アカデミー賞2017雑感。



先日発表になった第89回アカデミー賞を予想結果とともに振り返りたいと思います。

作品賞

メッセージ
Fences
ハクソー・リッジ
最後の追跡
Hidden Figures
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
▲マンチェスター・バイ・ザ・シー
○ムーンライト

いやはや衝撃的なハプニングもありましたが、受賞は「ムーンライト」の方でした。
大本命視されていた「ラ・ラ・ランド」が受賞を逃したことは、やはりミュージカルの娯楽作で作品賞を受賞するのは難しいということを示していますね。
ただ、よく参考にしている映画ブロガーさんたちの評価もそこまで突き抜けていないということで不安要素もあったんですよね。
去年の「スポットライト」もそうでしたが、作品賞は多少地味でも良い作品に回る傾向が出てきたのかもしれません。

監督賞

◎デイミアン・チャゼル(ラ・ラ・ランド)
メル・ギブソン(ハクソー・リッジ)
○バリー・ジェンキンス(ムーンライト)
ケネス・ロナーガン(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
ドゥニ・ヴィルヌーヴ(メッセージ)

ここは順調にデイミアン・チャゼルでしたか。
「セッション」に続く2本目の作品で監督賞、それも32歳8ヶ月ということで史上最年少受賞!記録更新も85年ぶりとの快挙!今後の作品も気になりますが、まずは「ラ・ラ・ランド」見ないと。

主演男優賞

◎ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ)
ライアン・ゴズリング(ラ・ラ・ランド)
▲ヴィゴ・モーテンセン(はじまりへの旅)
○デンゼル・ワシントン(Fences)

こちらも前哨戦の評判そのままにケイシー・アフレックが受賞。デンゼル・ワシントンはまたすぐに機会がありそうですし、3度めの受賞と慣れば完全なるレジェンドですからね。
授賞式ではデンゼル・ワシントンやアンドリュー・ガーフィールドも涙目での祝福だったそうでこういう結果は素晴らしいですね。

主演女優賞

○イザベル・ユペール(Elle)
ルース・ネッガ(ラビング 愛という名前のふたり)
ナタリー・ポートマン(ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命)
◎エマ・ストーン(ラ・ラ・ランド)
メリル・ストリープ(マダム・フローレンス! 夢見るふたり)

こちらも本命エマ・ストーンでした。
作品を象徴する華のある役どころということもあるし、「バードマン」でのノミネートも後押ししたということでしょう。

助演男優賞

◎マハーシャラ・アリ(ムーンライト)
ジェフ・ブリッジス(最後の追跡)
ルーカス・ヘッジズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
○デヴ・パテル(LION/ライオン 25年目のただいま)
マイケル・シャノン(Nocturnal Animals)

ここも順当ですね。
結果的に作品賞も受賞しているということで、より当確だったということでしょう。
マハーシャラ・アリは直前にお子さんが生まれたとかで、これは二重におめでたいですね。

助演女優賞

◎ヴィオラ・デイヴィス(Fences)
ナオミ・ハリス(ムーンライト)
ニコール・キッドマン(LION/ライオン 25年目のただいま)
オクタヴィア・スペンサー(Hidden Figures)
○ミシェル・ウィリアムス(マンチェスター・バイ・ザ・シー)

こちらも大本命ながら的中です。
ヴォイラ・デイヴィスは「スーサイド・スクワッド」の怪演も記憶に新しいですが、「ヘルプ 心をつなぐストーリー」でもノミネートされていただけにようやくといったところですかね。
共演者にエマ・ストーンとオクタヴィア・スペンサーがいたというのもスゴイ作品でしたね。

オリジナル脚本賞

20センチュリー・ウーマン
最後の追跡
○ラ・ラ・ランド
▲ロブスター
◎マンチェスター・バイ・ザ・シー

こちらも「ラ・ラ・ランド」を抑えて「マンチェスター・バイ・ザ・シー」が受賞。やはりストーリーの力という点で「マンチェスター~」や「ムーンライト」に及ばなかったという評価なのでしょうか。
脚本のケネス・ロナガンは、「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(2000年)、「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)に次ぐ3度目のノミネートで悲願のオスカー受賞。

脚色賞

○メッセージ
Fences
▲Hidden Figures
LION/ライオン 25年目のただいま
◎ムーンライト

ここは「ムーンライト」がすんなりでしたか。
監督のバリー・ジェンキンスが脚色も担当していて、本格的な商業映画は初めてでの戴冠。
作品賞受賞の追い風にはなったことでしょう。

撮影賞

▲メッセージ
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
ムーンライト
○沈黙 -サイレンス-

技術系の賞は作風に関係がないということで、ここは「ラ・ラ・ランド」に。華やかな世界観を映し出すことに一役買っているのでしょう。
エマニュエル・ルベツキが3年連続受賞の快挙を成し遂げたあとはスウェーデンの新鋭にオスカーが行きました。

編集賞

メッセージ
○ハクソー・リッジ
最後の追跡
◎ラ・ラ・ランド
▲ムーンライト

ここは「ハクソー・リッジ」が受賞。かつては作品賞と直結する部門とも思われていたのが、3年連続で別々の作品になっているのですが、「ラ・ラ・ランド」が作品賞も逃してしまうとは。結果として4年連続で別々の作品になりました。編集は編集として評価する傾向が強くなってきたのかもしれませんね。

美術賞

○メッセージ
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ヘイル、シーザー!
◎ラ・ラ・ランド
▲パッセンジャー

ここは無難に「ラ・ラ・ランド」でしたね。
序盤でここしか受賞できなかったことが「ラ・ラ・ランド」が絶対的な本命でないことの暗示だったのかもしれませんね。

衣装デザイン賞
▲マリアンヌ
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
マダム・フローレンス! 夢見るふたり
◎ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
○ラ・ラ・ランド

「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が予想外にも受賞。とはいえ衣装担当のコリーン・アトウッドは今回含めて12回のノミネートで、「シカゴ」「SAYURI」「アリス・イン・ワンダーランド」に続く4回目の受賞と押しも押されもせぬ大御所ですからね。

メイキャップ&ヘアスタイリング賞

幸せなひとりぼっち
スター・トレック BEYOND
◎スーサイド・スクワッド

ここも予想通り「スーサイド・スクワッド」に。
ハーレイ・クイン!ハーレイ・クイン!(^O^)/

視覚効果賞

バーニング・オーシャン
◎ドクター・ストレンジ
○ジャングル・ブック
Kubo and the Two Strings
ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

ここは本命の「ジャングル・ブック」でしたね。
確かに本物と見間違うほどの動物たちの生き生きとした表情や動きは高評価必死でしたね。

録音賞

13時間 ベンガジの秘密の兵士
メッセージ
○ハクソー・リッジ
◎ラ・ラ・ランド
ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

こちらは「ハクソー・リッジ」が受賞。
このあたりの賞を逃してしまうと作品賞からも遠のいてしまうのか。
受賞者の1人、ケヴィン・オコネルは実に21回目のノミネートで初受賞。これは嬉しいでしょうねえ。

音響編集賞

▲メッセージ
バーニング・オーシャン
◎ハクソー・リッジ
○ラ・ラ・ランド
ハドソン川の奇跡

ここは「メッセージ」が受賞。
「メッセージ」も多くの部門でノミネートされている中、なんとか無冠を避けられたといったところでしょうか。

作曲賞

○ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
ムーンライト
パッセンジャー

音楽系は安泰。「ラ・ラ・ランド」がしっかりと受賞しました。

主題歌賞

「Audition (The Fools Who Dream)」(ラ・ラ・ランド)
「Can't Stop the Feeling!」(Trolls)
◎「City of Stars」(ラ・ラ・ランド)
「The Empty Chair」(Jim: The James Foley Story)
○「How Far I'll Go」(モアナと伝説の海)

こちらも順当に「ラ・ラ・ランド」でした。
エンターテインメント分野では敵なし!

長編アニメーション映画賞

○Kubo and the Two Strings
モアナと伝説の海
My Life as a Zucchini
レッドタートル ある島の物語
◎ズートピア

ここも大本命「ズートピア」に。
ディズニーとピクサーはここ10年で9回受賞と盤石の状態に。

短編アニメーション映画賞

盲目のヴァイシャ
Borrowed Time
Pear Cider and Cigarettes
○Pearl
◎ひな鳥の冒険

ここも本命サイドの「ひな鳥の冒険」。
同時上映だった「ファインディング・ドリー」に負けず劣らずカワイイ魅力を振りまいていました。

外国語映画賞

ヒトラーの忘れもの(デンマーク)
幸せなひとりぼっち(スウェーデン)
◎セールスマン(イラン)
タンナ(オーストラリア)
○ありがとう、トニ・エルドマン(ドイツ)

ここも本命の1つ「セールスマン」。
アスガー・ファルハディ監督はトランプの政策により入国できない状況でしたが、映画には国境はありませんでしたね。

ドキュメンタリー映画賞(長編)

○13th -憲法修正第13条-
海は燃えている イタリア最南端の小さな島
I Am Not Your Negro
ぼくと魔法の言葉たち
◎O.J.: Made in America

こちらもO・J・シンプソンのドキュメンタリーが受賞。
7時間強の作品ですが、はたして日本で普通に公開するのでしょうか?

ドキュメンタリー映画賞(短編)

4.1 Miles
Extremis
○Joe's Violin
Watani: My Homeland
◎The White Helmets

こちらもシリア問題に関わる作品。
空爆相次ぐ場所で一切武器を持たない市民団体の活動を描いているというまさに今世界が問われている問題を扱っていますね。

短編映画賞(実写)

Ennemis Intérieurs
彼女とTGV
○Silent Nights
合唱
◎タイムコード

ここは「合唱」が受賞しました。
他と毛色が違うタイプの作品だけに高評価に繋がったのかも?

24部門中、◎的中が17部門、○的中が4部門、▲的中が1部門、ハズレが2部門という結果になりました。
全体的に高めに感じるけど、主要部門では肝心の作品賞を外しているし、割りと本命サイドしか当たっていないので、消化不良な印象です。

まあ、でもほとんど見てないからね・・・(;・∀・)

というわけでこれから続々とこれらの作品の公開が待たれるので今から楽しみです。
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どこよりもギリギリ!アカデミー賞全部門予想!



さて、いよいよ明日(と思っていたら書いているうちにもう今日ですね・・・)に迫った映画の祭典、アメリカアカデミー賞ですが、今から全部門予想してみたいと思います!


作品賞

メッセージ
Fences
ハクソー・リッジ
最後の追跡
Hidden Figures
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
▲マンチェスター・バイ・ザ・シー
○ムーンライト

今回の最多ノミネート、前哨戦の成績からも「ラ・ラ・ランド」の優位は動かないでしょう。古き良きアメリカを舞台としているのも高評価につながりそう。難点をあげるとすればミュージカル作品の受賞となると2003年に受賞した「シカゴ」以来になるというぐらいか。
対抗は「ムーンライト」。ホワイトオスカーと揶揄され、さらにはトランプ政権によって改めて人種の多様性の問題が問われている今なら逆転の目も。

監督賞

◎デイミアン・チャゼル(ラ・ラ・ランド)
メル・ギブソン(ハクソー・リッジ)
○バリー・ジェンキンス(ムーンライト)
ケネス・ロナーガン(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
ドゥニ・ヴィルヌーヴ(メッセージ)

ここも「ラ・ラ・ランド」のディミアン・チャゼルが優位か。
キャリアの浅い監督は受賞しづらい傾向はあるものの、今年は他の候補者もそれほどベテラン揃いというわけでもないので、それならば「セッション」でも高評価を受けているディミアンに死角なしか。
逆にここでバリー・ジェンキンスが受賞するようなら作品賞も一気に「ムーンライト」に傾きそう。

主演男優賞

◎ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ)
ライアン・ゴズリング(ラ・ラ・ランド)
▲ヴィゴ・モーテンセン(はじまりへの旅)
○デンゼル・ワシントン(Fences)

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で前哨戦でも好成績を収めたケイシー・アフレックにチャンスありか。ただもはや演技派としてゆるぎのないデンゼル・ワシントンが脅威。受賞となれば3度目だがそれでも納得するぐらいの活躍、評判、人気ですからね。

主演女優賞

○イザベル・ユペール(Elle)
ルース・ネッガ(ラビング 愛という名前のふたり)
ナタリー・ポートマン(ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命)
◎エマ・ストーン(ラ・ラ・ランド)
メリル・ストリープ(マダム・フローレンス! 夢見るふたり)

ここは「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンで。「ラ・ラ・ランド」が順当に受賞するならばここも難なく受賞するはず。「バードマン」ですでにノミネートも経験済み。対抗はイザベル・ユペール。自分をレイプした犯人を自分のやり方で裁くという衝撃の役どころということでインパクトはありそう。

助演男優賞

◎マハーシャラ・アリ(ムーンライト)
ジェフ・ブリッジス(最後の追跡)
ルーカス・ヘッジズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
○デヴ・パテル(LION/ライオン 25年目のただいま)
マイケル・シャノン(Nocturnal Animals)

ここは「ムーンライト」の票がもっとも集中しやすいでしょう。主人公を支える重要な役どころということでマハーシャラ・アリか。
一応、対抗はデヴ・パテル。映画自体は面白そうだけど前評判では「ムーンライト」に及ばないか。

助演女優賞

◎ヴィオラ・デイヴィス(Fences)
ナオミ・ハリス(ムーンライト)
ニコール・キッドマン(LION/ライオン 25年目のただいま)
オクタヴィア・スペンサー(Hidden Figures)
○ミシェル・ウィリアムス(マンチェスター・バイ・ザ・シー)

ここもホワイトオスカーの余波もあるだろうし、ヴィオラ・デイヴィスで鉄板か。舞台で同じ役を演じていたこともあり主演のデンゼル・ワシントン以上に評価されている可能性も。対抗はミシェル・ウィリアムス。ノミネート実績は文句なしなだけに。

オリジナル脚本賞

20センチュリー・ウーマン
最後の追跡
○ラ・ラ・ランド
▲ロブスター
◎マンチェスター・バイ・ザ・シー

作品賞は大本命でもミュージカル作品で脚本そのものが評価されるのは難しいと思うので、ならば「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の方を評価。対抗は「ラ・ラ・ランド」として大穴は「ロブスター」。作品のインパクトが相当なだけにサプライズもあり得るかも。

脚色賞

○メッセージ
Fences
▲Hidden Figures
LION/ライオン 25年目のただいま
◎ムーンライト

ここは作品の力を考えると「ムーンライト」が順当か。対抗は「メッセージ」だがSF作品は技術系の賞以外では評価されづらいので厳しいか。「Hidden Figures」もまたホワイトオスカーの煽りの中出てきた作品でこちらの可能性も。

撮影賞

▲メッセージ
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
ムーンライト
○沈黙 -サイレンス-

「ラ・ラ・ランド」が総ナメする勢いならばこのあたりも当確のはず。
対抗は「沈黙 -サイレンス-」。作品自体は他の部門では軽視されているものの江戸時代の日本の独特の空気感を再現した映像は評価されている模様。撮影のロドリゴ・プリエトが今回唯一のノミネート経験者のも追い風に。他はSFモノの受賞作が多いということで「メッセージ」。

編集賞

メッセージ
○ハクソー・リッジ
最後の追跡
◎ラ・ラ・ランド
▲ムーンライト

ここも作品の勢いで「ラ・ラ・ランド」か。トム・クロスじゃ「セッション」でも受賞済み。ただ最近は作品賞と一致しないことも多く編集それ自体が評価されるとすれば「ハクソー・リッジ」に逆転の目も。以下、作品の力を考慮して「ムーンライト」まで。

美術賞

○メッセージ
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ヘイル、シーザー!
◎ラ・ラ・ランド
▲パッセンジャー

ここも作品の勢いで「ラ・ラ・ランド」が順当か。「シカゴ」も美術部門でもしっかり評価されていたし、ここを落とすようでは作品賞に暗雲が立ち込めるかも。対抗はSFの2作「メッセージ」と「パッセンジャー」。

衣装デザイン賞

▲マリアンヌ
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
マダム・フローレンス! 夢見るふたり
◎ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
○ラ・ラ・ランド

ここは「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」にしてみたい。60年代の、それもファーストレディのファッションを再現させたことは評価されてもおかしくない。対抗は「ラ・ラ・ランド」ですが、大穴では「マリアンヌ」。こちらも第2次大戦時期のファッションということで逆転も目もあるか。

メイキャップ&ヘアスタイリング賞

幸せなひとりぼっち
スター・トレック BEYOND
◎スーサイド・スクワッド

メイキャップ&ヘアスタイリング賞と名前を変えてから、特殊メイクモノよりも人物の個性を引き立たせるものが評価されている印象。
それならば見たものみんなが恋に落ちるハーレイクインを生み出した「スーサイド・スクワッド」か。ナイストゥミッチャ!

視覚効果賞

バーニング・オーシャン
◎ドクター・ストレンジ
○ジャングル・ブック
Kubo and the Two Strings
ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

下馬評的には「ジャングル・ブック」だけど自然すぎて逆にインパクトに欠ける気もしたので、時間空間を歪めた独特の世界観を作り出した「ドクター・ストレンジ」の方を本命にしてみる。

録音賞

13時間 ベンガジの秘密の兵士
メッセージ
○ハクソー・リッジ
◎ラ・ラ・ランド
ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

音響系の賞は2つありますが、ライブ感や生音が重視されやすいのがこちら。音楽系映画が強いということもあって「ラ・ラ・ランド」を本命に。対抗は音楽系の次に強い戦争モノから「ハクソー・リッジ」。

音響編集賞

▲メッセージ
バーニング・オーシャン
◎ハクソー・リッジ
○ラ・ラ・ランド
ハドソン川の奇跡

こちらの賞は編集の段階でどのような音をミックスしていくかに対しての賞。録音賞とは対象的に戦争モノが強いということで「ハクソー・リッジ」か。対抗は「ラ・ラ・ランド」も「メッセージ」がこのノミネート数ながら受賞できそうなのはここぐらいな気もするので。

作曲賞

○ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
◎ラ・ラ・ランド
LION/ライオン 25年目のただいま
ムーンライト
パッセンジャー

ミュージカル作品となればここは絶対に落とせない。ということで「ラ・ラ・ランド」が素直に受賞するでしょう。気になる点と言えば「シカゴ」が作曲賞も主題歌賞も逃していることぐらいか。対抗は「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」。

主題歌賞

「Audition (The Fools Who Dream)」(ラ・ラ・ランド)
「Can't Stop the Feeling!」(Trolls)
◎「City of Stars」(ラ・ラ・ランド)
「The Empty Chair」(Jim: The James Foley Story)
○「How Far I'll Go」(モアナと伝説の海)

ここは2曲が候補にあがっている「ラ・ラ・ランド」のメインテーマとも言える「City of Stars」で確定か。票割れが起こった場合に浮上してくるとしたらこの部門で強さを見せるディズニーの「モアナと伝説の海」の可能性も。

長編アニメーション映画賞

○Kubo and the Two Strings
モアナと伝説の海
My Life as a Zucchini
レッドタートル ある島の物語
◎ズートピア

ここは「ズートピア」が鉄板か。押しも押されもせぬディズニー映画の本命で興行成績、評判とも文句なし。ただこれまでのディズニー作品は脚本賞などの他部門でもノミネートされていることが多々あっただけにこの部門のみというのは気がかり。視覚効果賞でもノミネートされている「Kubo and the Two Strings」の逆転もありえるか。

短編アニメーション映画賞

盲目のヴァイシャ
Borrowed Time
Pear Cider and Cigarettes
○Pearl
◎ひな鳥の冒険

ここは良くわからないので前哨戦、評判から「ひな鳥の冒険」を本命に。対抗はVR向けのフォーマットで作成するなどの技術的な面を考慮して「Pearl」。

外国語映画賞

ヒトラーの忘れもの(デンマーク)
幸せなひとりぼっち(スウェーデン)
◎セールスマン(イラン)
タンナ(オーストラリア)
○ありがとう、トニ・エルドマン(ドイツ)

こちらは「ヒトラーの忘れもの」と「幸せなひとりぼっち」が鑑賞済みでどちらも傑作なのですが、本命は「セールスマン」で。トランプ政権によって監督のアスガー・ファルハディが入国できないという事態になっていることもあり、リベラルなオスカーとしてはトランプ政権にNOを突きつける絶好の機会、と政治的なことは抜きにしても、アスガー・ファルハディ監督作品のクオリティーは素直に信頼できそう。そういう政治的な背景を抜きにすれば、「ありがとう、トニ・エルドマン」か。他の候補作も大きな差はなく大混戦。

ドキュメンタリー映画賞(長編)

○13th -憲法修正第13条-
海は燃えている イタリア最南端の小さな島
I Am Not Your Negro
ぼくと魔法の言葉たち
◎O.J.: Made in America

ここもホワイトオスカーの反動か、人種問題絡みの作品が3つ。中でもO・J・シンプソンのドキュメンタリー「O.J.: Made in America」を本命に。7時間超という時間がどうかだがそれでも高評価されている作品。対抗もやはり人種問題を扱っている「13th -憲法修正第13条-」。

ドキュメンタリー映画賞(短編)

4.1 Miles
Extremis
○Joe's Violin
Watani: My Homeland
◎The White Helmets

シリア問題が2つ、終末期医療、難民問題、1つのバイオリンを巡る物語と社会派の作品が多いです。
シリア問題でも特にインパクトの強そうな「The White Helmets」を本命。対抗は候補作で視点が独特な印象のある「Joe's Violin」。

短編映画賞(実写)

Ennemis Intérieurs
彼女とTGV
○Silent Nights
合唱
◎タイムコード

この部門は政治色や問題作品よりも個性的な作品が受賞する傾向が強い印象です。候補の5作中3作で男女の出会いが描かれています。
本命は「タイムコード」で対抗は「Silent Nights」。
「タイムコード」は言葉を介さないやり取り、「Silent Nights」では移民との出会いという言語や国境を超えた作品ということで評価されそう。


というわけで、例年より駆け足予想となりましたが、結果は明日の発表を待ちましょう!

「ソーセージ・パーティー」感想。

sausage party
(公式HPより引用)

[story]
とあるスーパーマーケット。ずらりと並んだ食材たちはいつか人間に買ってもらえることを夢見ていた。ソーセージのフランク(セス・ローゲン)も、恋人でパンのブレンダ(クリステン・ウィグ)と結ばれる運命だと信じている。ついに2人揃ってカートに入れられたのだが、アクシデントによって2人は店内に取り残されてしまう。しかし、そのことがきっかけで重大な真実に気がつくのだが・・・。

「スーパーバッド 童貞ウォーズ」「スモーキング・ハイ」のセス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグのコンビが原案・脚本・製作を務めたアニメ映画。

主人公たちは擬人化された食品や日用品たちで、スーパーに陳列されながら買ってもらえることを夢見る毎日です。
このあたりのビジュアルや設定が、ピクサーの金字塔的作品でもある「トイ・ストーリー」に非常に似ているというのがまた確信犯ですよね。

主人公のソーセージ・フランクとその恋人でパンのブレンダはもう少しのところで買ってもらえるはずだったのに、はずみでカートから飛び出してしまい、店内に取り残されてしまいます。
しかし、やがて人に買われた食品たちの行く末を知ったフランクとブレンダは、スーパーの外の世界がパラダイスだと信じて疑わない他の仲間たちを説得し、必死の抵抗を試みようとするのが基本的な流れです。

とまあこれだけなら普通のアニメと思うかもしれませんね。

いや、ソーセージって・・・と頭のなかに良からぬものをイメージしたそこのあなた!
そのお下劣で卑猥な妄想を数100倍にしたのが本作だと思って間違いないです!
序盤から様々な大きさ、太さ、形のソーセージが出てきていますが、アレというかナニというか、そういったものと結びつけて考えてしまうのは人のサガだとは思いますが、これが中盤以降になると露骨になってきます!

特にスーパーの廃棄物処理係の男とのシーンといったらもう!

かくして食品たちと人間たちの戦いはどうなるのか?
そして、この戦いの末に、恐るべきラストシーンが待っていようとは、まだ誰も知る由もありませんでした。

史上最強のお下劣映画、ここに爆誕!
決して家族では見ないでください!(・∀・)

「湯を沸かすほどの熱い愛」から考えるデス・エデュケーション

bucket list

「湯を沸かすほどの熱い愛」では、双葉が突然末期ガンで余命宣告されてしまうところからスタートします。

Kübler-Ross(1969)は、死に直面した人が、死を受容するまでの5つの段階をモデル化しています。

第1段階は、否認と孤立で、自分が死ぬということを認められず何かの間違いではないのかと疑問に思ったり否定したりします。またこの事実を誰にも打ち明けられずに孤立しがちであるともしています。

第2段階は、怒りで、自分が死ぬということを認識したものの、なぜ自分が?という気持ちが怒りとなって現れ、それを周囲に撒き散らしたり、皮肉を言ったりする傾向が見られるというものです。

第3段階は、取引きで、神仏や信仰によって少しでも長く生き延びられないかと考えるようになる段階です。

第4段階は、抑うつで、周囲の人や医者、神仏などに頼っても自分の死を逃れられないということを認識し、悲観や絶望に打ちひしがれる段階です。

そして第5段階は、受容で、人が死ぬというのは自然なことで、自分の人生の終わりを静かに見つめることができるようになる段階です。

もちろん個人差もありますし全ての人がすべからくこの段階をへるとは限りませんが、この考え方は終末期医療に関する教育において今も取り入れられているものです。

本作の双葉もいきなりの宣告で一人悲しみ、逡巡しているシーンがあります。上記で言うと第1段階ですね。
しかし、その後の双葉は家族のためになすべきことを考えるようになります。
これは第2~4段階をすっとばして、第5段階である自分の死を受容した上で、そこから何ができるかを考えているのです。
予告編でも流れている、母ちゃんは絶望のドン底に、落ちませんでした。というナレーションがまさにそれを物語っていますね。

余命宣告されている状況では、残された時間は限られたものなので、双葉のようにすぐにするべきことを、それも家族のためにするべきことを行動に移せるとしたらそれは素晴らしいのですが、残念ながらなかなかそうはいきません。

西山・石田(2011)は、デス・エデュケーションにおける映画の効果について研究をしています。
デス・エデュケーションとは文字通り死についての教育で、1.人の命は限りであるものであることを認識する、2.それゆえ自分の命も大切なものであるということを認識する、3.これらをふまえて自分はどのように行動すべきかを考える、という3つの目標を持っているそうです。
そしてこの目標達成において映画がどれぐらい効果的かを検証しています。

教材として用いているのが、2003年公開の「死ぬまでにしたい10のこと」と、モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンが共演した2007年公開の「最高の人生の見つけ方」です。後者の方は原題が「The Bucket List」なのでまさにうってつけでしょうか。

結果として、「死ぬまでにしたい10のこと」は目標の1、2において効果的で、「最高の人生の見つけ方」は3において効果的であることが示されました。
調査対象者が学生ということもあって、「死ぬまでにしたい10のこと」の方が主人公が若者なので自分たちと年齢が近いということも効果的だったのでしょう。
「最高の人生の見つけ方」は、「死ぬまでにしたい10のこと」と比べてやりたいことがポジティブなものが多いというのが、目標3につながっているのかもしれません。

死というとどうもタブー視されていることもありなかなか直視したくないものでもあるのですが、こうした意識を持って行動することが大切なのですね。

[引用文献]
Kübler-Ross, Elisabeth(1969). On Death and Dying. Scribner.

西山美聡・石田弓(2011). デス・エデュケーションに役立つ映画の検討. 広島大学大学院心理臨床教育研究センター紀要, 10, 100-115.

「湯を沸かすほどの熱い愛」感想。


(公式HPより引用)

[story]
幸野家が家族で営んでいる銭湯「幸の湯」。しかし父親の一浩(オダギリジョー)が出ていってしまい、以降、休業状態に。母の双葉(宮沢りえ)はそれでも健気にパン屋でパートをしながら家族を支えていた。そんなある日、双葉はガンで余命わずかと宣告されてしまう。その日から彼女は家族のためにやっておくべきことを決めて、実行に移していくのだが・・・。

新鋭の中野量太監督が自ら描き下ろした脚本を元に映画化。
共演は、杉咲花、松坂桃李。

人が死ぬのは悲しい。
これはあたりまえの感情なので、感動系の映画を作ろうとする側からすれば、こんなに楽な設定はありません。
そんなわけで、登場人物が、もしくは登場人物の近しい人が病気でなくなる、悲しい、感動、エンディング、という予定調和な余命モノが氾濫しているのが現状でしょう。

そんな中、本作も設定こそ主人公がガンで余命わずかということになっていますが、そこからの展開が真逆とも言っていいほど大きく違っています。
残された時間がわずかだと知った双葉は、家族のために何ができるかを考え、それを次々と実行に移していくのです。

失踪した一浩を見つけ出し、銭湯を再開させること。
気弱な娘・安澄(杉咲花)をひとり立ちさせること。
娘をある人物と会わせること。

彼女の潔くも力強いその姿勢に、一浩も娘の安澄も心を動かされる事になります。
さらにそこに、一浩が失踪以来入り浸っていた女性との間にできた娘・鮎子(伊東蒼)や、ヒッチハイクをしている青年・拓海(松坂桃李)も加わってきて、2人きりだった生活が賑やかになっていきます。
この擬似的とも言える家族の絆を示すシーンとして、双葉がずっと見たいと思っていた"ピラミッド"のエピソードがあります。
これはぜひご鑑賞の上確かめて欲しいシーンです。

他にも安澄をある人物と会わせるために車で遠出をしたり、双葉自身が生き別れとなってしまっている母親を探したり、と鬼気迫る迫力でやるべきことをこなし続ける姿は圧巻です。
正直、エピソードを盛り込みすぎという印象もあるんですが、それほどまでに限られた時間を濃厚に過ごしたという証明にもなっています。

ラストは予想できると言えばできそうな展開でもありますが、血よりも濃い、いや湯よりも熱い家族の絆を感じられる作品になっています。

「PK」から考える宗教と心理学



「PK」では宇宙人の目から見た、"ココが変だよ地球人"とでも言わんばかりの描かれ方がしていますが、その中でも一番特異なもののように映し出されているのが宗教の違いですね。

宗教と心理学は共通で研究している人も多い分野なのですが、より科学的な目線を持つことを重視している心理学に対して、宗教は超科学とでも言おうか、自然科学的理解や範疇を越えた世界に存在しているという点では実に対照的です。

ということで、今回は宗教と心理学の関連について面白い研究をいくつか紹介したいと思います。

1. 裕福な国ほど信仰心が低い。例外は・・・?

Pew Researcher Center(2014)は、2011年~2013年で39ヵ国において、神を信じているという国民の割合とその国のGDPの関連を調査したところ、裕福な国ほど神の存在を信じている国民の割合が少ないという結果になりました。
確かに日本で生活していると信仰心の厚い人は限られた存在のように感じてしまいますね。
唯一の例外はアメリカで、アメリカはその裕福さとは関連なく、神を信じているという人の割合も高くなっています。

2. 信仰心が強い人はお酒を飲むと人が変わる?

Duke & Giancola(2013)では、実験参加者をアルコール摂取群と、アルコールと見せかけて別のものを摂取する群(プラシーボ群)に分けて、競争的課題を行わせたところ、お酒を飲んでいないときは、信仰心が高い人ほど攻撃性が低かったのに対し、アルコール摂取群では信仰心が高い人ほど攻撃性も高くなっているという結果になりました。信仰とお酒が組み合わさると良くないのですね。「PK」でも金や権力のために宗教を利用している人も出てきていましたが、そういったあたりにも関連しそうですね・・・。

3. アダルトビデオに興味がある人ほど信仰心が高い?

Perry(2017)は、1300人のデータをもとに調査したところ、ポルノ映画をよく見る人ほど信仰心が高いという関係が見られたということを示しています。これは宗教団体からも否定されそうな結果ですが、彼によればポルノ映画を見ることによって羞恥心や罪悪感が芽生えるため、その結果として信仰心が高まる可能性があるとのことです。
誰でも後ろめたいことがあると罪滅ぼしをしたくなりますもんね・・・。


というわけで、宗教や信仰心の研究としてはなかなか異色なものを紹介しましたが、本作もまさに異色の宗教映画ということで、映画とあわせてこちらの記事も楽しんでいただければ幸いです。


[引用]
Duke, A. A., & Giancola, P. R.(2013). Alcohol Reverses Religion's Prosocial Influence on Aggression. Journal for the Scientific Study of Religion, 52(2), 279-292.

Perry, S. L.(2017). Does Viewing Pornography Diminish Religiosity Over Time? Evidence From Two-Wave Panel Data. Journal of sex research, 54, 214-226.

Pew Researcher Center(2014). Worldwide, Many see belief in God as essential to morality.

「PK」感想。


(公式HPより引用)

[story]
留学中に失恋をし、傷心の気持ちを吹き飛ばそうとテレビディレクターとして奮闘しているジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある時、黄色いヘルメットに大きなラジカセを持った不思議な男(アーミル・カーン)と出会う。彼はまわりからPK(=酔っぱらい)と呼ばれ、「神様、行方不明」と書かれたチラシを配っていた。取材のネタになるとPKのことを調べ始めたジャグーは、PKが自分は宇宙人で自分の星に帰るために必要なリモコンを取り戻すために神様を探しているというのだが・・・。

日本でもヒットした「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラニ監督とアーミル・カーン主演のコンビでおくる社会派コメディー。

インドと言えば、年間の制作本数がハリウッドを擁するアメリカよりも多いということは以前から話題でしたが、かつてのインド映画と言えば、マサラ・ムービーと呼ばれ、「ムトゥ 踊るマハラジャ」に代表されるように、コテコテのインド人たちがすきあらば軽快な音楽に合わせて踊り歌うというストーリー云々は置いておいてとにかく娯楽性のみを極限まで追求したタイプの作品が大半でした。少なくとも日本で見られるものとしては。

その流れに大きな変化を与えたのは、「トレイン・スポッティング」のダニー・ボイル監督によるアカデミー賞受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」でしょう。
彼はインドのムンバイを舞台にスラムで生まれながらもたくましく成長し、幼馴染を助けるために全国放送のクイズ番組に参加する姿を描いています。
「トレイン・スポッティング」で一世風靡しながらもハリウッドでは成功しなかった彼が、ハリウッドを離れて作り上げた傑作が評価されるのだからなんとも皮肉なものです。

しかし、それ以降、インド映画は徐々に浸透を見せていくことになります。
上記の「きっと、うまくいく」や、「マダム・イン・ニューヨーク」「バルフィ!人生に唄えば」など、ドラマとして評価の高い作品も注目されるようになります。

さて、本作に話を戻しますが、テーマはズバリ、宗教。
インドでは8割近くがヒンドゥー教徒で、ついでイスラム教徒、キリスト教徒、それ以外といった割合となっています。
PKは自分の星に帰るために必要なリモコンを探す過程で、神様を探すことになりますが、宗教そのものがたくさんあるばかりか、同じ宗教でも宗派や微妙な違いがあることに気がつくのです。
映画では、それぞれが独特な礼拝や巡礼の方法を見せていて、PKの目からではなくとも思わず笑ってしまうようなものも存在します。

ネタによっては非常に不謹慎なものもあって、宗教的な縛りの強いインドにおいては公開反対運動なんかもあったようですが、本作はあくまで風変わりな宇宙人の目からみた社会ということでうまく批判をそらしているようにも思いました。

PKの星では誰も服を着ていないから、服装や見かけで人を判断しません。これは各宗派の信者の服を入替えたら、神様の使いである神官でも判別できなかったシーンに示されています。

PKの星では相手の心が読めるから、嘘をつく必要がありません。
これがPKの率直な性格にもつながっていくのですが、「人はなぜウソを付くのか?」という疑問は素敵な着地点を見せてくれます。これはぜひ本編を見て確かめてもらいたいです。

本作は決して宗教や神の存在そのものを否定しているわけではありません。
終盤のPKのスピーチにもあるように、誰にでも信仰心はあって、それぞれの神様に祈るのは自由であり、そこにビジネスや利権が絡んでくるのがおかしいという話なのです。

本作は宗教的な(それも批判的な目線の)要素も確かにあるのですが、人間ドラマとしてのクオリティーが非常に高いのも魅力となっています。
深く考えずにPKの風変わりな行動に笑って泣いて、そんな楽しみ方もできる作品でした。
プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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