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「幸せなひとりぼっち」感想。


(公式HPより引用)

[story]
最愛の妻ソーニャ(イーダ・エングヴォル)を亡くし一人で暮らすオーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)。頑固者の彼は地域の見回りを日課とし、ルールを守らない人に厳しく注意をしていた。ある日、長年務めてきた鉄道会社をクビになってしまう。失意の彼はそのままソーニャの元へ行こうと自殺を図るのだが、向かいに引っ越してきたパルヴァネ(バハール・パルス)とその家族の騒々しさに自殺どころじゃなくなってしまい・・・。

フレドリック・バックマンの同名ベストセラーを映画化したスウェーデン発の人間ドラマ。
今年のアカデミー賞外国語映画賞にもスウェーデン代表としてノミネートされています。
ちなみにメイクアップ&ヘアスタイリング賞にもノミネートされていましたね。

北欧の映画、人間ドラマというと、その地域性もあるのか、どこか寒々しさを感じる哀愁漂う作品が多い印象があります。
これは北欧が日本以上の福祉大国で、それゆえの高齢化社会であることも関連しているようで、実際に、高齢単身者の割合も非常に高いそうです。

本作も「幸せなひとりぼっち」という邦題がつけられているので、そういう悲哀系の映画を想像してしまうかもしれませんが、実際はそんんなことありません。

確かに主人公のオーヴェは、妻に先立たれ、仕事もクビになり、地域のルールや規律にうるさい頑固者です。
妻がいないことに寂しさは感じているでしょうが、他の近所の人とはむしろ自分の方から距離を置いているような印象です。

この設定や全体の雰囲気として最初に思い浮かんだのが、クリント・イーストウッド監督の「グラン・トリノ」でした。
こちらの映画もデトロイトで孤独に暮らす老人と隣に越してきた移民家族との交流を描いており、クリント・イーストウッド扮するウォルトもかなりの頑固者で、性別、年齢、人種を問わず怒鳴り散らし悪態を突き、説教しまくる姿はもはや爽快感すらありました。

本作も「グラン・トリノ」も主人公が意図せず周囲に巻き込まれていくという人間模様を描いています。
本作では、思い残すことも未練も何もないオーヴェが自殺をしようとする→隣人たちに邪魔される、を繰り返しています。

オーヴェが自殺をしようとする時、意識が遠のいていく過程で昔の妻との思い出が走馬灯のように・・・という形で回想に入っていきます。
オーヴェが良心を失い、ついには住むところもなくなってしまうというつらい境遇、そんな中での妻との運命的な出会い、幸せな結婚生活、やがて訪れる悲しい事件・・・。

この展開でオーヴェがなぜ今のように無骨で頑固な性格になってしまったのかが明らかになっていきます。

オーヴェの誠実さ

オーヴェは父親から正直でいることの難しさを教わります。
かつて父親の手伝いで電車の中を掃除していた時にサイフが落ちているのを見つけます。
父親からは「好きにして良い」と言われ、最初はオーヴェは自分のものにしようと思うのですが、結局落とし物として届けることにします。
その行為をして、父親に「正直でいるのは一番だが、正直でいるためには後押しが必要だ」と教えられます。

以来、オーヴェはバカがつくほど正直で、ソーニャとデートの時も「15分遅刻だよ。」とか言ってしまうし、結果として曲がったことが大嫌いな人間になるわけです。

オーヴェの優しさ


そんなオーヴェですがなんだかんだ言って優しいのです。
パルヴァネ一家が引っ越してきた時に車を駐車場に停めてあげたり、パルヴァネの夫が怪我をして病院に運ばれたときには病院まで送ってあげたり、その後車の運転を教えてあげたりもしています。
さらには、ソーニャの元教え子の友だちがゲイだといじめられ行く場所がないときには家に泊めてあげたり、寒さに凍えていた野良猫を保護してあげたりします。

オーヴェの厳しさ

オーヴェはとにかく決まりごとにうるさいです。
オーヴェの住む住宅エリアは自動車の乗り入れ禁止となっていて、オーヴェは看板で警告をするだけではなく毎朝パトロールも欠かしていません。
序盤はルール違反をみつけては怒鳴り散らすというのをひたすら見せられるので、辟易してしまうのですが、ここまで厳格になってしまったのは1つの悲しい事件があるのです。
ソーニャとの新婚旅行で乗ったバスが崖下へと転落事故を起こしてしまい、ソーニャは子どもを流産してしまい、自らも下半身不随となってしまったのです。
このバスの事故も規律が守られていないことが原因でした。だからこそ彼は人一倍ルールにこだわる人間になっていたのでした。

オーヴェの行動力

オーヴェはソーニャと初めて会ったときは不器用で連絡先を聞くこともできなかったのですが、彼女に会いたい一心で何度も電車に乗って彼女を探します。
めでたくデートすることになったときは、お金はないけどソーニャに美味しいものを食べてもらいたいからと、自分はお金をかけず先に食事を済ませておいて、彼女に好きなものをオーダーさせたりもしています。
そして、極めつけは学校の先生になりたいと思っているソーニャが学校の設備的な問題(バリアフリーになっておらず車いすではいることができない)で断念せざるをえなかったのに憤慨し、1日にしてスロープを作り上げてしまうところですね。

とまあ最初はオーヴェの頑固さばかりが目につくのですが、気がついたら彼の周りに人が寄り添ってくるのもうなずけるキャラクターでした。

本作ではキャストの魅力も素晴らしいです。

妻ソーニャは、単に美人というだけではなく非常に前向きでポジティブなキャラクターです。
オーヴェの不器用ながらも優しいところをしっかり理解し、オーヴェのプロポーズには大はしゃぎで快諾し、そして事故によって下半身不随となっても教師の夢を諦めない、といったところが描かれています。

おせっかいおばさんパルヴァネもまた魅力的です。
無骨はオーヴェに対して、喜怒哀楽の感情が激しく、声も大きい。
これはオーヴェでなくとも完全にペースに巻き込まれてしまいますね。
それでいて、オーヴェの家のキッチンの作り(ソーニャのために低く作られている)などからオーヴェのソーニャへの思いに気がつくという敏感なところもあわせ持っています。

他にもパルヴァネの子どもたちの可愛さも半端ないし、ネコも可愛いし、彼らを見るだけでもなんだか幸せな気分にさせてくれます。

最後に、本作ではオーヴェが自殺を図ることをはじめ、死にまつわるシーンが多いのですが、どのシーンをとっても悲劇的に描いておらず、むしろ笑えるシーンにしているのが印象的でした。
終盤にオーヴェが倒れた時も、救急車で搬送されようとしているときに、

「ここは自動車は進入禁止だぞ!」

と叫んでいます。

いかにもな演出で感動をさらうのではなく、作品そのものの、そして登場人物たちの魅力で感動を呼び起こしてくれるのが本作の魅力ではないでしょうか?
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すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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