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「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」から考える戦争と心理学



「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」では、対テロ作戦においてドローンによる遠隔攻撃を試みようとする様を、対策本部司令官、ドローンパイロット、現地実行部隊などの複数の目線で捉えている作品ですが、戦争において、戦地に赴いて、時には人を殺さなければならないという人の心理状態はどのようになっているのでしょうか?

クロスマン(2004)では、第2次大戦中にアメリカ軍の兵士がドイツや日本兵と相対したときにどのような行動をしていたかの調査をしたところ、敵に向かって発砲していたのは10~15%程度で、ほとんどがわざと銃口をあさっての方向へ向けたり、人のいないところへ発砲したりしていたそうです。

その根底には人間の根源的な良心だったり、同種を殺してはならないという本能的な種の意識のようなものがあったりすると言われていますが、たとえ自分が殺されてしまうかもしれないような極限状態においても、目の前の相手を殺すことには抵抗があるということです。

運良く相手に殺されることなく、無事に帰還したとしてもその後には様々な問題が待ち構えています。

フィンケル(2015)では、イラクやアフガニスタンに派遣されたアメリカ軍の兵士200万人のうち、4分の1にあたる50万人もの人が、悪夢、記憶障害、パニック障害、人格変化といった精神的な疾患に悩まされ、それが原因となっての自殺も多いということを示しています。

そんな中、ドローンを始めとする最新テクノロジーが戦争に用いられるようになったのはある意味自然の流れとも言えます。

直接敵と対峙しなければ、人が人の命を奪うことの潜在的な抵抗感を感じないで済む、家族からすれば戦争によって命を落とす危険性がないという安心感が得られる、というように。

しかし、テクノロジーによって手段が変わることで戦争に起因する精神的な疾患が生じないとは限らず、むしろ本作や「ドローン・オブ・ウォー」でも描かれていたように、その影響力は大きくなっているという研究やデータも存在しています。

Saletan(2008)は、ドローンの遠隔操作によって爆撃を行ったパイロットに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が多く見られることを示しています。
この原因としては、現地での勤務よりも長時間化すること、戦争という非日常と家族と過ごす時間のような日常が連続的で相反する人格が共存すること、スクリーン越しとはいえ凄惨な戦争の現場を目のあたりにすること、が挙げられている。

技術や方法が変わっても、戦争の本質的なところに違いはないということですね。
なんとなく人間らしさのようなものが感じられたのは救いなのですが、この世の中から戦争がなくならない以上は切っても切り離すことのできない問題として残っていくのが何とも言えないですね。


[引用]
フィンケル, デイヴィッド(2015). 帰還兵はなぜ自殺するのか. 亜紀書房.
 
クロスマン, デーヴ(2004). 戦争における「人殺し」の心理学. 筑摩書房.

Saletan, W.(2008). Ghosts in the Machine. Do remote-control war pilots get combat stress? Slate, http://www.slate.com/articles/health_and_science/human_nature/2008/08/ghosts_in_the_machine.html.
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Author:すぷーとにく0107
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当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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