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「秘密 THE TOP SECRET」から考える催眠の効果



「秘密 THE TOP SECRET」では、薪や第九の面々がとらわれることとなった貝沼事件で、貝沼による催眠が描かれていました。
それでは心理学の世界で催眠はどのように捉えられているのでしょうか?

心理学の世界では、催眠術という言い方はあまりしません。
単純に「催眠」というか、臨床の場面で用いられる場合には「催眠療法」という言葉が一般的です。

催眠療法の歴史は、18世紀後半のメスメルに遡ります。メスメルは人体に磁気が与える影響に注目し、磁気を発生する装置を用いて様々な治療を行ったとされています。彼が動物磁気と呼んでいた人体の磁気に磁石を当てることで流動させることによって、治療効果があげられるとしていました。
しかし、当時フランス国王だったルイ16世が設立したフランス科学アカデミー委員会によって、この磁気治療の効果があるのは「患者が磁石を当てられて磁化されている」と認識したときのみだとみなし、磁気治療そのものが効果があるとは断言できないとしました。

これにより彼の考え方は科学的な根拠があるものとはみなされなくなってしまうのですが、後に彼の弟子となったビュイゼギュールによって、磁気をあてられることで眠っているかのような状態(彼は人口夢遊病と名づけています)に陥ることを示しました。この状態が今で言う、催眠トランスです。この技術は麻酔が誕生するまで、外科手術の際に用いることで催眠状態とし、手術中の痛みを緩和することにもつながっていました。

また彼は、この手法を重症精神病の患者に用いるのですが、これが今日の精神療法の先駆であったとも言われています。彼によってメスメルの功績もまた再評価されるようになり、「秘密 THE TOP SECRET」でも出てきたメスメリズムという言葉で知られるようになります。

その後、イギリスのジェイムズ・ブレイドは、メスメリズムの根源にあるものは動物磁気ではなく、治療者や術者による暗示の効果であるとし、磁気を用いることなく催眠状態を作り出す公開実験を行っています。
この考え方はフランスのアンブロワーズ=オーギュスト・リエボーにも支持され、普及していくようになります。

アメリカのミルトン・エリクソンは2000人以上もの相手に催眠実験を行い、催眠はコミュニケーションの1つであるという考えに至ります。同じ言葉でも2通り(ダブルテイク)、3通り(トリプルテイク)の解釈ができるということや、言葉の命令的側面(例えば、「窓が開いていますね。」と言った時、「窓を閉めて下さい。」という意味合いが含まれるということ)、呼吸や抑揚の理解によって、巧みに催眠状態に導くことができると主張しました。

ということで、催眠療法として今日も用いられているものは、呪術的なものではなく、コミュニケーションによって自己暗示を起こさせるといったものが主流です。
催眠というと胡散臭い印象があるかもしれませんが、それ自体に危険性があるとは言えないということで、日本だけでなく欧米においても国家資格が必要というわけではないようです。
アメリカでは催眠の博士号が存在しており、日本では民間団体の資格はあるようです。

日本で催眠、催眠術というとどうしてもバラエティー番組なんかで、催眠術にかけられた人が自分は鳥になったと思い込むとか、そんな眉唾モノが多いので、どうしてもインチキとかヤラセを疑ってしまうのですが、根本の概念としてはしっかりしているようです。

ということで催眠の根底にある自己暗示を用いた心理学実験を紹介します。
Blanchfield et al.(2014)では、24人の実験参加者に、8割ぐらいの力でランニングマシンで運動してもらった後で、一方のグループには、自分を励ますような言葉を言い聞かせ、もう一方のグループには何もさせないで、そのまま運動を継続してもらいました。2週間後に再びランニングをさせると、自分に言い聞かせをしたグループのほうが走行距離が長くなり、疲労を感じる度合いも小さくなったという結果になりました。

Kross et al.(2014)では、実験参加者に審査員の前でスピーチをしてもらうとお願いし、その前に、一方のグループには、「私(I)はなぜ緊張しているのか?」と、自分を主体とした言葉でひとりごとを言ってもらい、もう一方のグループには、「あなた(You)はなぜ緊張しているのか?」のように2人称を用いたり、「◯◯(自分の名前)は、緊張していますか?」と他者から語りかけるようにひとりごとを言わせたあとで、スピーチの際にどのぐらい緊張したかを調査しました。その結果、前者の1人称を用いた時よりも、後者の2人称や自分の名前を用いた時のほうが緊張しなかったということでした。さらに、審査員のスピーチに対する評価も、後者のグループのほうが高くなっていたそうです。これは、ひとりごとでも2人称や名前を用いることで、自分を客観視することができ、それが効果的に働くからだと捉えられています。

映画の話からかけ離れてしまいましたが、自己暗示を効果的に使うのは自分を向上させることに繋がりそうですね。
でも、場所を選ばないと貝沼みたいにアブナイ人だと思われますのでお気をつけ下さいね・・・(;・∀・)

[引用]
Blanchfield, A. W., Hardy, J., De Morree, H. M., Staiano, W., & Marcora, S. M.(2014). Talking yourself out of exhaustion: the effects of self-talk on endurance performance. Medicine & Science in Sports & Exercise, 46, 998-1007

Kross, E., Bruehlman, S. E., Park, J., Burson, A., Dougherty, A., Shablack, H., Bremner, R., Moser, J., & Ayduk, O.(2014). Self-Talk as a Regulatory Mechanism: How You Do It Matters. Journal of Personality and Social Psychology, 106, 304-324.
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当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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