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「シング・ストリート 未来へのうた」感想。


(公式HPより引用)

[story]
1985年ダブリン、14歳のコナーは人生のドン底だった。父親が失業したあおりで荒れた公立校へと転校させられ、両親は離婚寸前。そんな冴えないコナーは、ある日ラフィナという女性を見かける。彼女に一目惚れしたコナーは思わず「僕のバンドのMVに出ない?」と声をかけてしまう。あわててバンドを結成し、曲作りやMV撮影を始めるのだが・・・。

 「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督が、自身の少年時代の体験をベースに撮り上げた青春映画です。

「ONCE~」では、やはりダブリンが舞台で、ストリートミュージシャンの男性が花売りをしている移民の女性と音楽を通じた交流をしていく姿を描いていました。2人は口数が多い方ではないので、関係はつかず離れずといったはっきりしない部分もありましたが、その出会いがやがて男性がロンドンで音楽をやっていくことを決意することにつながっていきます。

「はじまりのうた」では、舞台こそニューヨークであるものの、落ち目の音楽プロデューサーと恋人と別れたばかりでバーの小さなステージで歌っていた女性の出会いから、また新たな音楽が生まれるさまを描いています。

そして本作につながるわけですが、共通しているのが「音楽」「ドン底」「出会い」ですね。

音楽については、「ONCE~」では主人公の2人ともアーティストなのでその音楽のクオリティーは素晴らしいものがありました。
「はじまりのうた」も決して歌手が本業ではないキーラ・ナイトレイの歌声が、プロとして歌っているわけではない役柄にマッチしていました。
これらの音楽が現代(といっても「ONCE~」はもう10年前ですか・・・)だったのですが、本作「シング・ストリート 未来へのうた」では舞台は今から30年前の1985年になります。
この時代の音楽といえば、デュランデュラン、モーターヘッド、ダリル・ホール&ジョン・オーツなどは映画でも使われていましたし、主人公がちょっと歌うシーンがあるA-haの「テイク・オン・ミー」、それ以外にもマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」やヴァン・ヘイレン、カルチャー・クラブなどPOP、ディスコ・ミュージック、ニューウェーヴが全盛期でした。

また、マイケル・ジャクソンの「スリラー」が大ヒットしたのもこの時期で、その爆発的ヒットもさることながら、マイケルをはじめ出演者が総出でゾンビメイクで踊るあの印象的なMVも話題になりました。
本作の世界はまさにその時代で、主人公たちのバンドがMVを撮影するのに躍起になるのも、その流れと言えます。
最初のMVはどことなく「スリラー」に似ていますしね。

「ドン底」からの再生は3作に共通しています。
「ONCE~」では、主人公は親の仕事をたまに手伝いながらストリートミュージシャンをしているという状況で、大好きな音楽は続けたいけどこのままでいいのかという葛藤を持っています。
「はじまりのうた」でも落ち目の音楽プロデューサーと振られたばかりのバーのシンガーという状況です。再起をかけてレコーディングをしようとするもお金がないので、そのへんの町中で収録するという大胆な方法に出ます。
警察が来たら逃げる方式のゲリラ的なもので、このシーンは映画の中で一番好きでした。

アイルランドでは、1995年あたりから好景気に湧く時期がやってくるのですが、「ONCE~」はちょうどその好景気が始まったあたりで、様々な可能性や希望が芽生えてきた時期でもあります。
対して1980年代のアイルランドは雇用を増やすために公共事業などを拡大した煽りで、景気が停滞している状況でした。本作でも主人公の父親が失業したため、荒れた公立校への転校を余儀なくされます。
初日からいじめられっ子には目をつけられ、学校からは靴の色が違うとケチをつけられるハメに。
大小それぞれですが、誰でも経験している挫折から立ち直るという姿は思わず応援したくなりますね。

そしてこれまた3作に共通しているのが、ドン底から立ち直るきっかけとなる「出会い」です。
「ONCE~」でもストリートで演奏しているところを聞きに来た花売りの女性が、ピアノを弾くのが好きだというところから展開していきますし、「はじまりのうた」でも落ち目の音楽プロデューサーがバーで管を巻いていると、そこで歌っていたシンガーに希望を見出してという展開になっています。

そして本作では、主人公が一目惚れした女性に咄嗟に「自分たちのバンドのMVに出てくれない?」と声をかけるところからスタートします。
まさに女の子にモテたくて音楽を始めるという多くのロックキッズなら大いに共感できるところですかね。
他に漏れずに本作の主人公コナーも不純な動機で音楽を始めるわけですが、それに乗っかっていくのが他のメンバーたち。
彼らもまた閉塞感の中先の見えない未来に希望を見いだせずにいたのでしょう。特に一緒にバンドを組むエイモンは、たくさんの楽器を演奏できるのにコナーに誘われるまでそれを披露する場所はありませんでした。
エイモンの母親がコナーたちが来ると嬉しそうにお茶を持ってきてくれるところなんか、エイモンに友だちができて喜んでいるのでしょう。
他のバンドメンバーも詳しく背景は描かれていませんが、似たような状況にいるのでしょう。
晴れてバンドを結成し、約束通りMVに出てくれることになったラフィナもまた、コナーとの出会いによって変わることになります。彼女自身もモデルを目指し努力はしているのでしょうが、ダブリンの、それも親のいない孤児という状況ではいろいろと厳しいのでしょう。

辛い現実からいつか抜け出したいと思っていても、その方法がわからない、方法がわかっても決心がつかない、そんな思いをかかえている人にはグッとくる展開ですね。

コナーはたしかにドン底にいましたが、バンドの仲間や自分の音楽のいちばん身近な先生でもある兄、そして憧れの女性ラフィナと出会い、成長していくのです。

そしてついに!彼らが初めて人前で演奏するときがやってきます。
学園祭での体育館のステージというのがなんとも・・・と思っていたらアイルランドのモンスターロックバンド、U2もデビュー前の初ライブは学園祭だったそうで、そのあたり監督も意識しているんでしょうねえ。

ここでのライブでは、この映画で描きたかったこと全てが凝縮されていると言っても過言ではないです。
男子の中にはブーイングしている者もいるけど、前の方は黄色い歓声の女子でたくさんですし、ロックな曲から学校に対する反体制の歌などバラエティーに富んでいます。
コナーが歌っている途中で、いつしか、コナーの理想のライブ風景がまさにMVのように画面に再現されるのは、ぜひ映画館で見て欲しい1シーンです。

コナーは仲間たちの夢を背負い、ドン底から抜け出すことのできなかったロックの先生である兄の思いを受け、まさに大海原へと旅立っていくのでしょう。

音楽でなくてもいい。
何かに挑戦し続けている人に、そしてかつて何かに挑戦したけど夢破れてしまった人に、この映画はあるのかもしれません。

ミニシアター系の作品なので上映館はあまり多くありませんが、ぜひ映画館でご鑑賞を!(^O^)/
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すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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