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「世界一キライなあなたに」から考える好意の返報性



「世界一キライなあなたに」では、天真爛漫なルーが、元実業家で金持ちながら事故で半身不随となって心を閉ざしているウィルと出会うことで、お互いに関係や考え方が変化していくようになります。

映画のコピーでも、「愛するひとが、半年後に永遠の旅立ちを選ぼうとしていたら・・・」と感動的な謳い文句が掲げられています。

・・・

ちょいちょい!

いや、ルーはその前からずっとパトリックっていう立派な彼氏いますから!
起業家コンテストで2年連続優勝していて、ルーが失業しても優しく見守ってくれていますから!
トライアスロンにも出場しちゃう意識高い系ですから!


大変取り乱し失礼しました。
いや、パトリックもちょっと残念なところあるけど、良いやつなんですよ。
しかし、本作のコピーでも映画全体でもほぼ完全にモブキャラ扱いになってしまっているんですよね。

ルーの心がパトリックからウィルに傾いていくきっかけの一つとなったのが、ルーの誕生日パーティーのときでしたね。
ルーの自宅でのパーティーに招かれたパトリックとウィルでしたが、パトリックがプレゼントしたのは特注のペンダントで"パトリック"と自分の名前がデカデカと刻まれているものでした。一方、ウィルがプレゼントしたのは前々からルーが欲しがっていたミツバチの刺繍の入ったタイツでした。
おそらくパトリックの方が高価なものでしょうが、自分があげたいものをあげるのか、相手の欲しがっているものをあげるのか、その違い以上に受け取った時のルーのテンションの違いで、どちらが良いかは、そしてその後の両者との関係も明白でした。

そんなわけで、今回は好意を抱いている相手に贈るプレゼントはどんなものが良いかということについての心理学です。

Gergen, Ellsworth, Maslach & Seipel(1975)は、6人の実験参加者にお互い顔が見えずに会話ができない状態でポーカーのようなチップを賭けるゲームをやってもらいました。途中、一人の参加者(というように思わせていますが、実は全員)に、「あなたは今ビリです。」ということを知らせたあとで、他の参加者からチップと封筒が渡されます。その封筒にはメッセージが書かれていて、それが以下の3つの条件となっていました。

1. 利息をつけてチップをあとで返して欲しい。(高義務条件)
2. 同じ枚数のチップをあとで返して欲しい。(中義務条件)
3. チップを返さなくても良い。(低義務条件)

このゲームの後で、途中でチップを渡してくれた人に対する好意度を評価してもらったところ、日本人とアメリカ人の実験参加者は、2の「同じ枚数のチップをあとで返して欲しい」と伝えてきた人を最も好意的に評価し、スウェーデン人は、1の「利息をつけてチップをあとで返して欲しい。」と2を同程度に好意的に評価していました。
この3つの国の人全てに共通していたのは、最も評価が低いのが「チップを返さなくても良い。」という低義務条件でした。

なぜこのような結果になったかと言うと、高義務条件は利息がもらえるというメリットが明らかにありますし、中義務条件でも同じ枚数のチップが返ってくる+自分の善意と捉えられるという点でメリットです。
ところが、低義務条件ではチップが減ってしまうという明らかなデメリットが生じてしまいます。
このようなとき、それを受け取る側からすれば、「自分のプラスにならないどころかマイナスになるようなことをしてくるのには、何か裏があるに違いない。」と捉えてしまうのです。
それゆえ、相手のことを警戒したり下心があるんじゃないかと勘ぐってしまったりすることにつながり、好意度が下がってしまっているというわけです。

人は、誰かから自分の利益となるような何らかの施しを受けた時、それに対してお返しをしたい、お返しをしなければならないという意識が働きます。このことを返報性と呼び、特に自分に対して好意的な行動に対しては、やはり好意的な行動で返すというものを、好意の返報性と呼んでいます。

上記の実験では、自分は「チップを借りてゲームが継続できる」のに対し、相手のメリットが高義務条件の場合は、「利息分儲けることができる」ことになり、中義務条件では、「人を助けたということで好印象になる」ということになります。
これが低義務条件の場合、チップをあげてしまう分を相殺するぐらいのメリットが明確ではないため、それに対する好意の返報性を強要してしまうようなところが出てくるのです。

この好意の返報性は日常の多くの場面でも当てはまります。
とりわけ、「世界一キライなあなたに」での相手に対するプレゼントでも同様ですね。
やたらと高価なものをあげてしまうと、相手から、「こんな高いものをくれるなんて、何か下心があるんじゃないか?」と思われてしまう可能性があるわけです。
やはり相手の目線で、相手が欲しいと思っているものをあげるのが一番かもしれませんね。

頑張れ、パトリック!

[引用]
Gergen, K. J., Ellsworth, P., Maslach, C., & Seipel, M.(1975). Obligation, Donor Resources, and Reactions to Aid in Three Cultures. Journal of Personality & Social Psychology, 31, 390-400.
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すぷーとにく0107

Author:すぷーとにく0107
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中の人は、北海道は札幌市在住です。
映画館で年間200本は映画を観ます。
当ブログでは、映画のレビューをしつつ、勉強している心理学ネタでも書いていけたらいいなと思っています。

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