ただ、残念ながら話題作で人気コミックが原作の割には興行的には芳しい成績とは言えません。

その要因としては、前編で原作とのバランス感の違いが大きく、原作ファンはそもそも見ていないか、前編で失望してしまった可能性があること。原作ファンじゃない人にとっても、シリアスな部分にシフトした作風で重たいストーリーが受け付けなかったことがあるのではないでしょうか。
いずれにしても、後編を見にいくということには繋がらなくなってしまいます。

このあたり「3月のライオン」を持ってしても前編後編作の難しさが出てしまったのかなという印象でした。
「3月のライオン」でこれだと、「トモダチゲーム」の方がもっと厳しい状況な気がして、前編見た身としては戦々恐々としているのですが・・・(;・∀・)

「人生フルーツ」感想。


(公式HPより引用)

自らが手掛けたニュータウンの一角の平屋に住む90歳の建築家・津端修一さんと、その妻で庭で多くの野菜と果実を育て編み物や機織りまでこなす英子さんの姿を捉えたドキュメンタリー。

「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」などの東海テレビ製作ドキュメンタリーの劇場版第10弾。

自分はあいにく上記の作品は見ていないのですが、東海テレビ製作のドキュメンタリーが非常に良質なものが多いということは聞いていて、しかも本作は札幌ではシアターキノというミニシアター系映画館で上映されているのですが、当初の予定よりも遥かにロングランとなっています。

カメラがとらえるのは、すでに現役を退いた建築家の津端修一さんとその妻・英子さん。
彼らは愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一角に、自ら建てた平屋の丸太小屋に住んでいます。
庭には英子さんが育てた野菜や果実がたくさん実っており、それぞれに小さな立て札でメッセージも書かれています。
修一さんも時には一緒に庭いじりを手伝いながら、英子さんが育てた野菜や果物を中心にしたご飯を食べて暮らす日々。
スローライフの理想型といった形がそこにはあります。

彼らの現在の生活と並行して、若かりし日々のエピソードが描かれます。
時は第二次大戦中、修一さんは海軍技術仕官として厚木飛行場で、戦闘機の製造やその工法を少年工兵たちに教える仕事に従事していました。
戦後は東京大学工学部の建築学科に入学し、卒業後は日本住宅公団で、現在の住まいにある高蔵寺ニュータウンをはじめ、多くの団地などを手がけていることが紹介されていきます。


修一さんの仕事への思いとジレンマ

修一さんはニュータウンの計画の際に、最初に重視していたのが雑木林をふんだんに残すことでした。
それは自然と人間との共生を考えたからだったのですが、時代は高度経済成長期で、人口も増加の一途をたどる時代において、兎にも角にも質より量を求められたのでしょう。完成したニュータウンは無機質な立体が並ぶ大規模空間となってしまいました。

修一さんがニュータウンの一角に住み、自宅周辺に雑木林を残しているのは今もニュータウンに住む人たちの少しでも憩いになれば、という思いがあるのかもしれませんね。

途中、修一さんは英子さんとともに台湾に招待されます。
そこでは、戦時中に日本に連れてこられた台湾の少年工兵たちが今は台湾に帰って、そこで修一さんのように建築家になって、地元の人々が住むマンションを造っていたのでした。
そこには戦争で無理やり連れて行かれたことへの遺憾の念があるわけでもなく、技術を教えてくれたことへの感謝がいっぱいでした。

この修一さんの思いは最後に見事に結実しています。
佐賀県伊万里市に完成した医療施設「街のサナーレ・メンタルヘルス・ソリューションセンター」は、心に病を持っている人と健常者がともに働くことのできる施設で、その理念に感動した修一さんが無償で設計の草案を作成していたのです。
そこでは、訪問看護やカウンセリングのための医療施設だけでなく、広大なエリアの菜園があり、そこで育った野菜や果実を利用したカフェも併設されていました。
そこは人々の共生、さらには人間と自然の共生を目指した空間があり、まさに修一さんの理想とする建築が実現されていました。


未来に残すということ、人生フルーツ

医療施設「街のサナーレ・メンタルヘルス・ソリューションセンター」は修一さんの理想でもある自然との共生として、多くの雑木林が自然な状態のままで残っています。このセンターは2017年にオープンしたばかりですが、10年、20年と時を経ていくのにつれて、自然も人も変化していくことでしょう。この"変化"を意識した建築というのは、イサム・ノグチや安田侃も言っていることで、建築が完成したその1点だけではなく未来をも見据えたものであることに他なりません。

そして英子さんもまた自分たちの暮らし方や住んでいる家や周りの自然、これらをどれぐらい自分たちの子どもや孫、次世代の人たちに残していけるかということを意識していました。

風が吹けば、枯れ葉が落ちる。
枯れ葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。

そんな風にして熟した実は、まさに次世代の人たちにとってのお手本となるでしょう。
そして再び、枯れ葉となり、また新たな生命の糧となっていくことを見守ってくれているのかもしれませんね。

「キングコング:髑髏島の巨神」感想。


(公式HPより引用)

[story]
70年代後半、米国政府特務機関“モナーク”は、南太平洋の未知の孤島に調査隊を送り込むこととなった。モナークの研究者、ビル・ランダ(ジョン・グッドマン)、ベトナム戦争から帰還したパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)らに、案内役として雇った元空軍特殊部隊のコンラッド(トム・ヒドルストン)を加えた一行は、ヘリでこの髑髏島に乗り込むも、巨大なキングコングの攻撃を受けてしまう。散り散りになったメンバーはそれぞれ決死のサバイバルを試みることになるが・・・。

「GODZILLA ゴジラ」を手がけたレジェンダリー・ピクチャーズが、「キングコング」を壮大なスケールで復活させたリブート作。
監督は、本作が長編2作目となるジョーダン・ヴォート=ロバーツ。

ギャレス・エドワーズ監督の「GODZILLA ゴジラ」は概ね好意的に受け入れられていた印象で、そのレジェンダリー・ピクチャーズが第二弾として製作したのが、本作「キングコング:髑髏島の巨神」になります。

日本語吹き替え版を担当したGackt、佐々木希、真壁刀義が出演している予告編からしてなんかB級映画感が強い印象でしたが、フタを開けてみれば、往年の特撮パニック映画を彷彿とさせるような雰囲気に現代の映像技術があいまった、まさにモンスター級の作品となっていました。

冒頭の攻撃により、何台ものヘリが叩き落され、生き残ったものも散り散りになってしまいます。
そこからそれぞれ決死のサバイバルが始まるのですが、キングコング以外の巨大生物たちにも襲われ、パニック映画の極みとも言えるでしょう。

登場人物たちも軒並み個性的で、チームを率いるのはロキ様ことトム・ヒドルストン。序盤は不敵なやつという印象だったのがドンドン頼れるアニキ的存在に!

一方、軍人として参加することになったサミュエル・L・ジャクソン扮するパッカードも堅物だけど部下思いの上官になっているし、研究者として参加のジョン・グッドマン扮するランダもオタクな探究心を垣間見ることができます。
ヒロイン枠のウィーバーには、昨年度オスカーを受賞しているブリー・ラーソン。彼女は「フリーファイヤー」もそうでしたがオスカー女優でありながら振り幅大きいのも特徴ですね。

中国人女優として、ジン・ティエンも参加しています。
本作では残念ながら出番はあまり多くありませんが、日本では公開順が逆となった「グレートウォール」ではその美貌とともに大活躍が見られます。なお、映画の方は・・・。

他では日本のミュージシャンでアンジェリーナ・ジョリー監督の「アンブロークン」にも出演していたMIYABIも出演シーンは短いのですがかなりインパクトがある役です。

とにかくキャストも巨大生物たちも魅力的で、戦闘シーンもド迫力と、エンターテインメントとしての映画のツボを心得た作品になっております。
監督のジョーダン・ヴォート=ロバーツは長編は2作目ながら、日本の怪獣映画からジブリ映画まで良く見ていて、まあ、いわゆる、オタク?な監督さんなわけですが、その分、怪獣愛が感じられる作りには好感を持ちました。

ギレルモ・デル・トロ監督の「パシフィック・リム」もそうですが、やはりこういう映画はその道が大好きな人に撮ってもらいたいですね!
「パシフィック・リム」とか「マッド・マックス」とか、とにかく映画なんて楽しく、興奮して、ワクワクできればいいんだろ!っていう方にオススメです!
プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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