FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ムーンライト」から考えるLGBTの理解と現状

アミラーゼ

「ムーンライト」では、シャロンが自分のセクシャリティーの目覚めを中心に、過酷な環境でいかに成長していったかを描いていました。

本作のようにLGBTを題材にした映画や小説も増えてきていますし、以前と比べるとLGBTの理解は進んでいるように思いますが、実情はどのようになっているのでしょうか。

O’Handley, Blair & Hoskin(2017)では、異性愛者の男性を対象に、様々なスライドを見せて、それを見たときの心理状態を測るために、唾液中のαアミラーゼの分泌量を指標として比較しています。
このαアミラーゼは不快感を感じた時に多く分泌されると言われており、ストレスの指標の1つとしても多くの研究に用いられています。

この研究において、日常的なものが写っているスライドを見たときと比較して、αアミラーゼの分泌量が多くなったのが、男性同士がキスをしているスライドを見たときと、虫などのおぞましい、嫌悪感を抱かせるものが写っているスライドを見たときという結果になりました。
質問紙調査などで差別や偏見の意識を調査すると、どうしても模範的な回答が増えて、実体を調査することが難しいのですが、この研究のαアミラーゼ分泌量のような生理的指標を用いた場合は、反応を意図的に歪めることが難しいため、科学的な根拠として有力視されています。

LGBTの理解が進んでいるという時代の流れに逆行したような結果にも見えますが、著者らはいくつか注釈を加えています。

その1つは、αアミラーゼは不快感やストレスによって分泌量が増加しますが、その根源になるものが必ずしも嫌悪感だけとは限らないということです。例えば、知り合いのいない場所に行ったり、初めて海外に行ったりシたときなどのような場合などに感じられる不安感もストレスとなり、結果的にαアミラーゼが増大することもあります。

異性愛者からすると同性愛者などのLGBTの人たちやその考え方、嗜好が理解できないと、それによって不安感が高まるということも言えます。
逆にLGBTの人が身近にいるか、いなくともしっかりと理解することができていれば同じような反応にはなっていないかもしれませんね。

もう1つは、この研究の対象者がユタ州に住んでいる男性でした。
これはデータの取る都合などもあると思いますので、意図的に限定したものではないのかもしれませんが、ユタ州は比較的保守層の多い地域です。またキリスト教古来の宗教観から同性愛を好ましく思わない人も多い地域ですので、そのバイアスがかかっている可能性も否定できません。

そして、「ムーンライト」の舞台はフロリダ州ですがフロリダ州で昨年にLGBTの人たちが集まるクラブで銃乱射事件が発生しています。
詳しくはこちら
これがセクシャル・マイノリティーへの差別意識が原因だったのか、イスラム過激派の思想に感化されたものだったのか、明確に断言はされていないようですが、自分の息子の前でキスをしていたゲイのカップルに悪態をついていたなどの報告もあったようです。
「ムーンライト」においてシャロンがまわりからいじめられていたのもこれと同じような環境だったと言えるのではないでしょうか。

「ムーンライト」では、シャロンのセクシャリティーの理解者として、同級生のケヴィンがいたのですが、彼らもその関係や相手への思いを決して表立って言うことはできていませんでした。

Weinstein et al.(2012)では、自分が同性愛者であることを公言しているか否かによって、同性愛者への意識や理解が異なることを示しています。とりわけ、潜在的には同性愛的な感覚を持ちながらも、それを公言していない者は、同性愛者に対して不快感を抱いたり、半同性愛的な態度を見せたり、同性愛を認めないような政策を指示したりする傾向があるようです。

フロリダやユタのような保守層の多い地域では、よりカミングアウトできない環境だったといういことが考えられますね。
それでも誰かが第一歩を踏まない限り、周囲の理解を得られることもありません。
自分が自分らしく生きることが当たり前にできる世界になったとき、初めて他者を理解し、受け入れる社会が成立したということになるのではないでしょうか。

[引用]
O’Handley, B. M., Blair, K. L. & Hoskin, R. A.(2017). What do two men kissing and a bucket of maggots have in common? Heterosexual men’s indistinguishable salivary α-amylase responses to photos of two men kissing and disgusting images. Psychology & Sexuality, 8, 173-188.

Weinstein, N., Ryan W. S., Dehaan, C. R., Przybylski, A. K., Legate, N. & Ryan, R. M.(2012). Parental autonomy support and discrepancies between implicit and explicit sexual identities: dynamics of self-acceptance and defense. Journal of personality and social psychology, 102, 815-832.
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
FC2ブログへようこそ!
中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。