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「人生フルーツ」感想。


(公式HPより引用)

自らが手掛けたニュータウンの一角の平屋に住む90歳の建築家・津端修一さんと、その妻で庭で多くの野菜と果実を育て編み物や機織りまでこなす英子さんの姿を捉えたドキュメンタリー。

「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」などの東海テレビ製作ドキュメンタリーの劇場版第10弾。

自分はあいにく上記の作品は見ていないのですが、東海テレビ製作のドキュメンタリーが非常に良質なものが多いということは聞いていて、しかも本作は札幌ではシアターキノというミニシアター系映画館で上映されているのですが、当初の予定よりも遥かにロングランとなっています。

カメラがとらえるのは、すでに現役を退いた建築家の津端修一さんとその妻・英子さん。
彼らは愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一角に、自ら建てた平屋の丸太小屋に住んでいます。
庭には英子さんが育てた野菜や果実がたくさん実っており、それぞれに小さな立て札でメッセージも書かれています。
修一さんも時には一緒に庭いじりを手伝いながら、英子さんが育てた野菜や果物を中心にしたご飯を食べて暮らす日々。
スローライフの理想型といった形がそこにはあります。

彼らの現在の生活と並行して、若かりし日々のエピソードが描かれます。
時は第二次大戦中、修一さんは海軍技術仕官として厚木飛行場で、戦闘機の製造やその工法を少年工兵たちに教える仕事に従事していました。
戦後は東京大学工学部の建築学科に入学し、卒業後は日本住宅公団で、現在の住まいにある高蔵寺ニュータウンをはじめ、多くの団地などを手がけていることが紹介されていきます。


修一さんの仕事への思いとジレンマ

修一さんはニュータウンの計画の際に、最初に重視していたのが雑木林をふんだんに残すことでした。
それは自然と人間との共生を考えたからだったのですが、時代は高度経済成長期で、人口も増加の一途をたどる時代において、兎にも角にも質より量を求められたのでしょう。完成したニュータウンは無機質な立体が並ぶ大規模空間となってしまいました。

修一さんがニュータウンの一角に住み、自宅周辺に雑木林を残しているのは今もニュータウンに住む人たちの少しでも憩いになれば、という思いがあるのかもしれませんね。

途中、修一さんは英子さんとともに台湾に招待されます。
そこでは、戦時中に日本に連れてこられた台湾の少年工兵たちが今は台湾に帰って、そこで修一さんのように建築家になって、地元の人々が住むマンションを造っていたのでした。
そこには戦争で無理やり連れて行かれたことへの遺憾の念があるわけでもなく、技術を教えてくれたことへの感謝がいっぱいでした。

この修一さんの思いは最後に見事に結実しています。
佐賀県伊万里市に完成した医療施設「街のサナーレ・メンタルヘルス・ソリューションセンター」は、心に病を持っている人と健常者がともに働くことのできる施設で、その理念に感動した修一さんが無償で設計の草案を作成していたのです。
そこでは、訪問看護やカウンセリングのための医療施設だけでなく、広大なエリアの菜園があり、そこで育った野菜や果実を利用したカフェも併設されていました。
そこは人々の共生、さらには人間と自然の共生を目指した空間があり、まさに修一さんの理想とする建築が実現されていました。


未来に残すということ、人生フルーツ

医療施設「街のサナーレ・メンタルヘルス・ソリューションセンター」は修一さんの理想でもある自然との共生として、多くの雑木林が自然な状態のままで残っています。このセンターは2017年にオープンしたばかりですが、10年、20年と時を経ていくのにつれて、自然も人も変化していくことでしょう。この"変化"を意識した建築というのは、イサム・ノグチや安田侃も言っていることで、建築が完成したその1点だけではなく未来をも見据えたものであることに他なりません。

そして英子さんもまた自分たちの暮らし方や住んでいる家や周りの自然、これらをどれぐらい自分たちの子どもや孫、次世代の人たちに残していけるかということを意識していました。

風が吹けば、枯れ葉が落ちる。
枯れ葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。

そんな風にして熟した実は、まさに次世代の人たちにとってのお手本となるでしょう。
そして再び、枯れ葉となり、また新たな生命の糧となっていくことを見守ってくれているのかもしれませんね。
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すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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