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「葛城事件」から考えるピグマリオン効果



「葛城事件」では、家長である清ができの良い兄・保にばかり期待をかけて、弟の稔にはあまり期待をしていませんでした。

その結果として、保は大学を出て、清の言うところの立派な会社に勤める一方で、稔は大学に行かず、バイトも長続きしないニートの状態となっていました。
映画では子どもたちが幼少期の頃は短い時間しかシーンがないので、実際にどのように接していたかはわかりませんが、その頃からすでに兄の保に期待をしていることを清は周りに言っていました。

Rosenthal & Jacobson,(1968)は、ある小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストというある種の知能テストを実施し、その結果として、今後成績が伸びる児童をリストアップし、それを担任の先生にだけ見せました。その後、再びこの小学校で成績がどれぐらい向上したかを調査したところ、先のテストでリストアップしていたという結果になりました。

これだけ聞いたら、「ハーバードなんちゃらテストって正確なんだなあ。」ぐらいにしか思わないかもしれませんが、実はこの最初のテストの実施後に担任の先生に伝えられた成績が伸びると予測された児童のリストは、テストの結果とは関係なくに無作為に選んだ児童でした。
つまり、デタラメにある児童は成績が伸びる、と伝えたにすぎなかったのですが、それで本当に成績が向上したということになります。

Rosenthalは、このようになった要因として、担任の先生が、「この児童は成績が伸びる」と認識したら、たとえあからさまなえこひいきや差別はなくともやはり心のどこかで期待を持ってしまい、それが表情や仕草、熱意に現れると、期待された児童たちもそれを敏感に感じ取り、その期待に応えようとすることで、本当に成績が向上したということを挙げています。
このように、教師が期待することで、期待された子どもが本当に成績が向上することを、ピグマリオン効果(または教師期待効果)と言います。
ちなみにピグマリオンとは、ギリシャ神話で恋焦がれた女性の彫像を神の力で本当の人間にしてもらったというエピソードから来ています。

映画では清は稔や他の人もいる目の前で保を褒め、期待していることを公にしているのですから、保がその期待に応えようと頑張ったというのも頷けます。

それでは、もし教師や親が子どもに対して何も期待しなかったとしたらどうなるのでしょうか?
Babad, Inbar, & Rosenthal(1982)では、教師が児童に対して何の期待も持たないと、やはり期待されていないということも児童は敏感に察知し、頑張ろうという意欲を失うことで、本当に成績も下がっていくということも示されています。
このことは、ゴーレム効果と呼ばれています。
ゴーレムはRPGなんかにも出てきますが、意思を持たない泥人形で呪文で動き出しますが、額の護符の文字を消すと土に帰るというところから来ています。

稔があのようになってしまった原因の1つには清の接し方が問題であることを示していますね。

しかし今ではこれらの効果が必ずしも起こるとは限らないと言われています。
その後同様の実験をしても同じような結果が出ないという再現性の低さや、教育者の間でこのピグマリオン効果が認知されてしまい、調査そのものが難しいこと、そして何より、実験的に検証することが、子どもたちの将来を左右してしまうという教育上のモラルの問題もあります。

「葛城事件」では皮肉にも清の期待に応え続けた保は悩みを誰にも言えずに自分の命を断つこととなり、期待されなかった稔は間違った方向とは言え自分の本懐を遂げたことになっています。

子どもに対しては、期待しすぎても、期待しなさすぎても良くないということですね。

[引用]
Babad, E. Y., Inbar, J., & Rosenthal, R.(1982). Pygmalion, Galatea, and the Golem: Investigations of biased and unbiased teachers. Journal of Educational Psychology, 74, 459-474.

Rosenthal, R. & Jacobson, L.(1968). Pygmalion in the classroom. Holt, Rinehart & Winston.
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当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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